お久しぶりです!本当はオメガバースパロの方を進めなきゃいけないんですけど、難しすぎて…
で、昨日の夜急に切ない系を書きたくなって深夜テンションで書きました。一応直したんですけど、変なところがあるかもしれません。
⚠️
付き合う前
保科副隊長が昏睡状態
かなり長いです
それでもいいと言う方はどうぞ〜
ー 鳴海視点 ー
会うたびに心臓が跳ねる。
笑った顔を見るだけで胸が熱くなる。
諦めようとした思い。
叶わないと分かっていても、どうしても伝えたかった思い。
その全部を押し込めた手紙。
「僕にですか?」
この一言で、ようやく終われると思った。
適当にフってくれれば、もう悩まなくていい。
「戻ってから読め」
驚いたような、困ったような表情。
――あれが最後に見た保科の顔だった。
「意識不明の重体」ってなんだよ?
医者なら何とかしろよ。
民間人を庇った?
ああ、あいつならやりそうでむかつく。
なんでボクはこんなに怒ってるんだ?
別にあいつの何者でもないのに。
面会は断られた。
もう一週間も顔を見ていない。
第1で何度か会議があった。
もしかしたら来ているかも……
部屋でサボっていても呼びに来るのは長谷川だけ
二週間。
保科が第1に移された。 面会も許可された
――が、行かなかった。
行きたくなかった。
行けば、起きない現実を認めてしまう気がして。
最初のうちは見舞い客も多かったのに、最近はほとんど見ない。 みんなは苦しくても前を向こうとしている。
今できる精一杯のことをやろうとしている
なのに、どうしてボクだけこんなに縛られてるんだろうか。
三週間。
夜のコソ練のあと。
眠りきった第1、誰もいない廊下。
胸の奥の黒い穴に、何かが囁いた。
――今なら、少し見るだけ。それで終わる。
白すぎる病室。
鼻を刺す消毒液。
つながる無数の管。
機械の規則的な音。
眩暈がして椅子に倒れ込む。
浅く上下する胸。 少し血が滲んだ包帯。
どれも一瞬たりとも目を逸らせなかった。 逸らした瞬間、息をしなくなりそうで。
どれくらい時間が過ぎたのかも分からない。
朝日で我に返った。
寝れない。
ゲームも何も手につかない。
原因は分かってる。
深夜、ふと、その手に触れる。
ゴツゴツして、マメだらけで、少し暖かい手。
――生きてる。
ただそれだけで、少し救われた。
四週間。
何日も寝ていない。 日中の短い仮眠でさえ、すぐ目が覚める。
毎晩“もしかしてもう……”と考えてしまう。
そばにいたい。 息をしているのを、ちゃんと見ていたい。
長谷川にも心配され始めた。
もうどうでもいい
五週間。
精神も身体も限界だと分かる。
立ち上がるだけで眩暈がする。
集中もできない。
やめなきゃいけないのに、病室から離れられない。
傷はかなり回復していた。
包帯もほぼ取れている。
月明かりに照らされる横顔は、ただ眠っているだけのようだった。
明日の朝、普通に「おはよう」って言いそうなのに。
触れた手のぬくもり。
生きてる。
生きてる、生きてる、でも――いつまで?
いつまで眠ってる? あとどれくらい待てばいい?
犬猿でも、嫌われても、無視されてもいい。
ただ、もう一度だけ。
幸せに笑っている顔が見たい。
ボクはどうでもいい。
あいつが幸せならそれでいい。
頬を涙が伝う。
抑えてきたものが、一気に溢れ出す。
白いシーツに落ちる音がやけに大きい。
嗚咽を押し殺せなくなって、肩が震えた。 もう訳が分からない。
掠れた声が勝手に漏れる。
「……はやく起きろよ……」
起きない。そんなこと分かってる。 惨めなのは自分だ。
……でも。
今日もまた眠れず、足は勝手に病室に向いた。
もう日課というより、依存だ。
ここに来ないと息が苦しい。
月明かりに照らされた横顔。
呼吸の上下。
息をしているという、それだけの証拠。
でもその証拠が、いつ途切れるか分からない恐怖が胸の奥に焼け付いて離れない。
ベッドの縁に手を置くと、震えていた。 掴まないと倒れそうだった。
「おいおかっぱ……」
声が驚くほど弱い。
でも、止まらない。
「もし……お前がもう二度と起きなかったら……」
言葉にした瞬間、喉が締め付けられる。
考えただけで胸が焼けるように痛い。
息が詰まる。
「……ボク、多分、壊れると思う」
嗚咽なのか笑いなのか分からない息が漏れた。
涙が視界をぼやかす。
保科の手は相変わらず暖かい。その温もりが残酷だ。
「なんで……なんでこんなに……好きなんだろ……」
言った瞬間、自分が本当に壊れたんだと思った。
でも止められない。
「会えないと、息が苦しくて……」
「犬猿の仲なのにな……」 「笑ってくれないと、不安で死にそうで……」 「起きてくれないなら……ボク、どうすればいいんだよ……」
ぽたりぽたりと涙が手を濡らす。
みっともなくて、惨めで、それでも止まらない。
「……好きだ。ずっと前から……」
言ってしまった。
眠ったままのあなたに。
「だから……だから……」
指先でその手をそっと握る。
温もりが返ってこなくても、離せない。
「……はやく帰ってこいよ……」
静まり返った病室に、機械の音だけが響いていた。
あなたはまだ眠ったまま。 でもボクは、今日確かに一線を越えた。
もう、後戻りなんてできない。
握っていた手が微かに動いた気がした。
「な…ゲホッ、ゴホッ…鳴海さん?」
顔を上げる。
ずっと動いていなかった頭が、少しこちらを向いている。
