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「すみません、遅くなりました」

「文化委員でしょ?おつかれさん」

私は演劇部に所属している。中学の時とは違う部活。理由は演じるって面白そうだなっていう興味と部活見学の時によく通る高い声が演劇向きだと先生に褒められたから。

「五十嵐、おつかれ」

「水島くんありがとう」

同じ部活の水島渉(みずしま わたる)くん明るくて気さくな人だから話しやすい。人懐っこくて距離感が近い人。部活中、よく隣になる男の子だ。 

「ブレザー、ハンガーにかける?」

「うん、かける」

ブレザーを脱いでブラウス姿になる。ハンガーにブレザーを纏わせる時に内ポケットから白い布がふわりと落ちてしまった。

「五十嵐、これ」

「大丈夫、自分で拾う!」

水島がそれを拾う前にしゃがみこんですぐに拾い上げる。

「ハンカチ?」

「うん、そう。」

ワンポイントで綺麗な花の刺繍が施されたハンカチに指を滑らせて汚れていないことを確認してから、綺麗にたたみ直してブレザーの内ポケットにしまう

「友香、先輩が脚本書いてくれたから一緒に読まない?」

「ありがとう、読むー!」

同級生に声をかけられ渡された脚本を読む。発声練習、滑舌の練習、先輩たちが前年度やった劇の脚本で演技の練習などをしていたらあっという間に時間は過ぎていく。

「ありがとうございましたー!」

「お先に失礼します!」

部室から出て靴を履いていると声をかけられる。

「五十嵐って電車組?」

「うん、そうだけど」

「駅まで一緒に行かね?」

「あ、ごめん、みずきち…クラスの子と今日は帰るんだ」

「水島振られてる」

「うるせーぞ、田崎!」

わいわいと話しながら校門へと向かう途中とある教室の窓を見るといくつものイーゼルに其々かけられているキャンパスが並んでいる。そっか…ここ、美術室だ。今、部活やってるのかな…

「五十嵐?」

「あ、ごめん!ボーッとしてた」

声をかけられて足の向きを変える。今度、部活ない時に覗きに行きたいな…とは言っても見学もしたことなければ親しい友人がいるわけでもなく私が美術部へと足を運ぶことはなかった。


それから数日…

「明後日からGWだぁー!」

「どこ行くー?」

「私おばあちゃんの家行くよ!」

「俺は映画観に行くんだよね〜」

明日登校すれば明後日からGWということで今日はやけにクラスが騒がしい…美術の先生が優しいせいでおしゃべりタイムと化している

自分のクラスで美術の授業があると、毎度色んな子の絵を見て回るけど、おそらくうちのクラスにはあの絵を描いた人はいないな。全然ピンとくる絵がない。まぁ授業で描く絵が全く違うからそう思うだけなのかもしれないけど

忘れられない絵はあるものの、私はあの絵のタイトルも作者も知らない…というより涙のせいで絵しか確認出来なかった

妹曰く’友ちゃんと同い年の人’らしいから、もしかしたら同じ高校にいたりしないかなって淡い期待はある。

人生で1番心を打たれた絵

その絵を描いた人がもし同じ高校にいたら、もうそれは奇跡に等しいし、探し当てることも、もう一度出会えることすら難しいことも頭では分かっているつもりだけど、やっぱり…

会いたい

私の予想だとあの絵の作者は黒髪ロングの清楚系女子!!

「あ、五十嵐、丁度良いところに」

美術の授業終わり偶然通りかかった佐藤先生に捕まった

「明日の委員会、時間変わって15:45からな」

マジか、早まったじゃん。今度こそ忘れないようにしないと 

「分かりました、教えて下さりありがとうございます」 

「おう、よろしくな」

佐藤先生が通り過ぎるとみずきちが喋り出した

「委員会何回目よ。しかも時間早まったね」

「GW前日も委員会かぁ」

「いいじゃんGW最後に目の保養出来て」

 「目の保養?」

「ますみん拝めるじゃん」

「GW前のますみん納めしとくね」

中学時代もますみんは女子に人気があった。お顔が整っていて優しくて、みずきちと目の保養しに行こうとますみんに声をかけにいったものだ。懐かしいなぁ…って言っても1ヶ月とちょっと前までは同じ教室にいたんだよなぁ 

階段を上って廊下へと辿り着くとB組の前で眼鏡をかけた男の子と話してるますみんを見つける。

「あ、ますみんいるじゃん!ねぇ、委員会のこと伝えに行こうよ!」

「うん」

制服の裾を引っ張ってくるみずきちと一緒にますみんと男の子の元へ足を向ける。

「ますみーん!」

「みずきちじゃん、もかっぺも」

ますみんと男の子がこちらを向いた。顔見知りの彼には軽く手を振って、目線を移せば眼鏡の男の子とも目が合ったので軽く会釈をする

「こんにちは」 

そう言うと軽く会釈を返されたけど人見知りなのか目線を逸らされてしまった。 こういう人はグイグイこられるのたぶん苦手なんだよな…自己紹介とかは敢えてしないでおこう。

「どうした?」

「さっき佐藤先生に会ったんだけど、明日の委員会の時間15:45からに変更だって」

「え、早まってんじゃん。教えてくれてありがと、助かる」

「この前はますみんが教えてくれたでしょ?お互い様だよ」

私の業務連絡が終わると、みずきちが話し出す

「いやぁ、タイミングよく会えるとはね」

「タイミング?」

「もかっぺは委員会同じだからGW前日にますみん納め出来るけど、私は出来ないと思ってたから」

「何だそれ」

「あ、でもGWに藤崎組集まるから会えるか!ますみん納めじゃなかったね、もかっぺ」

卒業してから1ヶ月ちょっとしか経ってないのにもう集まりがある辺り、藤崎組は仲良いなと客観的に思ってしまった

「……ごめん、私さ、GWの集まり行けないんだ」

「え、そうなの?何で?!」

「ちょっとね…あはは、本当に残念だよ」

「写真いっぱい送るね!」

「うん、待ってる」

「夢の国、楽しみだよねますみん!」

「だな」

「いいなぁ、シェリー○イちゃんに会いたかったぁ」

少しだけお喋りをしてから、ますみんと男の子へと手を振って教室へと戻った。








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