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鷹槻れん

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#契約結婚
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#好きだった
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重厚な家具。
磨き上げられた床。
壁には、創業当時の角実屋フーズの社屋を写したモノクロ写真が飾られている。今より随分小さな――まるでプレハブ小屋のような建物。そこから現在の、全国各地に支店を構える大企業へと育て上げたのが目の前の男、角宮盛晴だった。
何度か足を運んだことのある部屋だったが、今日はいつもに増して空気が重々しく感じられる。
「座れ」
盛晴が向かいのソファを顎で示す。
「失礼します」
晴永が腰を下ろすと、清香もその隣へ静かに座った。
誰も口を開かないなか、晴永は一度だけ深く息を吸う。
「おじい様」
呼び掛けに、盛晴が静かに晴永を見つめてきた。
晴永は幼い頃から、祖父のこの眼差しが苦手だった。
だが、そんなことを言っている場合ではない。
グッと腹の底へ力を入れると、晴永はまっすぐに盛晴を見返した。
「俺は……小笹瑠璃香さんと結婚したい」
部屋の空気が張り詰めたのを感じながら、一気に続ける。
「藤井田千紗さんとの婚約は解消します」
ここで言葉を切れば、祖父に主導権を渡すことになる。その前に、伝えるべきことはすべて伝えなければならない。
「以前も申し上げた通り、俺は瑠璃香以外と結婚するつもりはありません」
盛晴は何も言わず、ただじっと晴永を見つめている。
その沈黙が、何より重い。
やがて、盛晴はゆっくりとソファへ背を預けると、晴永の真摯な訴えを鼻で笑った。
「……世間へ婚約を発表しておいて、今さら覆せると思っているのか?」
低く、冷えた声だった。
「婚約とは家同士の約束だ。子どもの気まぐれ一つで白紙に出来るほど軽いものではない」
晴永は祖父の視線を真正面から受け止める。〝子ども〟という言葉が、半人前だと言われたようで腹立たしかった。
だが、今はそんな感情に囚われてヘマをするわけにはいかない。
「承知しています」
「なら、話は終わりだ」
「終わりません」
即座に返すと、まさか反論されるなんて思っていなかったんだろう。盛晴の眉尻が不機嫌そうに一瞬だけ跳ねたのが分かった。
だが、祖父が不機嫌になろうとなんだろうと、晴永は自分の気持ちを曲げるつもりはない。
「俺は、誰が何と言おうと、瑠璃香以外の女性と結婚するつもりはありません」
盛晴の纏う雰囲気が、明らかに不機嫌になったのが分かった。
今までの晴永ならきっと、威圧的な祖父の空気に気圧されて、引き下がっていただろう。
そうして盛晴も、恐らくはそれが分かっていて、こんな態度を取っているのだ。
(負けてやるかよ)
家で瑠璃香が待ってくれている。
そう思ったら、不思議と力がわいてきた。
「以前も申し上げたはずです。俺の気持ちは変わりません」
「変わっておらんのは、お前の幼さだけだ」
盛晴は吐き捨てるように言った。
「恋愛だの愛情だの……そんなものは一時の感情に過ぎん」
晴永は何も言わない。
「だが結婚は違う」
盛晴はここぞとばかりに身を乗り出し、畳みかけてくる。
「家と家を結び、人と人との信頼を築き、会社を守るためにするものだ」
「……」
「お前は角宮家の長男だ。その立場を理解しているからこそ、これまで角実屋フーズで働いてきたのではないのか?」
静かな問いだった。
だが、その一言一言が重い。
コメント
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おお、114話!晴永が祖父の盛晴に真正面から「瑠璃香と結婚したい」って宣言するシーン、めっちゃ熱かったわ…🔥 幼い頃から苦手だった祖父の威圧感に負けず、腹の底から言葉をぶつける晴永の姿勢、成長を感じてグッときた。祖父の「恋愛は一時の感情」って台詞も重くて、家と家のしがらみがリアルに伝わってくる。 瑠璃香の存在が晴永の背中を押してると思うと、もうニヤニヤが止まらん。次が気になる!