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「ロナウディアさん,ここらでいいダンジョンはない?」
いつもより一層静かなギルド,『ノーアバリス』にて。ちなみにこの名前に意味はないらしい。
「…だから,どうして私なのでしょうか。まぁ,確認してきますけど。」
ロナウディアさんはぶつぶつ言いながら初心者向けのダンジョンの情報が書かれた書類を片っ端から持ってきてくれた。流石は管理職。書類の量が半端ない。
「さすがの私でもこれだけしかダンジョンは知りませんね。」
「いや,これでも…凄いですよ。」
書類の中からどんどん選別していくロナウディアさん…すっごい。私たちのレベルをきちんと見極めてくれる人だからこそ時間をかけて選別してくれるからすごく私としては嬉しい。
「エアリスさん,ここはどうですか?」
ロナウディアさんが取り出したのは一枚の地図。ここからそう遠くない距離で初心者でも難なくレベルを上げることができる効率最強と呼ばれる秘境らしい。何百年も前の勇者や騎士たちはここで鍛錬をしていたとか。
「じゃあ,ここ行ってきます。」
ロナウディアさんに見守られながら地図片手に秘境ダンジョン,夢心地(←仮名)へ向かった。ちなみに夢心地とかいう名前を付けたのはスカイ。夢みたいにレベルがサクサク上がるかもしれないからとか言って。
「…なんか,変な感じ。」
「な。おんなじ魔物が大量に。しかもレベルだっておんなじだ。」
多くの魔物はボスを筆頭に群れを作る。しかし,ここらにいる魔物達は個別で行動している。そしてなぜかレベルが低い。これが夢心地の効果?かなり進みやすい。
数分後,大きな空洞が見えてきた。あれが効率最強のダンジョン『夢心地』。鍾乳洞がここに来る者を出迎えているかのように露出している。
「スカイ,私凄く今興奮しているの。」
「奇遇だな。」
そうして,私たちは秘境へと足を運んだ。
「スカイ!回復は大丈夫?」
「あぁ,何とか!」
サクサクとダンジョンを進んでいく。中ボスなどがいないからすごく,何というかすごく進みやすい。ノースマウンテンの時と違って連携がしやすいし,魔力を込めて魔法を打つことだってできる。流石夢心地。
「今どれくらいのレベルなの?」
「…14。エアリスは?」
「…12。どうして?どうして…レベルが上がってないの?」
私たちは確実に強くなっている。そこらの小さな魔物は瞬殺できるし,中くらいの魔物は数発魔法を放てば倒すことができるようになった。しかもよくステータス画面を見てみるとロックがかかっている。これはカンストの証だ。でもどうしてこんな中途半端なレベルでロックかかるのかが疑問だ。level20でロックがかかるならまだしも私は12だ。スカイなんて14。ノースマウンテンにいたときはこんなのなかった。
「エアリス,前。」
鍾乳洞や木々が辺りを照らしているこのダンジョン。その先にはボスですと言わんばかりに居座っている守護者(ゴーレム)がいた。その守護者の周りは朽ち果てている。
「行くよ,スカイ!」
「あぁ!」
私たちは,確実に強くなっている。周りにどう思われようと,私たちは固定概念にとらわれない。
〈真なる勇者たちよ〉
声が聞こえた。スカイの声ではない,別のナニカの声。これは,スカイがこっちの世界に来るときに聞こえたっていうあの声?
動く気配のない守護者を見つめる。もしかしてこの守護者の声?
〈私はこの地の守護者。〉
「スカイ,聞こえる?この声。」
スカイは私を見つめてゆっくり頷いた。この地の守護者。そんな守護者がどうしてこんなダンジョンにいるのか。地を統治する守護者は神殿や山々に存在している。このノーアバリスだけは例外なのだろうか。
〈真なる勇者たちよ,私の願いを叶えてはくれぬか。〉
「願いって?」
〈私を,ここから出してはくれぬだろうか。〉
守護者は見た目と反した優しい声でわたしたちにそう言った。
to be continued→