『赤葦が普通じゃ無くなった』
お互い24歳になった俺たちは久しぶりに飲みやで2人で飲んでいた。今夜は2人っきりで楽しもうぜ!!と、俺が木兎を誘って。赤葦は?と聞かれたが俺も積もる話があったし、後輩にこんな話ーなんてプライドが許さなかったので内緒にしてもらっていた。色んな話をして盛り上がって俺も俺で話したいこと話せて……酒も程よく聞いてきた頃、木兎がぽつりと呟いた。
『は?』
俺の第一声はそれ。だってあの赤葦だぞ?木兎の言う普通じゃないは分からないが、あんなに高校のころ木兎の世話をしてた赤葦が?
『それは、具体的に?』
『それがな!?!?』
木兎はぽつりぽつりと話し始めた。
「たっだいまぁー!!!赤葦ー!!」
「おかえりなさいっ!!」
俺が帰ると赤葦はふにゃりと笑って出迎えてくれる。そう、あのポーカーフェイスで有名な赤葦がだ。ま、かわいいんだけどさ?
「今日も1番かっこよかったですーっ!(*´ `*)」
なんて言うんだよ???しかもお酒ぐびぐび飲んですーぐ潰れるし、高校生の時は
「木兎さん、そろそろスポーツドリンク飲ん出ください。熱中症になりますよ」
とか、
「飲み過ぎです。気持ち悪くなるのでやめてくでさい」
とか言ってたあの赤葦が!!!
『な?普通じゃねぇだろ???』
『まぁそうだけど、、、ただ単にお酒好きなだけじゃね?』
まだまだあるんだって!!!!』
「ねぇ、木兎さん〜」
「ん?どうしたの?赤葦」
「ユニフォーム着てください、あ、ちゃんとサポーターつけて。いつものお願いします」
「お、おう!」
1ヶ月に1回ぐらい俺の撮影会があるんだよな。服は高校のユニフォームとか、プロになった時のユニフォームとか、エースの心得Tシャツとかいろいろなんだけど。
「木兎さん…かっこい…」
そんなこと言いながらパシャパシャすげぇ撮るの。
『まぁ、赤葦も赤葦で木兎さんはスターですからーみたいなこと言ってたしな笑笑』
『赤葦がおかしいのはここからなんだって!!』
「ふんふふーん」
「あかーし?何してるの??って、、、えぇぇぇぇぇぇぇえっっっっつ!!!!」
赤葦撮った写真全部印刷して壁に貼ってんの!!!!!
「木兎さんのかっこいいのいつも見てたくて…///」
なんて言うからつい許しちゃったけどさぁ〜目の前に実物いるのに写真にばっかかっこいいって言って、、、、( -₃-)
『なっ!?おかしいだろ????』
『それはおかしいわ』
『実物いるならこっちにかっこいいって言えばいいのにな!!!』
『違うわ!!写真印刷して壁に貼ってるって…ストーカーかよ!!!!』
『え?あーまぁ赤葦だしいいかなーって?』
『木兎…お前も大概普通じゃないぞ?』
『え?俺もう普通だけど?????』
『例えば?』
『例えばー』
「あかーし!!!起きて!!!朝!し!ご!と!!!」
「んーーやだぁ…」
「遅れるよ!ほらっ!顔洗って着替えてきて!!!」
「…つれてってくらさい(*pω-)。O゜」
「あーもうっ!!!」
赤葦同棲するようになってからすっかりダメ人間になってさぁ、俺の事に関わるといつもの「普通」の赤葦になるんだけど、、、自分のことってなるとダメダメ…んーー「普通じゃない」赤葦になっちゃうんだよー
『木兎お前、、、世話できんのか、赤葦の』
『俺もびっくり!!!』
『だろうな』
『でも前赤葦ほっといて1人で練習行ったらあいつ仕事あるのに2時間も寝坊して結局次の日全部仕事持って帰ってくるし…しかも一日中パソコンと向かい合ってるから飯も何も食べないしで、俺不安になっちゃってめっちゃ勉強したんだからな!?』
『木兎……お前のこと少し見直したわ』
『あ、ありがと??』
『他には?お前が普通になったとことかあるの?というか赤葦が普通じゃなくなった話聞くの面白い笑笑』
『えーとなー?』
前までは俺、赤葦が他のやつに取られちゃうと思ってすごい不安だったんだよ。だからどーにかここにいて欲しくてめっちゃ駄々こねてただろ?それが今じゃ、、、
