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〜月side〜
妾の神社は
人を生贄として
湖に人間を沈めるという風習があった。
妾が命令したわけじゃない。
人間が10年程前に勝手に始めたこと。
都市の発展のためらしい。
妾は何もしてない
だから見て見ぬふりしてきた。
人間なんて、弱い生き物なのだから。
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ある日、来客者が来た。
ここには近づけないはずなのに
しかも8歳満たない子供
女…?いや男物の服着てるから男か?
傷だらけだ。いじめか、DVか…
子供は神社の祠に着くなり膝から崩れ落ちた
そして涙を流しながら呟く
「神様…もしいるなら…」
「こんな世界…壊してください…っ」
ふむ…
アイツらの中にこんな人間がいたとはな。
彼奴が無く姿は、とても美しかった。
『…お主、神なんて信じておるのか?』
「…え」
驚いた。此奴…妾が見えるのか?
「えっと…その…」
ふむ…
『お主、名はなんという』
「…棗です。」
棗か…呼びにくいな…
『お主、女か?男か?』
棗「あ、えっと…女です。
洋服買って貰えなくて」
あー…姫でいいか
姫っぽいし。
『よし、姫。お手玉って知っておるか?』
棗「ひ、姫…?」
『お主の名前じゃ。嫌か?』
棗「いえ…
お手玉ですよね。知っていますよ」
『妾出来るぞ。お手玉』
棗「へぇ…」
あんまり興味がなさそうな姫。
そう言えばずっと真顔だな
『…姫は、笑わないのだな。』
姫は無言になった。
そして、口を開いたかと思うと
棗「…笑いましょうか?」
と妾に聞いてきた
『出来るのか?』
棗「まぁ、見ててください」
すると
無理やり頬をつねり笑って見せた
笑った…というか…
隈と絆創膏のせいで困って見える
『無理して笑わなくて良い。』
棗「あ、ごめんなさい…」
『…少し、眠ったらどうだ?』
棗「…大丈夫ですよ。」
『…いいから寝ろ。』
無理やり姫の頭をももに乗せる
棗「お、重くないですか?擽ったくは…?」
『大丈夫だから。早う寝てしまえ。』
棗「すいません…」
棗「…すぅ、すぅ、」
『はぁ…』
やっと寝た…
あれから、
かれこれ30分ぐらい粘っていたから
半強制的に寝させた。
棗「…ごめ」
『ん?』
寝言か?
ぽたっ
…?
は!?なんで泣いてる!?
え、え、妾の太もも寝心地悪かったか…??
棗「言うこと、聞くから、
殴らないでください…」
『…』
なんだろう。
姫を汚した奴等が憎い。
初めてこんな感情を抱いた。
『…ん?』
妾は姫の足首ついてる印に目がいった
花とツルの印
足についてるこの印…どっかで見覚えが…
『…気のせいか』
棗「何でもするから、」
『…!』
妾は見た、いや見てしまった。
姫の瞳から零れ落ちる涙が、
宝石に変わり地面に落ちる
触ってみると、本当に宝石だった。
『…まさか、な。』
涙が宝石に変わるなら
傷だらけになることにも理由がつく
宝石に変わるのは涙だけじゃない。
血なども宝石に変わるのだろう。
『此奴、親から暴力受けてるな。』
知ったこっちゃないが。
どうすることもできない。
「新しい巫女さんですか?」
『いつの間に居たのか。白虎。』
白「珍しいですね。
貴方が人間に優しくするなんて」
『此奴は、妾を見ても怖がらなかった』
白「それは不思議ですね」
くすっと笑う白虎。
『何が面白い』
白「いえ、仲良いなぁと思っただけですよ」
『お主と関わってきたこの120年間を
今初めて疑ったぞ』
白「疑わないで下さいよぉ」
『…此奴。涙が宝石に変わった。
もしかして、神の巫女ではないか?』
白「確かに不思議ですね…
私が生きてきた中で涙が宝石に変わった人間なんて見た事ないですし…」
『もうすぐ姫が起きる。早う失せろ』
白「今度は、守れるといいですね」
そう言って白虎は消えた
『…今度は、か。』
そう言って妾はいつも守れない
棗「う…」
目をパチパチさせる姫。
棗「はっ…本当にごめんなさい
迷惑ですよね。死んで詫びます」
一瞬で立ち上がり土下座をした姫
『待て待て待て待て。』
そこまでやる必要ない。
『そもそも、妾が姫を寝させたんじゃ』
棗「そうなのですか…?」
『嘘はつかない』
棗「貴方様は優しいですね」
『…月。』
棗「え、?」
『月。妾の名前だ』
棗「じゃあ月さん…」
『つ ・ き!!!』
棗「つ、月…」
『それでいい。』
「棗!!!」
突然神社内に怒号が響いた。
声の主は少し年を取ったババ…女だった。
「母様…」
「ここには
入っちゃダメって何回言ったら分かるの!?」
「貴方は祭司の準備を手伝いなさい!!」
…ここには入っちゃダメって、
貴様も入ってるのによく言うな
棗「でも、私は」
「…チッ」
うわぁ、痛そ…
口から血が出てくる姫。
垂れた血が宝石になる
「その異能だって本当に気持ち悪い…」
「あんたなんて生まれてこなきゃ良かったのに」
姫はこんな言葉いつも耐えてるのか?
妾なら多分ブチ切れて全員殺してるぞ
『…』
棗「手伝うから…殴らないでください…」
「それでいいんだよ。行くぞ」
姫が助けを求めてる。
…助けない。
余計なことに巻き込まれるのは御免だ
…なのに。
(胸が痛むのは、なんでなんだ…?)
