ー日本視点ー今、僕は境地に立たされている。
あのイギリスさんが料理を作り、僕に振る舞うというのだ。
まずい、非常にまずい。(2つの意味で)
時は遡って1時間前ーー
1時間前
僕は今日、イギリスの屋敷に招かれていた。
屋敷の中はとても広く、家具にも装飾が施されていて豪華だ。
「ゴクゴク・・・イギリスさんが淹れた紅茶凄く美味しいです!」
「ありがとうございます!お菓子もあるのでどうぞ。」
「モグモグ・・・こちらも美味しいです!流石イギリスさん、お菓子を選ぶセンスがありますね〜。」
「ふふ、褒めても何も出ませんよ(笑)。ですが、嬉しいので料理を振る舞いますね!」
「ゑ。」
「?どうしました?」
「・・・いや、何も・・・。」
「そうでうすか。では、日本さんはそのまま待ってて下さい!私は料理を作りますので、キッチンへ向かいますね!楽しみにしてて下さい!」
バタン(ドアが閉まる音)
これで、今に至るという訳だ。
やらかした。
過度に褒めなければ良かった。
それなりに仲良くしている国だから、相手の気分を悪くしないようにしようと考えた過去の自分を殴りたい。
しかし・・・イギリスさんの料理って、どのぐらい不味いのだろう。
前にフランスさんが、
「あれを食べるぐらいなら、汚ねぇ川の水を飲んだ方がマシよ・・・。」
って言ってたし、カナダさんも、
「僕の味覚がおかしいって言われるのって、毎回食べさせられてた父さんのご飯が原因なのかなぁ・・・。」
ってぼやいてたし・・・。
いや、どんだけ不味いんだよ。
さらにはGo⚫︎gleの検索予測で「イギリス料理 やばい」って出るぐらいだし・・・。(実話)
あーーーーーー!!!
どうしよう!!!
ガチャ(ドアが開く音)
「日本さーん、出来ましたよ。」
「あ、ありがとうございます・・・。」
運ばれてきた料理は、美味しそうなフィッシュ&チップスだった。
でも、見た目に騙されてはいけない。
とはいえ、食べないのも良く無いので食べることにした。
「モグモグ・・・。」
え?
めっちゃ美味しい。
そんなに身構える必要なかったじゃん・・・。
味が薄いのがネックではあるけど、やっぱり美味しい。
「味はどうですか?」
「美味しいです!」
「良かったです。」
「イギリスさんって料理上手かったんだ・・・。」ボソッ
「おや、意外でした?(笑)」
「あ、聞こえてました?すみません。(汗)」
「いやいや、良いですよ。私の所の郷土料理が不味いと言われることもよくあるので・・・。」
「そういえば、フランスさんとカナダさんが『イギリスさんの料理は不味い』みたいなことを仰ってたんですが、どうしてですか?」
「あーーーー・・・。(理解)確かフランスに料理を作った時は、料理の焼き加減とかを失敗したからですね。」
「え?そのまま出したんですか?」
「別に良くないですか?あのフランスですし。」
「あ、(察し)あははは・・・。(苦笑)」
「で、カナダの時は単純に料理下手だったからですね。」
「え?昔は料理上手じゃ無かったんですか?」
「ええ。あの時はイングランドお兄様とスコットランドお兄様に料理を教えてもらっていたので・・・。」
「あのフタリって料理上手じゃ無いんですか?」
「少し話が逸れますが、貴方は『スターゲイジーパイ』と『ハギス』って知ってます?」
「知ってますよ!『スターゲイジーパイ』はイングランド、『ハギス』はスコットランドの伝統料理でs・・・。(察し)」
「もうお分かりだと思いますが、フタリ共料理下手なんですよ。ですから、そのフタリから教えてもらった私は料理下手だった、と言う訳です。」
「そこからどうやって料理上手になれたんですか?」
「ほぼ独学ですね。他のお兄様達(北アイルランドとウェールズ)の料理を真似してみたりしていました。」
「ほえー、凄いですね。」
「ありがとうございます。というか、私の作ったフィッシュ&チップス食べなくて良いんですか?冷めてしまいますよ。」
「あ、すみません。」
その後、僕はイギリスさんの作ったフィッシュ&チップスを完食し、屋敷内を散歩してから帰宅した。
ーイギリス視点ー
「今日はありがとうございました!紅茶とお料理とても美味しかったです!」
「ありがとうございます。また来て下さいね。」
「では、また次の会議で!」
ガチャッ バタン
日本が出ていくと、背後から聞き慣れた声が聞こえてきた。
「おや、日本さんは帰ったんですか?」
「ええ、帰られましたよ。イング兄様。」
と、振り返って答えた。
「楽しかったか?」
「スコット兄様もいらしたんですね。とても楽しかったですよ。」
「それは良かったな。それより、」
「私/俺 を料理下手と言ったのは許さない ですよ?/からな ?」
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