「木兎さんっ!嫌だ…行かないでっ」
「俺をおいてくんですか!?無理です!1週間も会えないなんて耐えられないですっ」
「俺もつれてってぐだざい゛ーーーっ(т-т)」
ってなってさ、お酒飲んだ時遠征があること伝えるのめっちゃ駄々こねて泣きわめくんだよ。
『まじか…』
『まじまじ』
『あの赤葦からは想像できねぇけど、、、』
『まっ!お酒飲んでなきゃそこまで駄々こねないけど、少ししゅんとなるだけだな!!!』
『え、じゃあなんでわざわざ…』
『だって、赤葦が駄々こねるの可愛いんだもん♡♡』
『あ、、、』
ーーなんの話してんすかーー
俺が話を変えようとしたその瞬間後ろから聞き覚えのある声が聞こえた。
『あ、アカアシサン』
『あかーしぃっ!!!』
『木兎さんもう帰りますよ。あなた酔ってるでしょう??』
『うん!来て欲しくていっぱい飲んだんだー!あ、でも悪いことしてないよ!!カクニンする???』
『大丈夫ですよ、信じてますし』
なんか、すごい…なんだこれ、どういうこと?というかなんで赤葦この場所知って…さっき木兎言ってないって、、、
『で、木葉さん』
『は、ハイッ』
『顔赤いですけど、どんだけ飲んだんですか…ほら、お冷貰ってきますからさっさと飲んでもう帰ってください11時ですよ?』
『、、、、え?』
いや、全然普通じゃん。何??今日エイプリルフールとかじゃないよね?
そこには、少しだけ髪が伸びて眼鏡をかけた23歳になった赤葦がいた。その赤葦はちゃんとしっかりしていて「普通」で、、、さっきまで聞いていた赤葦とは思えないほど昔のままで、、、とにかく!木兎も木兎で酔っ払ってたし!嘘だな!デタラメ!!うんうん!!あの赤葦があんなことするわけないもんな!!
俺はそうやって自己完結し再び赤葦に話しかけようとした。
『よっ、!赤葦ひさしぶ』
『ところで木葉さん。長年付き合ってた彼女に振られたならもっと自分磨きするべきでは?』
『ゑ?????』
『あかーしなんで知ってるの!?』
『なんでって…昨日から木兎さんの様子がおかしかったので盗聴器つけといたんですよ。ほら、ここ』
そう言って赤葦は木兎の上着の胸ポケットから小さなボタンぐらいの機械を取り出した。盗聴器…盗聴器???え、怖
『お、俺そんなおかしかった???』
『はい。浮気してるんじゃないかって思うほどには』
ニコッと笑う赤葦はなんとも言えないがすごい圧を感じた。
『ま、結果そんなこと無かったですしいいですけど。』
『そ、それはいいとして!なんで赤葦木兎の場所知ってんだよ!』
そうだ。これが1番聞きたいこと。盗聴器があったとしても俺たちがしてきた会話の中で直接的な場所の話は一個もない。まさかとは思うが、、、もしかして、赤葦…
『『え?GPSがあるので(じゃん)』』
『、、、』
はぁもうヤダ帰ろ。こいつら2人とも普通じゃない。何?俺わざわざずっと付き合ってた彼女に振られたのなんも考えてなさそうな木兎に愚痴ろうとしてたのに赤葦にまで聞かれちゃってたわけ?信じらんない…盗聴器とかGPSとか、、、あーあなんか知りたくないこと知っちゃったよ。ほんと。
『じ、じゃっ俺帰るわ!また話そーな!』
『うん!楽しかった!!バイバイ!!』
『お気をつけて』
そう言ってそそくさと逃げた俺。木葉秋紀でした。
『ねぇー赤葦ー?この後一緒に飲み直さない?』
『はい。もちろん』
『それにしても木葉、GPSも知らないなんてお子ちゃまだな〜!!笑笑』
『ふふ、そうですね笑笑。それにしても木兎さんすごく酔ってますよ?早く帰って宅飲みしましょ』
『うん!そしたら今日また写真のやつやろ??』
『はい。今日はいつもの練習着でお願いします』
程よくお酒が回った俺は、また木兎さんの写真を撮る。はぁ〜今日のスターもかっこいい♡♡
俺の事大好きでこんなおかしくなっちゃうなんて……ほんと赤葦は可愛いんだから♡♡今度木葉にもっと自慢しよ!
「普通」になった木兎さんと「普通じゃなくなった」赤葦君の話。
いや、違う。これは