投稿遅れて申し訳ないです…!!
遅れすぎて何ヶ月か日またいでますよね、、やばいですね、
私は学生なので今は夏休み真っ最中です。友達とユニバに行ってきてコナングッズを買いすぎてしまいました…お財布が、、🙃
今回は降谷さん目線のパートですね、性格が降谷さんというより安室さんですが許してください(>人<;)
君を初めて見た時はただ単純に綺麗な人だと思った。
顔が整っているというのもあるけれど、彼の印象、彼が纏っている何かも含めて綺麗だと思った。彼の存在自体が綺麗だと思えた。
だから初めて君と話したときは少し緊張していたのかもしれない。それにあまり良い状況でもなかったし。
けれど僕が感じていた印象とは裏腹に、君はとても気さくに、明るく僕に話しかけてくれた。そして僕ととても相性が合っていた。
その時が来るまでは、君をどこか遠い存在だと思っていた。綺麗だからこそ高嶺の花的な存在なのだと。
でも違った。君と話している一秒一秒の時間でさえ惜しく思うくらいにその時は楽しく思えた。
そんな彼の名前は工藤新一くん。僕のひとつ年下の後輩だ。可愛い可愛い僕の新一くん。
君と会ったのは中学3年生の夏あたりだっただろうか。
「失礼します」
静まり返った生徒会室の扉にコンコンとノック音が聞こえた後失礼します、と一言丁寧な口調をした声が聞こえた。
夏の日の長さでまだ明るく夕方ごろかと思われるが、時計の針はもうとっくに六時を超えている。
それに、今はテスト期間で部活も停止しているのだ。それにも関わらずまだ残っている生徒が僕以外にもいたことに少々驚いた。
「えーっと…生徒会室に何か御用かな?申し訳ないんだけど今日はもう遅いからうちの生徒会委員は僕しかいないんだ」
「そうなんですね、すいません」
扉を開けた先には、最近図書委員のイベントの件でよく生徒会室に訪ねて来る工藤新一くんがいた。
生徒会室によく訪ねてくると言ったものの、他の生徒会委員が彼と接していたので僕との接点はほとんどない。
けれど、どこか彼を毎日のように目で追っていた。それは、ただ単純に彼が綺麗だと思えたからだ。特に目が好きだ。何かを見透かすことができるような、広くて深い海のような目。ものすごく綺麗で感心が持てた。
けれど不思議なことに、工藤くんを目で追うものはあまりいなく、異性の人に話しかけられるところもあまり見たことがない。
僕はてっきり、工藤くんはモテモテで学年では相当な人気者だと思っていた。たしかに見た目からして活発で無邪気な子というわけではなさそうだが、それでも容姿が整っているため人気があるのだと思っていた。
容姿が整っているのにも関わらず異性からはあまり人気がない。となると、性格が少しキツめなタイプなのだろうか。いや、言葉遣いからしてそんな風には思えない。
「じゃあまた今度生徒会室にお邪魔させていただくので、今日は帰りますね」
そんなことを考えているうちに、彼は僕に背を向け帰宅をしようと足を進める。
僕も右手を振って工藤くんを見送ろうと…
「……えっと…なんでしょう…?」
僕も一瞬、何が起きたか分からなかった。取り敢えず今の状況を確認すると、僕の右手が工藤くんの白くて細い右手首をしっかりと掴んでいる。工藤くんも困惑した様子で僕の顔をまじまじと見ている。
でもそんな工藤くんよりも驚いているのは僕の方だ。無意識で工藤くんの右手を掴んでしまっているのだから。
「………」
工藤くんも驚きと困惑で言葉が出ないのだろう。そりゃそうだ、ほぼ初めて顔を合わせた人に腕をつかまれて、今も尚その腕を離してくれないだなんて……ってまだ工藤くんの腕を掴んでいたままだった…。
直様手を離した後、兎にも角にもこの重苦しい空気をなんとかせねば、と思い取り敢えず言い訳を考えてみる。
「あー…もう遅いから僕は帰るところだったんだ。工藤くんもこれから帰るのだろう?よければ僕と一緒に帰らないか…?…あはは…」
「…そういうことですか…構いませんよ、一緒に帰りましょうか」
咄嗟に自分の行動にいかにも言い訳くさい言い訳をつけ一緒に帰らないかと言ってしまったが、工藤くんにはあっさりとオッケーの返事をもらってしまった。
ああでも最悪だ。僕のIQはいつからこんなにも低くなってしまったのだろうか。普通ここで一緒に帰ろうだなんて言ってしまえば余計に気まずさが増してしまうというだけなのに。
「ああ…えと、工藤くん、図書室の鍵は職員室に返してくれたかい?図書委員の仕事で図書室使っていたんだろう?」
「ええ、大丈夫ですよ。生徒会に報告終わったら帰ろうと思ってたんで、置き忘れもないか確認してきましたし、鍵もちゃんと閉めてきましたよ」
