テラーノベル
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番組が終わったのは、まだ15時前だった。
今日はこのあと何も控えていない。
「久しぶりだし、飲んでいく?」
共演者や番組スタッフに誘われて、勇斗と仁人はそのまま飲み会へ参加した。
*
20時。太智の携帯が鳴る。
「もしもし?」
『だいてぃーんでたぁ♡』
電話の向こうから、明らかに出来上がった声が返ってくる。
「……どーしたん、勇斗」
『いま○○あたりで飲んでるのぉ』
「うん」
『むかえきてぇ』
「嫌や」
『なんでぇ……』
「酔っ払いの相手したくない」
『えぇ〜……』
「仁人もおるやろ?」
『仁人はぁ……結構前に潰れて寝てる』
「…………」
太智はため息をついた。なんでそんな状態になるまで飲んでんねん。
「……待ってて」
『まじ!ありがと太智〜♡』
「あとでタクシー代、勇斗に請求したるからな」
『いいよぉ〜♡』
電話を切る。
太智はそのままタクシーを拾った。
*
店に着く。
店員に案内されて席へ向かうと――
「だいちー♡」
頬を真っ赤にした勇斗が、満面の笑みで手を振っていた。その隣には、肩を組まれた仁人。どうやら無理やり起こされたらしい。
「……ほんまにベロベロやん」
「だって久しぶりだったんだもん」
勇斗はご機嫌そのもの。一方の仁人は、目を細めたまま太智を見る。
「……なんで太智がいるの…?」
「勇斗に呼ばれた」
仁人が寝ながら呟く。
「太智も一緒に飲も?」
「飲まへん」
「なんでぇ?」
「迎えに来ただけやもん」
太智が勇斗と仁人の腕を掴んで立たせ、共演者や番組のスタッフ達に挨拶し、三人で店を出る。
「太智ー」
「ん?」
「迎えに来てくれてありがと」
「……もうええから、ちゃんと歩いて」
「はーい♡」
太智は呆れながら、酔っ払い二人を両脇に抱えて歩き出した。
「……ほんま、なんで俺が二人のお迎えしてんねやろ」
*
タクシーに乗り込むと、勇斗は早々に太智の肩へもたれかかった。仁人も反対側で目を閉じている。
「……二人とも寝た?」
静かになった車内で、太智は二人を眺める。
「寝てる……よかった」
久しぶりに、年上二人がこんなに無防備なのを見る気がした。
*
勇斗の家に着く。
「じゃあ、僕のうち狭いから、ここに仁人置いてくで」
太智がそう言った瞬間。
「だいてぃーん」
「……ん?」
勇斗が腕を伸ばしてくる。
「帰らないでぇ」
ぎゅーっと抱きつかれる。
「ちょ、勇斗。酒くさ……」
「だいちー……」
「はいはい」
太智がとんとん、と背中を叩く。
すると、ようやく腕が緩んだ。
「よし。寝よな」
立ち上がった太智の腕を、今度は仁人が掴んだ。
「太智」
「ん?」
「一緒に寝よう」
「え?」
そのままソファーに倒され、仁人が上にぴったりくっついてくる。
「ちょ、仁人まで……」
「眠い」
「ベッド行き」
「ここがいい」
「なんでやねん」
そこへ、ふらふらと勇斗まで近づいてくる。
「勇斗、仁人どかして…」
顔を覗き込まれたと思ったら、軽く唇を重ねられた。
「……」
太智が固まる。
勇斗は満足そうに笑った。
「おやすみぃ」
「いや、まだ寝てへんやろ……」
完全に酔っ払いだ。太智は二人を見る。
この状態で置いて帰るのは、さすがに心配だった。
「……もうええわ…僕も泊まる」
小さくため息をつきながら言う。
二人が同時に太智を見る。
「やったー!二次会する?」
「せんよっ」
*
その後、二人をなんとかシャワーへ連れていく。ベロベロなので、三人で入って、太智が適当に髪や身体を洗ってやった。
「勇斗、ちゃんと立って」
「立ってるぅ」
「ふらふらやん、仁人も寝んといて」
「……寝てない」
「目閉じてるやん」
「開けてる……」
「開いてへん」
なんとかシャワーを終え、水をたっぷり飲ませる。
「はい。もう寝るで」
「はーい」
「太智も?」
「僕はソファーで」
「寝かしつけして」
「……はいはい、いくつやねん」
二人をベッドへ放り込む。太智は布団をかけて、部屋を出ようとした。
「じゃあ、僕ソファーで寝るな」
「太智ー!」
「なに?」
「ここにいて」
「……寝たらな」
もう一度布団を整える。
そして数分後。
「太智〜?」
「なに?」
「いる?」
「いるよ」
また数分後。
「だいてぃーん……」
