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…いつからだろうか、家族が壊れたのは。今ではもう修復不可能な溝ができている。
母なんか、父以外に男を作ってしまった。父だって、会社に愛人がいるのを知っている。
バラバラな夫婦。共通するのは、娘に…私に、興味がないことだけ。
私がこんな時間に帰っても心配の言葉すらかけない。仕事にいったのに、あんな派手な格好で現れても違和感に気づかない、そういう人達。
私は、実の両親にすら必要とされなくなったのだ。
このことも、私が援交を始めたきっかけの1つ。
「ふぅ。」
自分の部屋に入ると、電気をつけ、ベッドの上に無造作に身体を放り投げた。
床に転がったおにぎりには見向きもしない。お腹は、空いていなかった。
ふかふかの感覚に包まれ、心地いい。
「今日は、色々あって疲れちゃったな。」
天井に向かって呟く。頭の中に、別れ際の店長の寂しげな笑顔がこびりついて離れなかった。
何で、あんな風に笑ったのだろう。何で、私はこんな気持ちになっているのだろう。
間違ったことは言っていなかった。何一つ、悪いことはしていない。
ゴロン、と寝返りをうっても忘れられない。
「…私は…悪くないもん。」
モヤモヤを、振り払うように呟き、布団を被った。