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テラーノベル(Teller Novel)
おやすみなさい

おやすみなさい

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1

BL

♥

230

2022年12月12日

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『…….別れ、よ?』


一時的に思考が停止する

今、彼はなんて言った?別れる?は、そんなの嫌だ、ありえない、絶対に


「嘘…だよね…?」


ようやく声を絞り出す

相当情けない顔をしていたんだろうな

さっきから彼が不安気に瞳を揺らしている


『………嘘…じゃ、ない…..僕が…そうしたい、から…..言ったの…..』


緊張からか、不安からか、それとも別のなにかからか、彼の声は今にも泣き出しそうなくらい震えていた

それでもまっすぐに、僕の目を見つめながら告げた


「…そっか…….」


「ねえ、なんで…..別れ、たいの…?」


この質問が彼を困らせることは分かってた、それでも聞きたかった


『…….え…..っと…..』


『…好きな人…..できたの…..』




(………嘘、だな)


ほんの一瞬、いつもの癖がみえた


「そっか…..」


言及はしない

本当の理由は何となく分かってた



「…ねぇ、」


優しく彼の頬に触れる


『ッッ…..え、ぁ…..?』


びくりと肩がはねた


「…最近寝てないでしょ?」

「隈、できてる」


『あ、えっと…….』

『…なんか…、ねむれ、なくて…』


彼の体は震えてた


「…….ちゃんと寝なよ」


言って手を離す

そうすると彼は安心したように、僕がさっきいれたお茶を飲み始めた








さっきの会話から数分後

僕は彼をぎゅっと抱きしめた

これで最後かもしれないのだから、少しくらいはいいでしょ?


「ふふっ、ねえ、君がどこへ行こうと、誰を好きになろうと、僕は君をずうっと愛してるよ」


彼への愛を囁いた後にまた強く抱きしめる

服が汚れることなんて気にしない


でもまあ、これも僕が身も心も彼に染められているようで、なんとも言えない幸福感がある




彼はぐっすり眠っている


僕が彼のお茶にお薬を入れたから


よく眠れるお薬を


とってもよく効くお薬なんだ


永遠に眠れてしまうほどに


ちょっとしたいたずら心と愛情をこめて


彼はあまり眠れていないようだから




ああ、そういえば、僕はまだ眠れていない


彼の飲みかけのお茶に手を伸ばして、ゆっくりと口につける



だんだんと瞼が重くなってきた


心做しか少し息苦しい


やっぱり疲れているのかな


そっと、彼を起こさないように、彼の隣に横たわる



彼の綺麗な顔がよく見える


あ、好きだな


彼の顔を見て改めて思う


でも



眠い


もう無理だ


ゆっくりと瞼を閉じる


「…….おやすみなさい………….」


さいごに彼にそう言って


僕の意識は途切れた

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コメント

13

ユーザー

めちゃ好き....

ユーザー

めっさ最高。

ユーザー
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