「よっ」
昼休み、廊下を歩いていたら後ろから誰かに肩を叩かれた。
視線を後ろにやると肩を叩いて来た優星と目があった。
「何だ、誰かと思ったらお前かよ〜」
振り返って優星の髪をわしゃわしゃと崩す。
「”お前”って何だよ”お前”って!!」
「ッるせー!!」
優星は俺の唯一の幼なじみで親友。小学3年生のとき、優星が転校してから仲良くなって、ずっとそのまま。
優星といると笑顔が絶えないんだよな。きっと紗羽といるときも、そう。
「…なんか、悩みでもあるん?」
「え」
図星。この前紗羽に「何でもないよ」と言われたのが気になっていた。紗羽が「何でもない」と言っているのだから何もないんだろうけど…なんか、気になるんだよな…。
「何?もしかして図星?」
「うん…… 」
「えマジで!?蓮兔が悩み事!? 」
「ぶん殴るぞ」
昼休みの静かめな教室で優星と話す。
「はー、中2の女の子!! で、好きなの?」
「は!?!?何でそうなる…!!」
「なるほどね、ゾッコンと…」
「違ぇよ!!!!…って、 そうじゃなくて… 」
「あー、傷があったってやつ?」
「うん」
「それは、完全に……」
教室の空気がシンと静まり返った、気がした。
「何かあったに決まってんだろ!!」
指を鳴らしてキメ顔をする優星。そうなのか…?
「じゃあ何で何でもないって言ったんだよ?」
「あーもう、分かってねぇな!!」
「へ?」
「蓮兔は鈍感すぎんだよ…気付いてないのか?」
俺が鈍感……?鈍いってこと…?そうなの!?俺って鈍いの…!?
「あのな!!こんなの常識だかんな。 “女の「何でもない」とか「大丈夫」は全部逆の意味なんだよ!!!! 」
「へ〜、何で逆のこと言うんだ??」
「もうダメだコイツ…まぁとにかく、ちゃんと聞いてこい!!」
「う、うん!行ってくる!」
椅子から立ち上がり、椅子が倒れる。教室のドアを開けたとき、優星に止められた。
「え、お前学校はどーすんだよ!」
「何とかなる!!多分!!」
「はァ!?」
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