「それなら良かった。工藤くんはしっかりものだね、何というか、抜けているところがないというか…」
「いえいえ…抜けてるところがないっていうのは降谷先輩の方だと思いますけど…ただ、降谷先輩なかったことにしてるみたいだけど、さっき腕掴まれた時は本気で驚きましたよ、笑。」
「…さっきは本当にごめん…ただ意図的にやったわけじゃないんだ、だから決してはセクハラとかではないからね?まぁ男同士でセクハラっていうのもあれだけど…」
「知ってますよ、降谷先輩の悪い噂なんて聞いたことがないし、ましてやセクハラなんて降谷先輩がするようには思いませんよ!」
「…工藤くんあまり世間のことには興味がないって感じなのに僕のことは知ってくれているんだね…」
「そりゃそうですよ、降谷先輩はこの学校の生徒会長なんですから…。でも降谷先輩はハイスペックの完璧超人って聞いてましたから少し慌てたり言い訳してたところを見れたのはラッキーだったのかもな…」
「あはは…ラッキーか…僕も工藤くんの困った顔が見れてラッキーかな」
鞄を手に持ち、雑談しながら校舎の外に出る。一緒に帰ることを提案した時はどうなることかと思ったけれども工藤くんとは相性がいいようで、話していてとても楽しい。
取り敢えずあの気まずい空気を乗り越えられて良かったと思っている。手のひら返しになってしまうが、工藤くんと帰ることを提案した自分を褒め称えたい。
見ているだけの存在だった工藤くんとこうして喋り合うことができたのだから。
「…わ、凄い雨ですね、俺梅雨あんま好きじゃないんですよね…」
工藤くんが傘を開き、続けて俺に喋りかけてくれる。雨水と傘と工藤くん、これだけで絵になる彼は本当に綺麗なんだなぁ、と改めて思う。
「僕もあんまりかな…でも梅雨があければ夏休みが近いうちにやってくるからね。僕は受験とか生徒会長っていう肩書きもあって楽しめないかもだけど、」
「確かにそうですね、梅雨も一種の季節ですからね、夏休みの前触れだとでも思っておきます。夏休みは色んなイベントがありますし楽しんでおきたいですね…」
「そうだね、工藤くん、夏は今のうちに楽しんでおいた方がいいよ」
「そういう降谷先輩もまだ中学生だしまだまだ楽しめますよ笑。そうだ、降谷先輩、俺と夏休みどこか出かけません?…って降谷先輩夏休みは忙しいって言ってましたね、すいません」
自分の言ったことに反省して小さく頭を下げる。あぁすごく可愛いなぁ、こんなことでかしこまって頭を下げてくれるなんて本当に根っからのいい子なんだろうな…。今の可愛いはもちろん、後輩として可愛いと思っただけだが。
「いやいや、別に頭を下げなくても…それに、確かに夏休みにやることはたくさんあるけれど、せっかく工藤くんが誘ってくれたんだ。断るわけにはいかないよ」
「本当ですか、!ありがとうございます。折角降谷先輩とせっかく仲良くなれたので出かけられたらいいなって思ってたんですよね」
「ああ、僕もそう思うよ。じゃあ夏休みは工藤くんとのデート三昧かな」
「………で…と……でーとって…あ、えと…降谷先輩と…俺が…?」
僕がたった一言ぼそっと言ったことが聞こえていたようで工藤くんの顔が急に真っ赤っかになってしまった。「デート」たった一言でここまで顔を赤くさせてしまうとは、きっと工藤くんは相当ウブなんだろうなぁ、笑。
工藤くんの可愛さで僕がニヤつき始めると、工藤くんも僕の様子に気がついて軽く僕に叱りつけてきた。
「降谷先輩…からかわないでください…」
「あぁ、ごめんごめん、工藤くんの反応が可愛くてね…」
「…可愛くないです」
自身のせっかくの可愛さを否定してしまうところですら可愛らしく思えてしまう。
雰囲気と容姿からしてクールで美形の彼がこんな可愛い後輩だとは思わず続けて笑ってしまう。工藤くんは恥ずかしいのか、少々怒っているようだが。
「降谷先輩はもっと真面目な人だと思ってました…」
「ごめんごめん、さっき君が言っていた通り、僕も工藤くんの意外な一面をもっと見ていたかったんだよ、それに僕はそんな真面目じゃないからね笑」
「…じゃあ今度からは俺が降谷先輩の意外な一面に探りを入れてきますから、覚悟してて下さいね」
「僕の意外な一面か…工藤くんに探られるのなら構わないよ」
余裕そうに振る舞う僕にイラつき始めたのか、今度はわざと鞄を僕の足に当ててきた。降谷先輩呼びは変わっていないのに僕が先輩だということはすっかり忘れているようだ。
「そうだ工藤くん、明日の登下校も一緒にしないかい?まぁ君の都合にも寄るんだけど…登校する時の待ち合わせ場所は工藤くんの家の前でいいし」
