テラーノベル
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光の斬撃が地下室ごと切り裂いていく…
すると5つの石の後ろに隠されていた空間が開かれた。
「おお!隠し部屋!!」
隠し部屋とかってテンションあがるよね。
さっきの部屋じゃ見つからなかったし…こっちにあるっしょ!
「失礼しま~す」
発見した隠し部屋の中に入る。
その中には淡く輝く大きな石があるではありませんか!
おばあさんは大喜びでそれをもち…おばあさんじゃないやい!
そんな一人茶番をしながら大きな石に近づく。
「綺麗やね…ほんのりあったかいし…」
ちょっと暖かい。
でかいしカイロの下位互換だね。
「地下室って寒いからちょうどいいね…」
あれ?なんでここに来たんだっけ…
ぬくぬくしながら考える……
そうだ!魔道具探しに来たんだ!
「魔道具っぽいもの~」
隠し部屋の隅から隅まで探すがそれらしきものは見つからず。
「ないな~」
暖かい石にもたれかかる。
ん?暖かい石なんて普通はないよね…?
「!もしかしてこれが魔道具!?」
でもなぁ…魔道具か聞かれたら石って答えそうだし…
じゃあギミックかな?
「わからない……まあ壊せって言ってたし!壊せばいっか!」
どっちにしろ壊さない選択肢ないし!
考えたら負けな部類だ!
「破☆壊!ごにょごにょ剣術『彼岸六斬』!!」
ガンガンガンと6回斬りつけるものの、壊れそうにもない。
「あれ?もうちょっと強くやるタイプの固さかな…?」
一気にやるほうがいいかも…ということで(?)
「容赦なしの!『多分英雄一閃』!!」
流石に耐えられなかったのかガッシャーンと大きな音を立て石がガラスのように細かく崩れる。
「壊したどー!」
大きく剣を掲げようとするが、天井に引っかかった。
「もう…かっこがつかないな…しっかり天井は3メートルぐらいは用意しときなさいよ…」
天井がちょっと低いという設計ミスに少し文句があるが、とりあえず美香の元へ戻ることにした。
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破壊する数分前。
眞籠先輩たちは狐と大接戦を繰り広げていた。
「しぶといのです!『水縛空間』!!」
眞籠先輩が魔法で、触れれば囚われる水の牢獄を一気に8つ作り出す。
「MP切れに気をつけろ。きついなら言え。安心しろ。己がいる」
姿の見えない敵からの攻撃を全て防ぎながら曜先輩は言う。
「大丈夫…なのです!まだまだやれるのです!『水縛空間』!!」
鼻血を手でぬぐいながら追加で2つ作り出す。
「いくつ作ろうが当たらぬ。当たったとしてもだがな…」
魔法無効だし…意味ないはずだが…
「だとしたら…なぜ避けるんですか?」
この戦いの中で眞籠先輩は気づいていた。
魔法無効は…自分に対しての魔法攻撃の無効だと。
「『水縛空間』は魔法…避けなくてもいいはずなのに…どうしてですか?」
「気づいたのか……!?」
最初から避け、当たらないようにしてたのは魔法無効の穴に気づかせないためだった。
今ならそう考えられる。
しかし…
「それに気づいたところで、だな……その穴があったとて貴様らに攻撃手段はない」
そう。眞籠の魔法は絡め手が少なく、唯一汎用性が高く連発しやすいのが『水縛空間』であるという惨状。
決め手に欠けている状態だ。
「早く…攻略するのです…夏世…」
「仲間を信じているようだが…無理だと言っておこう。その作戦ではなにも見つけられん。どうあがいてもな」
「心を読んだのですね……言い訳も見苦しいですよ!」
虚勢を張る。
言っていることは本当なのだろうが、眞籠先輩たちは信じるほかない。
「哀れな貴様らに介錯を!」
狐が一気に仕掛ける。
終わらす気だろう。
「やらせん!『黄金盾』!」
しっかり防御するが、力の差でじりじりと押し返されていく。
「ぐっ!」
「補助するのです!『水煌園』!」
バフをかけるものの、さして変わらず。
「…だが…力任せには負けん!」
しかしその力の差でも曜先輩は押し返した。
「狐よ…攻撃に焦りが出てるぞ。少し乱雑だ。お前のギミックに誰かが入り込んだからか?」
「ッ!!!!」
見えなくても分かる、力任せの振り下ろし。
曜先輩でも喰らえばひとたまりもない。
「!!『完全防…」
防御スキルも間に合わない絶体絶命。
狐の手が曜先輩にあたる直前…狐がはじけた。
「!?」
「!はじけたのです!?」
狐はガラスが割れるように粉々になる。
「大丈夫かしら!『回復祈願』!」
唐突に狐がはじけた様子を見て美香が急いで駆け寄り回復を掛ける。
「だ、大丈夫なのです!」
「ああ…驚いているがダメージは0だ」
「よかったわ…」
驚きながら、今回のMVPであろう夏世の帰宅を待つことになった。
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神社の外に出ると眞籠先輩たちが集まっていた。
「皆さんお集まりのようで!」
「!よくやったじゃない、なつ!あんたのおかげで勝てたわ!」
「そうなのです!夏世がいなかったら曜は今頃ぺしゃんこどころじゃないのです!」
「うむ…緊迫した状態でよくやってくれた…」
「いや~それほどでも…ある!」
そんなこと言われちゃ謙遜なんてできないね!
