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百_鬼ぱろ
「ねー!! みてー!!」
いむがいつも通りの甲高い声で叫びながら両手を大きく上げる。
その手には、キウイがあった。
「キウイもらったからさー、4人で食べよーよ!!」
ちょうどないふが留守にしている。
「お、ええやん! 食べよ食べよ!! なんか、キウイ久しぶりに食べるな!」
しょうちゃんがニコニコで言う。
俺もキウイは好きだけど、ないふが嫌いなのか、あまり買ってこない。
最近食べた記憶がないから、自然に口角が上がる。
「りうらも食べるー!! 切ってくるからちょーだーい!」
そう言って、いむからキウイをもらった。
それを不思議そうにあにきが見る。
「…『きうい』ってなんや?」
予想外の言葉に空気が凍る。
「…悠くんキウイ知らへんの…?」
「おん、聞いたことない」
あにきは嘘をつくような人ではない。
「まあまあ!! あにき好きそうではあるから、とりあえず食べてみて!」
いむが急かすように言うと同時に9本の尾がゆらゆらと揺れた。
「はいはいw ちょっとまっててー」
俺は台所に向かうと、棚から包丁とまな板を出し、カットしていく。
なにか、狼耳の方にさわさわとした感覚があり、なにかと思い後ろを振り返る。
「すげー、ええ匂い…」
あにきが、少し頬を赤らめた笑顔ですんすんと匂いを嗅いでいた。
「wあにきそんなにキウイ好きなの?」
「わかんない、けどなんか引き寄せられるよぉな…ふあふあする…」
気持ち呂律が回ってないような感じがしたが、気にせず一緒に出した皿に盛り付け、机に置いた。
「んー! やっぱキウイおいし〜〜!!」
みんな一斉に食べる。
やはり一番初めに声を出すのはいむ。
「えー! どこでもらってきたん? めっちゃうまいやーん!!」
食べる前からずーっとにっこりしていたしょうちゃんは変わらずニコニコ。
やっぱりキウイめちゃ甘くてうまい。
「…めっちゃあまくって、うまいなぁ〜…」
なぜか食べた瞬間にぽやぽやし始めたあにき。
顔は赤くなっていて、いつもより言動がふわふわ。
なにか、変だな〜とは思いつつも、キウイは美味しくて、いむしょーももぐもぐとずっと食べる。
「…なんで、あにきにキウイ食わせてんの…」
急に呆れたような声が耳に届き肩が跳ねた。
それは、いむしょーも同じようで、一斉に声のした方…あにきの方を向いた。
案の定それはないくんで、なぜかあにきの利き手…左手の手首をぎゅっと掴み上げていた。
「なぁこぉ? なんぇやぁ〜…きーぅいもぉとたぇたぁ…? なぁこもくぅ…?」
もうあにきは溶け始めたかのように完全に呂律が回っていない。それに加えて、顔はりんごみたいに真っ赤に染まり、いつも変わらないように見える角の下にある耳はこれでもかと言うくらいに垂れていた。
いむしょーも異変に気づいたように、はてなが浮かんでいた。
「はぁ…子供組知らないの? キウイってマタタビ科のフルーツだよ?」
またしても以外な言葉に子供組全員で驚く。
「えー?!そうなのー?! だからあにきキウイ知らなかったんだ!!」
いむしょー二人で驚いたように顔を見合わせる。
「だから、ないくんキウイ全然買ってこないんだー。」
知らなかったん?と言う程の呆れ顔で、俺達を見下す。
ないくんの下で、あにきはぽやぽやと満面の笑みで揺れている。
「…うわ、子供組キウイ食ってる… まろも食べたいんに〜…」
ないくんの後ろで口元を着物の裾で覆いながら、顔を顰める。
先程の匂いを嗅いでいた時のあにきくらいに少し顔を赤らめていた。
「ほら、まろ寄ってきちゃったじゃん…まろ食べ始めると止まんないからな〜…まろ食べちゃだめよ〜?」
ないくんがいそいそとまろをまろの部屋に追い込んだ。酒とともに。
ないくんがあにきの手を離した瞬間にキウイを食べ始めるあにき。
目を細めて、幸せそうに笑う。
「きゅぅぃ、ぅぁ〜にゃ〜ぁ…」
もう、なに言ってるかすらわからない。
いつも着物で隠れてる尾も着物の中から出てきて、左右に振られる。
目もとろんとトロけていて、普段は動かない耳もぺた〜と垂れて、なんとも猫のような愛らしい姿に。
「あ〜っ、あにき〜、食べないで〜 それ以上食べると危険…」
ないくんが焦ったようにあにきの手を止める。
「にゃぁんぇ…?…おぇりょ………」
普段キッとしている眉を普段からは想像もできないほどハの字に曲げて、目にじわっと涙が浮かぶ。
座っているあにきと立っているないくん。
困り眉×赤面×涙×上目遣いのフルコンボ!!ないこに100ダメージ!
ないくんは、うグッ! っと声を上げるが、子供に言い聞かせるように、めっ!
先程まで、ご機嫌そうに振られていた尾もぱたぱたと畳を叩くように振る。
その後、首根っこを押さえられ、力が抜けたところを自室まで引きずられていった。猫の性質上、首根っこを押さえると、力が抜けるらしい。
この時、あにきの尾はさっきよりも強く畳を叩き、顔を顰めて、いか耳。
完璧不機嫌状態だ。
そのまま、子供組であにきとないくんを見送った後に、みんなでキウイを頬張った。
後日。
あにきは、半分記憶が飛んでいて、頭痛と異様な喉の渇きと吐き気に襲われて茹だっていた。
本人曰く「ちっさい時に興味本位でマタタビ舐めた時と同じ感じ」だそうだ。
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