コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
今日は、いつもより帰りが遅くなった。
補習が長引いて、校門を出たときにはもう空が朱に染まっていて 俺は、鞄を肩にかけながら、ゆっくりと帰路を歩いていた。
ふと、背後に視線を感じた。振り返ると、数人の男子が後ろをつけてきていた。
お..猫宮くんの、お気に入りくんじゃん
お前って、意外とチョロいよな?あんなやつに気持ち動かされるなんてさ
声とともに、体が壁際に追いやられる。
『な、なに…?』
ちょっと話そうぜ。別に何するってわけじゃねぇけど。な?
ひとりが俺の腕を掴む。もうひとりが、にやつきながら制服の襟元を引き寄せる。
ほら、猫宮に夢中なら、あいつの仲間だった俺らとも仲良くしてくれよ
悪質な冗談。けれど、体がすくむ。
冷たい汗が背中を伝い、逃げようとしても力が入らない。
『や、やめて…っ』
俺の声は震えていたが、男たちは笑うだけだった。
そんな声出されたら、余計に興奮するわ
大丈夫、ちょっと触るだけだって
一人が俺の制服の裾に手をかけ、シャツの中に指先を滑り込ませる
抵抗する腕を掴まれ、壁に押し付けられる。
息が詰まる。首元にふれてくる指先に、ゾッとするほどの寒気が走る。
ほら、猫宮に抱かれる前に、俺らが先に触ってやるよ
どうせそのうち捨てられるんだしさ!
言葉が刃物のように突き刺さる。
恐怖で体がうまく動かない。足も、声も、冷え切ったように言うことをきかない。
そのときだった⸺
「おい、何やってるんや?」
「俺の大事なもんに、触れんなって前言ったよな?」
怒鳴り声が響いた。
まろだった。制服のボタンも留めたまま、走ってくる姿が見えた。
「大丈夫か、ないこ!」
『う、うん…ありがとう』
next→300