思いの石　‹GEMSTONE›　　〜響く音色〜

雨の中、独りただただ走っていた。

傘もささずに。水溜りなど気にせずに。

古びた鎖を断ち切るために。

＿＿迫る悲しみから逃れるために。

全て終わりにしたかった。

＿＿現実はそれを許さなかった。

思い描いた未来を実現したかった。

＿＿そんなものはただの夢でしかなかった。

ずっと幸せを願っていた。

＿＿誰かの不幸になることも知らずに。

どうせ誰も救えなかった。

＿＿誰も救わなかった。

ずっと夢に溺れていたかった。

＿＿現実にはならなかった。

＿＿ ず っ と 、 探 し て い た 。

＿＿ 待 っ て い た ＿＿＿。