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#感動
こはる
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#死に戻り
こはる
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こはる
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第8話
あれから、ずっと泣いていたから涙が枯れた。
ニルスさんも、逃げずにずっと側にいてくれた。
こんなに泣くのは生まれて初めてかもしれない。前世は記憶が古すぎて覚えてないけれど……
「もう、大丈夫か? 水を飲んで、落ち着いてろ。俺もすまなかった」
「違っ……ただ私は、八つ当たりしちゃっただけ……ごめんなさっ」
私の事情なんて知りもしないのに、ごめんなさい。
今はもう、手負いの獣なんです。あの時、どんなに口を開いても傷つけてしまう言葉しか出せなかったと思う。
でも、他にも選択肢があったはずなのに……
「リナは偉いな。人の事まで考えられるなんて。何も返せなかったらって言ってたけどさ、人ってのは沢山の人に助けられて、沢山の人を助けるんだ」
「沢山の人に助けられて、沢山の人を助ける……」
私は言葉を口の中で転がした。
私は助けた人なんているの?
自分の古傷が痛い。かさぶたを少しづつ剝かされていくような痛さ。
「俺の事を助けてるだろ? リナに自覚がなくとも、俺は助けられたと思ってる」
「えっ? ニルスさんを助けった? ひくっ」
ひゃっくりをしながら私は首を傾げた。
「あぁ。リナの優しさにとても助けられた。無愛想だった俺にも対等に接してくれてな。俺こそすまなかった」
優しさ……そんな事したっけ……? あれ?
「無自覚でもいい。ありがとう」
そう言って私の事をギュッと抱きしめた。
あれから寝落ちして、ハッとして起きると真夜中だった。今日はあまり苦しくなかった。
起き上がって横を見るとニルスさんと目が合った。
「まだ、起きてたんですか?」
「ちゃんと寝てた。リナの魔力の動きで、起きたんだ」
え? どういう事?
魔力の動きって……? 結局起きてたって事じゃ……
「あ、昔から魔力の動きを見続けるように特訓してたんだ。それで、いつ誰が何をしたのか、目を瞑っていても分かるんだ」
「そうなんですね……」
……寝てなかったって事じゃん……
「あ、飲めなかった薬は飲むか? 後でが良いなら後でにする事ができるが」
あ、そういえば……
「はい。飲みます」
「そうか。じゃあ、これだな」
そう言って薬が乗っている薬包紙を私に渡した。
薬は飲んだけど、とても苦い。まだまだ、子供舌だわ……
「飲めるのか? 小さい頃というか今も、そんな薬はごめんだぞ」
あ、前言撤回。
普通に苦いやつだった。あまり技術も進んでないこの世界はやっぱりあの、小さい頃良く飲んでた『風邪シロップ』とかはまだ無いよね……
「通りで、とても苦かったんですね。でも、良薬は口に苦しですから……」
「よく、難しい言葉を知ってるな」
いや、そんなエリート中のエリートが通うような学校に通ってる人にそんな事を言われた……ふふっ。
「ふぁぁっ〜……何だか眠くなってきました」
「栄養の薬が、食後と同じ睡魔を呼んだんだろ。寝てて良い。俺も眠いからな。大丈夫だ。」
私がコクリと頷くと頭を優しく撫でてくれた。
直ぐに寝れた。
何だか、ニルスさんの声って安心するんだよね。怖かった気持ちがスッとどこかへ旅してしまう。
あれから、二週間後。
元気になったのは大体、十日前だけどニルスさんが首を横に振るので一昨日復帰した。
その時にはあの『大丈夫だ』は言わなかった。
そんなこんなで、すっかり元気になった私は、お店に復帰した。
「これの品出しを頼む」
「はい」
そして、いつも通りに商品を並べて、いつも通りの一日を終えた。
次の休日は、出かけなかった。
怖かったんだよね。また拐われるなんて……そんな事は無いはずなのに……
雇われてから数ヶ月が経った。
復帰してからのルーティンは変わらない。
でも、今は店番を任されていた。
道具が壊れたらしく、早急に直さないと納品に間に合わないらしい。
別に、こんな午後の昼間が暇なんて人は誰もいなさそうだし。働いてなくたって、子供の世話があるだろうし……
そう思ってたら、カランカランと扉に付いているカールさんお手製ドアベルが静かだったこの空間に鳴った。
私が急いで表に出ると、黒髪黒目の貴族みたいな格好の男性がいた。
艶のある短髪で肌は美白って感じ。でも、私と違ってつり目。ソードホルダーにカールさんが作ったようなストラップが付いている。
「いらっしゃいませ」
私がペコリと頭を下げると、その人が「私は、マルティン・ケスラーだ。ニルスさんって人はいるかな?」と優しい声が頭上から聞こえた。
え? ニルスさん……
いつもは、もう帰ってきてる時間。
いや、私の所為で急がせてたのかもしれないけど、こんなに遅くなるのは珍しい。
「まだ、帰ってきていませんので、こちらへどうぞ。もう直ぐ帰ってくるはずです」
そう言いながら私は客室へと案内した。
コメント
1件
うわ、第9話めっちゃ沁みたわ……。リナがニルスさんの前で感情爆発させて、そこから「人の事を助けてる」って言われてまた泣きそうになった。自分では何もできてないって思ってるリナに「無自覚でもありがとう」って言えるニルスさん、大人の余裕というか優しさというか……痺れた。最後の客のマルティン、黒髪黒目で貴族風、しかもニルスさん宛てってのが気になりすぎる。次回どうなるんだろう、続きが待ち遠しいわ🔥