「しっかり破壊してきたからね!何かを!」
何を壊したかはよくわからないがどやる。
「じゃっそろぼち帰りましょー!」
「そうね。じゃあ転移陣に……あら?転移陣はどこかしら?」
周りを見渡すがそれらしきものはない。
「確かにないのです!」
「ボスを倒したら必ず出てくるはずなんだがな…」
曜先輩の言う通り、いつもならすぐに出てくるはずなんだけどなぁ…
「そういえば…「月陽」さんは?」
戦闘中は存在自体を忘れていたが、終わって思い出した。
ほぼ戦闘にも参加せずにどこにいったのだろう…
「確かに…戦う以前にどこに…」
眞籠先輩がきょろきょろと周りを見渡すが見つからないようだ。
「かくれんぼ始まったのかな?」
「戦闘中にSランクがそんなことするはずないでしょ…ついでに探しましょ」
というわけで探すことになりましたとさ。
「じゃあ私はこっちが…」
神社のほうに足を一歩踏み出そうとしたとき、光が私の踏み出そうとした地に突き刺さる。
「!?攻撃!?」
すかさず後ろに下がる。
「何?…敵かな…?」
光が飛んできたと思われる方向を見ると……探そうとしていた「月陽」さんが無数の光を浮かばせながらたたずんでいた。
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「「月陽」さん…?」
思わず口から出てしまった。
「狙いが逸れましたわ…まあいいですわ」
「なんで私たちを攻撃…」
尋ねようとしたとき、再び光が私に向かって飛ぶ。
「っ!」
慌てて避けるが頬にかすり、血がぽたぽたとダンジョンの床に落ちる。
「避けましたか…面倒ですわね…」
「ちょちょちょ!なんで攻撃するのって!私たちは仲間じゃ…」
「ええ。途中まではそうでしたわ。今は違いますが」
「今は」違うってどうことよ!?
「よくわからんけど…攻撃するのはやめてほしいんだけど…」
「それは少々無理なお話ですわ」
駄目か…
「…少々時間を使い過ぎましたか…ではごきげんよう!」
「ちょっと待…!?」
急に後ろに引っ張られバランスを崩す。
「美香!?どうしたの!?」
「どうしたもこうしたもないわよ…ちゃんと前を見なさいよ」
そういわれ見てみると…
さっきまでいた場所に何個もの光が突き刺さっていた。
「多っ!?殺意高過ぎじゃない!?」
「ちゃんと前をみなさいって何度言ったことかしら?」
「次からキヲツケマス」
小学生の時から永遠に言われ続けてきたが未だ直らず…
「危なかったのです!美香が思いっきり引っ張らなきゃ二つは当たっていたのです!」
「うむ…少し気を付けたほうがいいぞ」
「ぐうの音もでない…改善しないとか…」
これからもこんなことがあっちゃね…
なんて考えつつも、次なる攻撃に備えようと思考を切り替える。
「?あれ「月陽」さんは…?」
しかし先ほどまでいたはずの場所に「月陽」さんはいなかった。
「攻撃に気をとられていた間に逃げられたか…?」
「でも!目を離したのは一瞬なのです!その短時間で逃げるなんて…到底できるとは思えないのです!」
確かに。1人だけとは言え一瞬の隙で逃げるなんてのは無理だと思われる。
「じゃあどこに行った…?」
「彼女は帰ったよ。君たちに攻撃を仕掛けると同時にね」
不意にこの場にいないはずの声が聞こえた。
「!?」
「やあ、お兄さんたち!」
少年の声が異様に響く。
「まさか、朝妃が裏切るなんて思ってなかったでしょ?」
少し笑いながら少年が言う。
「ちょっと…整理させて。情報量ががががが…」
その後、休憩とかを交えつつ整理した。
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「改めまして。おめでとう!お兄さんたち!よくぞあいつを倒したね!」
少年は続けて言う。
「そして、裏切られるなんて微塵も考えてなかったお兄さんたち!実に愉快だったよ!」
ちょっと棘のある言い方。
だが腹を立てる気持ちは微塵も出てこない。
「少しいいかしら?朝妃というのは「月陽」のことで合ってるかしら?」
「うん!そうだよ!」
にこにこと笑顔の少年が肯定する。
「よく理解してなさそうだし…もうちょっと教えてあげる!朝妃…立花朝妃はお兄さんたちを殺すために最初から画策してたんだよ!」
「へ?」
「最初から。お兄さんたちに朝妃が接触してきたときからずっと、お兄さんを殺すために動いてたんだよ」
唐突な暴露に思考が固まる。
「今まで見せてきた優しさも…全て信頼を勝ち取るためだったんだよ」
その言葉を聞いてもなお否定したくなる。
「…それは違うだろ」
そこに曜先輩の声が響く。
「…姉はそんなことはしない……全て当主が画策したのだろう」
「ちぇっ…つまんな~い…せっかくお姉さんたちの仲にひびを入れてやろうとしてたのに」
情報量が多くて処理しきれない…
えっと…「月陽」さん…じゃなくて…立花朝妃さんが殺そうとして…でも曜先輩は姉はやらないって言ってて…あれ?姉は?