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ついにやってきた祭司の日
『…今回の贄は誰だ?』
…は?え?
驚くのも無理はない。
湖に飛び込む人間は巫女の格好をする。
そしてその格好をしていたのは、
_______姫だった。
『なんであんな所に…』
思い出した…!!!
姫の足首についてた印…
次の生贄の印だ!!!
『なんで…忘れてたんじゃ…!!』
考えてる間に祭司は最終を迎える
キョロキョロしている姫
(…もしかして妾を…?)
思ったことがあった。
何故、姫は怖がらないのだろう
生きることを諦めたのか、
それとも、死を受けいれたのか、
姫の足と大きな石が太い紐で繋がれる
(あの状態で1回でも落ちたら
浮き上がるなんて不可能だろうな)
「高菜!!!おかか!!!」
小さな男の子が泣き叫んでいた。
恐らく友達か、家族か、
(大切な人が目の前で死ぬのは絶望だろうな)
「お兄ちゃん。また来世」
驚く程綺麗な笑顔だった。
母と思われる人間に押され
姫は湖に落ちた。
“神様…もしいるなら…”
『…』
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〜棗side〜
母様によって湖に落ちた。
(お兄ちゃん…泣いてたな。)
息ができない、
足に繋がった大きな石によって
浮き上がることができない
死んじゃう…
まだ、憂くんにも、里香ちゃんにも、
会えてないのに…
「助けてやろうか?」
そんな声がした
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姫は驚いていた
あれ。妾、神だってこと言ってなかったか?
喋れるように妾の境界の中へ入れた
「…なんで、」
『悔しくないのか?』
「これが私、異能の最期ですから。」
「毎年そうなんです。
若い女の子が、生贄としてこの湖に捨てられる」
『今回は姫だったという訳か。』
「本当は、違う女の子がやるはずだったんです」
『ほう。聞いてやる』
「その子。一か月前、夜逃げしてしまって
私が、半強制的に贄にされたんです。」
「母様の言うことに私は逆らえないですから」
本当、人間は傲慢じゃのう…
『お主はそれでもいいのか?』
「…え」
『お主、
やりたいことあったんじゃないのか?』
「…ありますよ。
でも、異能の私はもう要らない存在ですから」
要らない存在…か
『なら、妾が必要としてやろう。』
「え、?」
『お主の望みはなんじゃ?』
「私の、望み…」
『何でも良いぞ』
姫がこの世界を壊して欲しいと望むなら
望み通りに壊してやる。
姫が誰かを守りたいと望むなら
命を賭けて守ってやる。
『早う言え。お主の望みは…』
「私の望みは…」
『クスッ…契約完了じゃな。』
ポウ…と
姫の片目に三日月と十字架の印が現れる
これが契約の証。
『契約初めに、姫の体借りるぞ』
「へ」
姫の賛否を聞かず身体を借りた。
さて…
ブチブチッ
こんな安易な縄で姫を落とそうなんて
100年早いな
“言うこと、聞くから、殴らないでください…”
“その異能だって本当に気持ち悪い…”
“あんたなんて生まれてこなきゃ良かったのに”
さぁ、姫を汚した落とし前
きっちりつけてもらうぞ。人間。
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〜棗母side〜
あはははっ!!
やっと消えた…!!あの疫病神!!!
「たかなぁ…たかなぁ…!!!」
泣き崩れる棘。
大丈夫よ。記憶消してあげるから。
「お…おい!!!あれ!!!」
「なんだありゃあ…!!?」
皆が空を見上げる。
私も見上げた。
『な、何であそこに…!?』
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『ふむ…』
口に呪印…彼奴だな。
「おかか…!?」
口に呪印のついた少年を浮かせて
こっちへ来させる
『ふむ…お主、姫の兄か?』
「しゃ、しゃけ…」
おどおどしている。
推測だが、しゃけは肯定だろう
傷はついていない…
随分丁重に扱われたようだな
姫とは大違いだな
『ここに居ろ。』
妾の後ろに隠す。
『さて、今ここで死ぬか、
姫を自由にさせるか、選ばせてやる』
すると母親と思われる女が叫んだ
「い、要らないわよ!!そんな疫病神!!
だから棘を返してよ!!!」
棘…か。
『…』
「おかか?」
此奴は言葉が喋れないのか?
それとも、語彙を絞っているのか、
…何も知らなそうだな。此奴
『棗と、別れることになるが、
許してくれるか?』
「昆布…?」
『あぁ。また、会えるよ』
「しゃけ!!」
『有難う。
お主は、母の元へ戻ってやれ』
「…棗を守ってください」
!!驚いた…
此奴、喋れたのか…?
いや妾の境界にいることが分かってるからか
「棗を助けてくれて、ありがとうございます」
『礼を言われる筋合いはない。
さっさと行け。』
たたたっと走っていく少年。
少なくとも彼は、
あのクソ両親に危害加えさせられることは
ないだろう。
『もう自由だぞ。姫』
。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+。o♡o。+
月「て、感じ」
『な、成程…?』
僕と里香ちゃんと
離れている間にそんなことが…
月「月は神の巫女なんじゃ。」
『神の巫女って言うのは…?』
月「後で説明する。時間がない。」
僕は走って校庭に向かった。
…何か、嫌な予感がする
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僕の嫌な予感は的中
校庭には棗ちゃんが立っていた。
でも、呪力も、匂いも、
彼女じゃない。
「やはり来たか。特級呪術師」
ねぇ、君は沢山のものを抱えてきたんだよね
ごめん。でも今度は
『僕が、助けるから』