「え、あぁ…俺も降谷先輩と登下校したいところなんですけど…快斗が許してくれるかどうか…」
「かいと?君のご家族か何かかい?」
「あぁ、えっと快斗は俺の幼馴染です。黒羽快斗って言うんですけど、でも、どうも快斗は過保護すぎるもんで…今日俺が放課後残って1人で帰ることもやっとのことで許してもらえたんですよ…」
黒羽快斗。聞いたことがある。父親が世界的に有名なあの黒羽盗一というマジシャンで黒羽快斗自身もものすごいマジックの腕前を持っているらしい。まぁ黒羽盗一はとあるマジックショーでマジックの失敗をしてしまい、同時に命を落としてしまったという。
「…そうだな、じゃあ工藤くんと僕と黒羽くんで登下校をしないか?それなら過保護な彼も心配はいらないと思うけれど」
「…どうでしょうか、快斗って結構警戒心とかも強いので降谷先輩と仲良くなれるかどうか…、昔はそんなでもなかったんですけどね…。雰囲気も気まずくならないか心配です…あ、でも一応快斗に頼んでみます」
「そっか…なかなか難しいんだね…でも登下校はできなかったとしてもまた休み時間とかに生徒会室に来てくれたらまたこうやって雑談でもしようか」
「もちろんです、降谷先輩とは気が合いますからまた話せたら嬉しいです」
その後も、寄り道をしながら工藤くんとたわいのない話ばかりをした。
憂鬱で冷たくじめじめとしたこの雨の中でも心が暖かく感じるのは、隣にいる工藤くんのおかげなのだと思う。あぁ、このまま一生工藤くんの隣にいさせてくれないだろうか。
「あ、もうこんな時間だね…少し寄り道しすぎたかな…」
「わ…ほんとだ、もう7時すぎてますね」
「そろそろ帰らないとね…空も暗くなっているし、工藤くんの家まで見送るよ」
「でもそれだと降谷先輩が危ないですよ…こんな夜道だし…俺は大丈夫なんで」
「いや、いいよ、僕が工藤くんを見送りたいと思ってるだけだから」
「そうなんですか…?じゃあ途中まで見送っていただけるとありがたいです…」
工藤くんのためだと思うとなんでもできてしまいそうだ。工藤くんは僕にとって大切な存在だ。彼といると心が浄化していっているような、そんな気がするから。これからもこうして工藤くんに近づいていけるのならもっと彼の側にいたい。
「…なんか今日の零さん楽しそうだな。なんか良いことでもあったのか?」
「いいや…少し昔のことを思い出していただけだよ、新一くんと初めて話せたあの日のことをね…」
「初めて話した日…ああ、零さんが急に俺の手掴んできた日のことか」
「それを言われると少し傷だな…そう言う新一くんもあの日は困惑したり顔を真っ赤にさせたりで…しかもあの時はまだ降谷先輩なんて呼んでいたなぁ」
「なんだよ…まだ降谷先輩なんて呼ばれたいのかよ…そんなに過去の俺が好きならそっちのことだけ考えてろよ…」
「いやいや、僕は今の新一くんの方が好きだよ?名前で呼んでくれてるところとか強がりなところとかすごく可愛いと思うけどな」
「…可愛くないし」
あの時と同じようにまた僕にツンとした態度を取るあたり、やっぱり新一くんなんだなぁと思ってしまう。
初めて話した日はまだ初々しく、敬語で接して降谷先輩なんて呼ばれていたが今じゃすっかりタメで話してくれるし零さん、と下の名前で呼んでくれるようになった。
『零さん』
毎度呼ばれるたびに心臓が痛む。そして新一くんへの愛が連なっていく。想い相手に自分の名前を呼んでもらうだけでこんなにも嬉しくて愛しくて、どうしようもなく新一くんのことを愛してやまない気持ちになってしまう。
あの日から変わったことは何かと聞かれれば、呼び方や話し方なんかじゃない。僕が新一くんへの恋心を自覚したことと愛の重さだ。
どうも自分は恋心を確信して恋をしたのが初めてらしいのだが、自分の愛がこんなにも重いということに驚いた。それか、想い相手が新一くんだからこんな愛になってしまったのだろうか。
兎にも角にも、こんなにも新一くんの側にいることができて、新一くんを愛すことができたのはあの日のおかげだ。あの日の巡り合わせが生んだものだから。
あの日は特別な記念日だ。運命の神様が訪れた日。
これからも僕は新一くんを愛し続けていく。でも片思いを拗らせ続ければこの愛が重くなり続けて歪な形なってしまうかもしれない。僕は彼の心に純粋な愛を、純愛を注いでいきたい。だからこそ、いつかはこの想いを伝えて僕が新一くんを幸せにする。必ず誓うから。
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