「えっ、あ、悪い」
慌てて手を離す。
「お前、起きたのか?」
「ちょっと待て、今、人呼んでくる」
――でも、もう間に合わない。
保科が目を開けた。
でも変なところを見られた――。
立ち上がろうとした瞬間、視界がぼやけて、病室の壁が歪んで見える。
バランスを崩して膝をつく。
「鳴海さん!」
痛みをこらえながら、保科が無理に体を起こそうとしている。
何とか視線を集中させて、ゆっくり立ち上がる。
「お前は寝てろ」
「5週間も動いてないんだ」
このままここにいたら、変なことを口走ってしまいそうで――。
「ボクはもう行く」
「鳴海さん、待ってください」
名前を呼ばれたのは、これで三度目。
「また、戻ってきてくれますか?」
その声に足が止まる。
ボクの心が、自然に揺れた。
「座りたいんですけど、手伝ってくれますか?」
右手を背中に添え左手で保科がつかめる支えを作る。
手から伝わる体温、寝ているときよりも速い心音。
確かに生きている。
ボクの手首を掴んだ保科が、少し驚いたような表情をした。
「ありがとうございます」
小さく微笑んだその顔に、胸が熱くなる。
「手紙の返事、したくて」
「手紙…」
「そ、それは忘れろ。変なこと書いたから」
顔を逸らして言う。
すると、手を掴まれる。
「一回、僕の話、聞いてください」 「こっち見てくれます?」
何を言われるんだろう。
「僕も、鳴海さんのことが好きです」
「は?」
そんなわけないだろ。
「だから、手紙読んだ時、すごく嬉しかったです」
「すぐ返事したかったんですけど、警報鳴って…」
ボクの手を握る力が強まる。
真紅の瞳が、ボクを真っすぐに見つめている。
「鳴海さん、付き合ってください」
「え?」
思わず言葉を失う。
付き合うって? 保科も、ボクのことが好き?
頭の中が、ぐるぐる回る。
でも、ある一つの思いだけは確かだった。
「…お前が……1人でいなくならないって、約束するなら…」
もう、こんな思いをするのは嫌だ。
保科の顔がぱっと明るくなる。
「ほんまに?」
「嬉しいわ〜!」
その笑顔を見ただけで、心が温かくなった。
「鳴海さん、もうちょっとこっちきてくれます?」
保科の手がベッドを指す。
「もしかしてですけど、僕が寝てる間、ずっと手握ってくれてましたか?」
顔が熱くなる。
バレてたのか?
「上手く説明できないんですけど、寝てる間、何か底が見えないところに沈んでいくようだったんですよ。どんどん暗くなって、音も聞こえなくて、寒くて。でもたまに、光が見えたんですよ。上の方に」
「温かくて、僕を呼んでるようで」
その言葉を聞いた瞬間、また涙がこぼれそうになった。
でも、今度は違った。 涙が止まらないのは、もう悲しいからじゃない。 保科が、確かにここにいるから。
「ありがとうございます」
耐えきれなくなって、俯く。
涙が目尻にたまる。
すると、保科の手が今度は顔に触れた。 さっきより近い距離、ボクの重い前髪を流しながら、頬に触れる。
「そんな泣きそうな顔しないでください」
親指が、泣き跡をそっと掠める。 少し痛い。
ボクはその手を、少しだけ強く感じる。 その温かさに、心がまた軽くなった。
「僕は、ちゃんとここにいます」
いる
生きている
呼吸をしている
ボクのことが好き
両思い
その瞬間、涙が溢れ出した。
「わっ」
保科が少し驚いたような声を漏らす。
やだ、こんな顔見せたくない。 絶対にかっこ悪いし、何よりも惨めだ。
慌てて顔を逸らし、袖で涙を拭う。
でも、保科が優しく手を添えてきた。
「こっち向いてください」
その声に、どうしても逆らえなかった。
引き寄せられるように、再び視線を合わせる。 消毒液の中に微かに保科の匂いがする。
優しく、頭や背中を撫でてくれる。
「大丈夫です。ほんまに大丈夫やから」
その言葉が、どこか胸の奥に染み込む。
「鳴海さん、痩せました?」 「手首も細くなっとったし、頬とかも…」
「な…んで…?」
何でこいつがそんなことを知っているんだ?
「そりゃ、好きな人のことはちゃんと見ますよ」
「さっきも倒れそうになっとったし、僕より鳴海さんの方が体調悪いんとちゃいます?」
“好きな人”
その言葉に、心の中で何かがはじけた。
ボクの手を、再び強く握ってくる。
その瞬間、自然と顔が近づいて――
軽く、唇が触れた。
ほんの一瞬のことだった。
でも、その温かさが、心の中に広がっていった。
ここまでお疲れ様でした。
終わりの方がゴリ押しになってたかもしれないです。
書き忘れてたんですがここはオメガバースパロと関係ない色々なリクエストを投稿するところにしようと思います!
なので、何かリクエストがあれば是非コメントへ
♡&💬 m(_ _)m
追加
フォロワー様50人ありがとうございます(T ^ T)
いつも♡やコメントしてくださっている方、本当にモチベになっているので感謝しかないです。
これからも頑張るのでよろしくお願いします。
コメント
1件
本当に素晴らしいです、完全に自分の好みのお話でございました……感服です 心の動きも、動作一つ一つも、微細な感覚まで伝わってきて…… リクエストよろしいでしょうか?あらすじを投げつける感じになっちゃうのですが……みたらしさんの言葉選びでどうしても見てみたいのです 両片思いの状態で、保科から告白を受けるも、急に好くのも好かれるのも怖くなって鳴海が振っちゃって……最後は何とかくっつく。 お願いしますっ!