テラーノベル
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クラスの窓際の席に綺麗な黒髪の髪の長い
女の子が居た。彼女は物静かでいつも
本を読んでるか外を見つめているかの
2択だった。
周りとは自分から絡みに行くことは無く
自ら人を避けていた。それも避ける人は
共通していて陽キャ、まぁうるさい人や
賑やかな人だった。
僕のような陰キャの分類とは面倒くさそう
ながらも絡んでくれる。多少なりとだが。
そんな彼女は僕の彼女だ。
誰も知らない、知るはずがない。
僕たちの関係。
僕は彼女の何かを見つめる目が好きだ。
真っ直ぐな目で凛としている。
そんなことを考えながら勉強をしていると
彼女が初めて自分から声を掛けてくれた。
内田くん、一緒に勉強してもいいかな
もちろん良いけど、珍しいね
彼女は僕の前に座った。
周りはキョトンとした顔でこちらを見ていた。
それもそのはず、誰も僕たちの関係を
知らないのだから。
僕たちはあまり学校で会話を交わすことも
このようにする事もなかった。
あっても人が居ないところだった。
周りの反応なんてどうでもよかった。
ひたすら彼女と会話をすること無く勉強を
進めているとふと彼女が何を勉強しているのか
気になり、彼女の手元を見てみると
今度小テストでやる百人一首の勉強をしていた。
君がため 惜し
からざりし 命さへ
ながくもがなと 思ひけるかな
そんなことが書いてあった。
僕には全く意味がわからなかったが
彼女のお気に入りの一首なのだと理解した。
これ藤原義孝が残した恋の詩なのよ
素敵でしょう?
え?あ、うん。
この詩、私があなたと出会う前と出会った後の
感情とそっくり同じなのよ。
なんで急にそんなことを言うのだろうか。
詩の意味が分からないため反応できなかった。
でも、何故か嬉しかった。
あなたに出会う前、命など惜しくなかったのに
今は、ただもう少しだけ長く生きて、
あなたと過ごす時を手放したくないと願ってしまう。
恋が、命の重さを教えてくれた。
私はこの詩があなたに届いて嬉しいよ
とてもね
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