テラーノベル
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中国は扉にすがりつき、必死に鍵を回した。だが、冷たい電子音と共に赤いランプが点滅する。
📢【必要人数不足ーー規定に達してません】
無機質なアナウンスが、冷酷に告げる。
それはまるで、「お前一人では決して逃げられない」と突き放すようだった。
🇨🇳「……そ、そんな……ふざけるなアル……!」
中国は崩れ落ちるように扉の前に座り込み、額を押さえた。
北朝鮮を裏切った代償。ロシアをも見殺しにした。
それでも、最後に生き残ったのは自分――そう信じたのに。
絶望で視界が滲んだ、そのとき。
――カツン。カツン。
廊下の奥から、規則正しい靴音が響いた。
一人ではない。二人分。
中国の喉がひゅっと鳴る。
扉の前にすがる姿勢のまま、振り返ることもできなかった。
背筋に冷たい汗が流れ落ちる。
🇬🇧「……こんなところにいたんですね」
低く、落ち着いた声。
耳に馴染んだ響き。忘れるはずのない声。
中国は震える首を、ぎこちなく振り返らせた。
暗がりから歩み出た影――二つ。
その先頭に立っていたのは、血に濡れた服を纏いながらも冷ややかな眼差しを崩さない男。
――イギリス。
その隣を歩く、少し笑みを浮かべた顔。
無機質な瞳。それは、
――日本。
二人は並んで歩み寄り、揺るぎない足取りで中国の前に立った。
📢【生存者確認ーー残り人数2人】
機械音声が淡々と告げる。
確かに、彼らは「死者」ではない。
🇨🇳「……そ、そんな……ありえないアル……イギリス……お前、ロシアに……!」
🇨🇳「それに…小日本っ……なんでここに!」
声は震え、涙に滲む。
イギリスは薄く笑みを浮かべ、冷たい眼差しを落とす。
🇬🇧「戦場では、死んだふりも生き残るための手段ですよ」
🇯🇵「……ここまで中国さんが、生きられたのは北朝鮮さんのおかげでしょう」
日本の声はすこし、喜んでいるようななんとも言えない不気味さがあった。
中国は喉を詰まらせる。
扉を背に、二人の影に追い詰められるような圧迫感。
🇨🇳「……ど、どういうことアル……。鍵は、1人分って……」
イギリスは無言で微笑み、日本は表情ひとつ変えない。
🇬🇧「いいえ?鍵は、1つでも全員で出ることは出来たはずですよ?」
二人は「仲間」――そして、このゲームの真の中心にいる。
🇨🇳「……我は……騙されていたアルか……」
声が震える。
北朝鮮に囁いた「守ってほしい」という言葉が、虚しく反響した。
全ては仕組まれていた。
自分が必死に足掻き、裏切り、血を流させ――辿り着いたこの場所こそ、罠の中。
イギリスが膝を折り、血で濡れた手を中国の顎に伸ばす。
冷たい指先が顎をすくい、無理やり視線を合わせた。
🇬🇧「さあ、中国さん。……あなたも“最後まで”残るつもりなんですよね?」
その声は優しくも残酷。
日本の瞳が、中国を写していた。
📢【条件はまだ満たされていません】
扉のランプが赤く点滅する。
🇯🇵「残念ですねぇ…?殺し合えなんて、一言も言っていないのに。今回も成功でした」ニコッ
🇨🇳「今回も…?」
🇬🇧「ここに来るまでの廊下に、部屋。死体があったでしょう?」
🇯🇵「それに、行方不明の国達がいましたよね?」
🇨🇳「それも全部っ!」
🇬🇧/🇯🇵「えぇ、そうですよ」
🇬🇧「……面白いですね。あなたは“勝った”つもりだったのでしょう?」
その口元が、ゆっくりと吊り上がる。
冷酷で、愉悦に濡れた笑み。
そして隣の日本もまた、表情を崩さぬまま――口角だけが僅かに持ち上がった。
🇯🇵「……無駄な足掻きもまた、この遊戯の一部ですから」
低く淡々とした声に、背筋がぞわりと粟立つ。
そこに宿るのは、慈悲ではなく――純粋な観察者の冷たさ。
🇨🇳「……お前たち……最初から……組んでいたアルか……?」
かすれた声で絞り出す。
心臓は喉までせり上がり、呼吸が浅くなる。
イギリスがくすくすと笑う。
🇬🇧「“マスター”のゲームですよ。あなたも気づいていたでしょう? この館のどこかに、黒幕がいると」
その言葉に呼応するように、日本が淡く目を細めた。
🇯🇵「……私たちは、このゲームのマスターなんですよ。」
二人の声が重なり、冷たい静寂を打ち破る。
そして次の瞬間――。
イギリスと日本は、まるで打ち合わせたように同じタイミングで微笑んだ。
不気味に、歪んだ笑み。
感情の色を持たぬ瞳と、そこに浮かぶ残酷な愉悦。
その光景は、まるで夢に見た悪夢そのもの。
🇨🇳「……いや……いやアル……!」
中国は後ずさり、背を硬い扉にぶつけた。
逃げ場はない。
自分が踏み台にしてきた仲間たちの血が、足元から絡みつくように重く感じられた。
📢【必要人数ーー残り2名】
冷たいアナウンスが、再び響き渡る。
その意味を、中国だけが理解できていない。
イギリスは囁くように、中国の耳元へ顔を寄せた。
🇬🇧「……あと2人。足りないんですよ」
日本も、感情を欠いた瞳で静かに続ける。
🇯🇵「では、中国さん。――どうやって埋め合わせるつもりですか?」
二人は声を揃えるように、笑った。
🇨🇳「じゃ…じゃあ!あの殺し合いは、無駄だったアルか…!」
🇯🇵「貴方たちが、勝手に殺し合っただけじゃないですか…笑」
不気味に、酷薄に。
まるで自分以外の全員の命が、この瞬間から「遊び道具」に変わったかのように。
コメント
2件
おわぁぁぁ!?そっち!?そっち!?てかイギリスさんよ最初にけしかけたんお前さんやないかいフランス刺したら脱出に一人足りんくなるやん!!脱出させない意思強っ!!