「……いるって」
何度ベッドへ戻しても呼ばれる。
太智はとうとう諦めた。
「もうええわ。三人で寝よ」
真ん中に太智。左右に勇斗と仁人。二人とも安心したように眠り始める。太智は天井を見ながら、小さく息を吐いた。
「……明日起きて正気に戻ったら、絶対説教したるからな」
酒はほどほどに。迎えを呼ぶなら、せめて自力で歩けるくらいに。太智は心の中で固く決めた。けれど、左右から聞こえる寝息を聞きながら、少しだけ笑う。
「……まあ、今日くらいはええか」
太智も目を閉じる。
「おやすみ、二人とも」
そう呟いて、そのまま眠りについた。
*
密着された体温のせいで、妙に暑かった。仁人が目を覚ましたのは、朝6時。
「……暑」
目を開ける。そこでようやく、自分が広いベッドの真ん中寄りで寝ていることに気づいた。隣には太智がいて、その左には勇斗がいた。三人とも、ぴったりくっついている。
「……」
仁人はしばらく固まった。なんで太智がいるんだっけ。ぼんやりした頭で昨日のことを思い出す。
飲み会。飲みすぎた。勇斗が太智を呼んだ。太智が来た。
……そのあと、どうしたんだっけ。
少し頭が痛い。けれど、思ったほど気持ち悪くない。体もベタついていない。ベッドの横を見ると、水のペットボトルが何本か置いてある。
「……ああ」
太智が介抱してくれたんだ。仁人は隣で眠っている太智を見る。前髪が少し乱れている。
「……こいつ、静かにしてたら本当にただ可愛いんだよな」
小さく呟いて、太智の額に軽くキスをする。太智が「ん……」と少し身じろいだ。それだけで、仁人は目を細める。
「……かわいい」
「仁人、手ぇ早いなぁ〜」
突然、反対側から声がした。
「……起きてたの?」
「今起きた」
勇斗がニヤニヤしながらこちらを見ている。
「おはよ」
「おはよう」
勇斗も太智の寝顔を覗き込む。
「俺も」
そう言って、太智の頬に軽くキスする。
太智はまだ眠ったまま。
「昨日、太智来たの?」
「うん。俺が呼んだら来てくれた」
勇斗は嬉しそうに笑う。
「かわいいよな。俺らが心配で泊まってくれたんだよ」
「……そうなんだ」
仁人は改めて太智を見る。なんだか、余計に愛おしくなった。そっと髪を撫でる。
太智の眉が少し動いた。
「……んぅ」
ゆっくり目が開く。ぼんやり二人を見て。
「……おはよ」
「おはよう、太智」
「おはよう」
仁人と勇斗が同時に声をかける。太智は二人の顔を交互に見た。そして、ふっと笑う。
「……まじで二人とも……やってるわ」
呆れたように言うくせに、太智は笑っている。
「昨日も散々迷惑かけて、朝からキスやもんな」
勇斗は全然反省していない顔で笑う。
「でも太智かわいいから。仁人もそう思うよな」
「思う」
「ほら」
「ほらちゃう」
珍しく素直な仁人を軽く叩いて、太智は笑いながら二人を押そうとするが、二人とも離れない。
「ちょっと、暑いって」
「じゃあもう一回だけ」
「何がもう一回なん」
勇斗が太智の頬に軽くキス。
反対側から仁人も頬にキス。
「ちょ、二人とも!」
太智が笑う。
「朝からほんまに……」
酒はほどほどにしろと説教し、ちゃんと反省させるつもりだった。でも今、左右から嬉しそうに笑う二人を見ているとどうでもよくなってくる。結局太智は、二人のキスを一身に受けながら、
「……もう、好きにしたらええわ」
と笑った。二人もますます嬉しそうに笑った。
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年上をお世話するとこと甘やかされるとこが書きたかった話。笑
コメント
5件
やばいめっちゃニヤけたわ笑佐野さん酔うと甘えん坊になるの可愛い〜!さのじんがだいちゃんにキスするところ好き🫶🏻︎💕︎︎
やばいめっちゃいい🥲🥲🥲🥲💘💘上が酔うやつってまじでないから最高すぎるぜ😻😻😻翻弄?されてる感じめっちゃくちゃいい🙈🙈🙈
いやもう最高すぎる…!😭💕💕 酔った勇斗と仁人が太智にベッタベタに甘えてて、そのツンデレだけど結局世話焼いちゃう太智が尊すぎるんだが!? 「好きにしたらええわ」って笑いながら二人のキス受け入れるの、完全に愛されてるやん…朝の仁人の「静かにしてたらただ可愛い」もエモすぎて悶えた!! 酒の失敗エピソードなのに全然イライラせずウキウキ読めるの、ねむ子さんのキャラ愛の賜物だと思います……🩷💙💛💙