「もしかして…「月陽」さんって曜先輩のお姉さんなの!?」
「?うむ…急にどうした。立花という姓を名乗る時点で分かる思っていたのだが…」
「ええ。それで姉だと断定できるし、曜先輩も言ってたでしょう?」
「そうなのです!まあ前に少し聞いてましたし…」
あら、私以外冷静なこと!
「一回夏世のことは置いといて質問させてもらってもいいかしら?」
「いいよ!お姉さんが疑問に思うすべてに答えてあげる」
「そう。ありがとう。早速質問させてもらうわ。朝妃さんをここから逃がしたのはあなた?」
唐突に踏み込んだ!
普通ジャブから始めるでしょ!
そもそも…少年がそんなことするはずも、できるはずも…
「うん。そうだよ。お兄さんたちが死んだという幻覚を見せて、そのまま僕が地上に送ったよ!」
あらま、できるんかい!
心の中で盛大に突っ込む。
「じゃあなんで私たちが死んだという幻覚を見せたのかしら?」
「もともとお兄さんたちを殺してから地上に送る手はずだったけど…従う理由もないし、お兄さんたちを生かす方が面白いかなって思ってやった!」
なんと純粋で身勝手なことを…
でもそっか。モンスターだし人間のことにいちいち構ってられないし…
「そう。そこには感謝するわ」
「いやいや。本心じゃない感謝はいらないよ」
「あら、ある程度は感謝していたのに?」
「僕は自分を騙して言う感謝には興味すら抱かないんだ」
「そう。じゃあいいわ」
そう言って美香が戻ってきた。
「だいたいわかったわ。なつはわかったかしら?」
「うん!3割ぐらいは完全に理解したよ!」
「それは完全に理解したとは言わないわ」
「まあ3割わかってる時点で進歩でしょ!」
「いつでも前向きなのが羨ましいわ」
やれやれといった表情で美香が見つめてくる。
「じゃ私たちもそろそろ帰るとしましょう」
「帰ろ!帰ろ!疲れた!」
情報量多すぎ…戦闘よりも疲れた…
「一回地上に戻ったら夏世の家で一度すべての情報交換をしましょうか」
なんだか嫌な予感がするな…
「もちろん…翌日だよね…?」
「いえ。このあとすぐよ」
「休ませてほしい~…」
「無理よ。1日置けばなつは記憶なくすから」
「私は鶏かなんかなの!?」
「さっ帰りましょう」
「無視!?」
ワタシ、カエッテ、ネタイ。
しかしそんな思いは通じず。
「じゃあ帰らせてあげるよ。また会える時を心から願っているよ」
「私は二度と会いたくないけれどね」
「う~ん…暇だったらまた来る?」
「たまにはいいかもしれんな。祭り狐もいることだしな」
「絶対にまた会うのです!」
「ありがとね。じゃさようなら」
そう言って少年は私たちを地上に送ってくれた。
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『王狐視点』
「…朝妃これでいいの?」
幻覚で隠していた朝妃に聞く。
「ええ。ありがとうございますわ。感謝いたします」
「いや~…朝妃がこんなお願いするなんてね。そこまでして弟に嫌われたいの?」
「嫌われるのは嫌ですわ。でもこうするしかないんですわ」
「当主命令だもんね。出来損ないを殺すのは」
「ええ。なので王狐様に頼りましたわ」
朝妃って胆力がすごいよね。
七王魔の傲慢「王狐」に平然とお願いするんだもん。
「さて…そろそろ僕は戻ろうかな」
「今回はありがとうございました。シナリオ通り、ダンジョンに喰われたという現象を幻術で作ってもらい、さらに「虚空の社ダンジョン」のルールも失くしてもらって」
「次からはただではやってあげないからね。じゃあね」
そう言い残して僕は46階層に飛んだ。
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※ルールを失くしたというのは厳密に言えば処罰の対象から夏世たちを外した形となっております。
なので18話の狐に対してはルールが適用された形となっております。
コメント
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(´。✪ω✪。 ` )
蒼乃(キャラボ中〜!)