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7<凌太>
検査結果では特に問題は無くホッとしたが、腕や足に皮下出血の痕があり脳内が沸騰しそうになる。
汚らしいネクタイを瞳の整った口にねじ込み、さらには顔にガムテープを貼るとか。
ハンムラビ法典が使えれば同じ様にしてやりたい。
そんな事を考え顔は知らないが一般的な壮年男性にガムテープを貼る姿を思い浮かべて
「気持ち悪いな」と一人呟いてから社会的に抹殺する方がいいかもしれないと納得した。
瞳を会社まで送ったあと横浜の本社ビルに向かう。
秘書から小言を言われそうだが、リモートでも仕事はできる。
今日は7時に瞳がマンションに来るから6時にはまた社を出ることになる。
執務室に入ると顧問弁護士へ連絡をいれ、今回の案件に強い弁護士を紹介してもらった。
書類のチェックをしていると秘書が入ってくる。
「悪いが今日は6時に会社をでる。連絡はとれるようにしておくから」
「それは良かった。専務は働きすぎですからこからはもっと高頻度で早く退社してください」
「ははは。わかったよ」
会社に入ってからがむしゃらに仕事をしてきた。
親父に認められたいわけじゃない、親父を蹴落とすためだ。
松本ふみ子の動向を確認すると、この本社ビルとマンションの中間くらいの位置を示している。
もしかすると勤め先だろうか?
飯島の言う通り、このアプリを入れておいたのは正解かもしれない、ただ俺の動向も向こうに知られることになるが、相手のことがわかっていれば覚悟をすることができる。
帰宅してネクタイを緩める間もなくインターフォンがなる。
ロックを解除すると急いで着替えをしてから、アプリを確認するが松本ふみ子はこのマンションに近づいておらずほっとする。
再度インターフォンがなり玄関に向かう。
高揚しているのがわかる。我ながらガキかよって思うが瞳がこの部屋に来てくれたことが単純にうれしい。
朝もここにいたのに。
「服だけど、やっぱり受け取れないからちゃんと清算して」
「俺が勝手にしたことだから、もらって欲しい。それに、俺が持っていても仕方がないし過ぎてるけど誕生日プレゼントとして」
「じゃあ、今度は私にお礼をさせてね」
「ちなみに部屋着はここに置いておいていいだろ。不測の事態がおこるかもしれないから」
「不測の事態って」
「昨日のことだろ」
さすがに笑って言えることではないから少しキツく聞こえてしまったのか、瞳はうなだれてしまった。
「ごめん、ところで宇座についてどうする?弁護士の方はこの手の事案に強い先生を紹介してもらった」
「会社でも弁護士を頼んでくれると言っていたけど、できれば凌太が紹介してくれる先生にお願いしたい。もちろん弁護士費用は自分で払うからね!どうせ元夫からの慰謝料もあるし」
俺が用意しようと思ったが、先に釘を刺されてしまえば仕方がない。
「わかった。連絡先をラインで送るよ。先生の方にも俺から連絡をしておく」
裁判でまた瞳が傷つけられるのは耐えられないと思うが宇座というヤツを許すことはできない。
「起訴はしないつもり」
俺の考えがわかったのか不器用に微笑んだ。
「私は未遂だったけど、脅されて関係を強要されていた人が何人かいるみたいなの。だけど許すつもりはないから示談という形で示談金を請求をしたいと思う。お金という形でいいから責任は取ってもらおうと思って」
「そうか。気持ちは少しは落ち着いたか?」
「うん。一番はもう会社にいないから、安心して仕事ができるのがよかったかな」
「働きやすくなったなら良かった。俺のところまで上がってこないだけで甲斐でもそういうことがあるのかもしれないな」
「里中君には随分と助けてもらって、あと証拠を残すように言われていたことが功を奏してよかった。だって、宇座ってば同意だったとか言ってたらしくてボイスレコーダーに録音しておいてよかった」
しばらく話をした後、送っていく途中で食事をして車で家に送った。
松本ふみ子の位置がマンションの近くだったため、スマホの電源を落としてから車に乗り、帰宅してから電源を入れると一気にお知らせが入り、重要な要件が無いかチェックしたあと瞳からの「今日はありがとう」のメッセージに「おやすみ」と返信をした。