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「…」

「…」


糸師兄弟は凛の自宅の玄関で顔を見つめ合う形で立っている。一つ高いところには凛が目を見開いて、冴は相変わらず弟が自分より背が高いのに不満げで。そして凛の目線の先には小さな少女がいた。少女は濁った翡翠色の目で凛を見つめているもその瞳に凛はまるで写っていないようだった。そしての髪も無造作に跳ねていて長さもまるでバラバラだ。


「え、あ、兄ちゃん?」


「あ?」


「こいつ…なに。」


少女は冴の後ろに隠れてじっと凛の方を見ている。目を逸らされること無くジーッと。


「ハッ!まさかこ、こ、こ、子供…?」


「んなわけねぇだろ。拾った。」


「は、ひろっ!?」


驚愕する凛を置いて冴はリビングへ向かおうとする。そして翡翠色の瞳の少女は冴の後ろをヨタヨタと覚束無い足取りで追っていった。


「ハァ!?」


所々大事な部分が抜けた兄の説明を聞いて、凛は目を見開く。

才能のある少女を見つけたから俺の手で育てようと思って持ってきた。けど、手続きとか面倒くさいし、よくわからんからうちに来た?

まず、孤児院の許可取ってないとこで犯罪。

幼女かっさらってきて犯罪。

面倒くさいからうちに来た?論外。

兄が犯罪者予備軍であることを知った凛は直ぐ様孤児院に連絡し、諸々と手続きを済ませた。誘拐もどきのことについては迷子になったのを保護していた。後日警察に届けるつもりだった。と何とか挽回し、兄の罪を揉み消した。(これも犯罪)

一通りのことを終え、正式に冴が少女を引き取ることが決まった。が、


「…」


先程までリビングのソファーに腰を掛け、のんびりとテレビを見ていた兄と少女の姿が見えない。どこ行った?と見回すも見当たらず、各部屋を能っていく。その内ガサゴソと音の聞こえるキッチンに辿り着く。


「これ、うまい。」

「だろ」


兄と少女はヴィンテージテイストの棚の小型冷蔵庫に隠されたお高いアイスを食べていた。うちに来てはあるアイス全てを食べ尽くしていく対兄用にわばわざ購入した小型冷蔵庫はすんなりと見つけられ、二人の口回りにはチョコが付いている。


「ん、凛も食うか?」


二人に何も言うことが出来ず立ち竦んでいた凛に気づいた冴は自分が半分以上食べたどろどろに溶けた物を差し出す。


「アンタら人ん家来て勝手に食ってんじゃねぇよ…」


「金は払う。」


「そういう問題じゃねぇ…」



糸師冴に子育ては無理だった

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