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羽海汐遠
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「おーい、起きろ~。起きろ生ゴミく~ん」
体を揺さぶられて、目が覚める。気分の悪い起こされ方をした気がするが、まぁ一旦いいだろう。起こしてくれたのだから。
「うぅ……相変わらず生ゴミ呼びなんですね、ダンテは……」
僕はため息をつきつつも、とりあえず起き上がった。
目の前にダンテの顔が合ったけれど、それはまぁ確かに、すごく可愛らしかった。そりゃ本人が自信を持つわけだ。
「とりあえず、生ゴミくん。そろそろ昼食の時間だよ。ナギットが用意してくれているんだ」
「どうでしょうね……」
あの雰囲気を見るに、まぁ確かにナギットは歓迎──というか、波風立てると面倒だから優しくしているような気もするけれど、他はどうだろう。
シャモアはよそよそしいし、アプリコットに至っては平然と寝たし。もしかしたらこの人が一番まともなのかもしれない。
かもしれないだけで、まともとは言い難いが。
「生ゴミ──じゃなかった、ここから先はエコーくんと呼ばせてもらおう。可愛い僕が変な呼び名で君を呼んでると思われたらひとたまりもないからね」
「そうですか……」
とりあえず、一旦彼について行って、食事を貰おう。
どうやらここにはキッチンもあるらしい。ボスは親切なものだな。──とは思ったのもつかの間、明らかに遠巻きにされている。
どういうことだ、と思った。それから、食事を取りながら少し考えてみた結果、結論に至った。
これ、ダンテの隣に座ってるからだ。
ダンテがそもそも遠巻きにされているのにも関わらず、ダンテに促されるがままに隣に座ってしまったから、僕ごとまとめて遠巻きにされているのか。
困ったな、これじゃダンテについて何か聞こうと思っても聞けないじゃないか。さっきからダンテはうるさいし……そろそろシャモアがキレるぞ。
「あんたうるっさいわよ!!!!」
ほら見たことか。
「僕は僕の素晴らしさを伝えているまでだよ。何が悪いんだい?」
「そういう悪びれないところが──」
「まぁまぁ、シャモア。一旦落ち着こう?」
「……まぁ、ナギットが言うなら」
シャモアは一瞬だけこちらを咎めるように見たが、すぐに食事に戻って行った。さっきの目線は、単純に隣に居るのに僕が止めなかったから……だと信じておきたい。
というか、ナギットは信頼があるんだな、と思う。気難しそうなシャモアが止まったあたり、相当まともな人だと思われているのかもしれない。
僕もあれだけ信頼を得られればいいけれど、ダンテの隣にいる時点で無理だろうなぁ……。
まぁ、今は食事の方に集中──あ、またダンテが喋り出した。
あれから結局、3、4回くらいナギットがシャモアを止めるを繰り返して、ようやく食事が終わった。さて、ここからは情報収集のターンと行きたいのだけれど……。
「エコーくん! 僕と共に行こう!」
ダンテに絡まれている。ここまで気に入られるとは思っていなかった。いや、確かに今まで信頼できる人間が居なかったんだろうから、それは理解できるのだけれど。
それはそれとして、これは無防備すぎるな、と思う。人を信じやすいタイプなのか?騙されやすそうで心配だ。騙されて勝手に死にそうで。
まぁ、呼ばれているのだから、情報収集は後にしてダンテについて行こう。
「はいはい、今行きますよ」
「よし来たぁ!」
嬉しそうなダンテから目線を逸らして、横目で食器を洗っているナギットを見る。せっかくなら今一番まともに話が通じそうなあの人と話したかったが、仕方ないか。
ダンテの後ろをついて行くと、さっきと同じ、ダンテの部屋に連れ込まれた。自室が好きなのかもしれなかった。
「さぁ! エコーくん! さっきは僕が好きなところを言われたから、今度は僕が君の好きなところを述べる番だね!」
「はぁ、そうですか……」
「そうそう! うーん、そうだね……」
ダンテは少し考えるように視界を彷徨わせてから、思いついたと言わんばかりに、勢いよく手を叩いてから、僕に近づいてきて、僕の肩を掴んだ。
顔が近い。顔だけは良いからムカつく。
「冴えないところが最高だね! 僕の引き立て役として!」
なんだそりゃ。褒め言葉としては最底辺の部類に入るだろうに。とはいえ、ここで喜んでおかないと気分を害されるかもしれない。それは困る。
「あ、ありがとうございます……」
「ふふん、だろう? じゃあ次は君だよ! もう一回僕の好きなところを言ってみて!」
「え、えぇ……」
もう思いつかないよ。──とは思ったけれど、顔にも口にも出さないで、脳内に浮かんだ最適なものを投げていた。
その地獄のような時間は、数十分続いた。なんで地獄のような時間かって?恥ずかしい上に、向こうは僕を貶してるみたいなことしか言わないからだよ!!!!
コメント
1件
あーもうダンテとエコーのやりとりが良すぎて叫びそうなんだけど!!😭💕 「冴えないところが最高!僕の引き立て役として!」ってそれ褒めてるんかディスってるんかどっちやねん!ってツッコみたくなったw しかもエコーくん、必死に「ありがとうございます」って返してるのじわじわくるし、ダンテの顔面偏差値だけは認めてるエコーの諦め感がまたエモい…。 あとシャモアがキレるシーン、待ってました!ってなったw 3話にしてこの距離感、今後の展開が気になりすぎる〜!次も絶対読むぞ🔥