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その数日後、私はベッドの上で上半身だけ起こし、彼と話していた。
医者曰く、まだ一、二週間はベッドの上で過ごせとのこと。
もう身体は重くないし、大丈夫なのだが、安静が必要らしい。
「そういえば、もう身体は辛くないのか?」
「はい。身体はもうなんともありませんよ。……もう少しベッドの上で過ごさなきゃいけないみたいですけど」
すると彼は頷く。と、彼は何かを思い出したような顔をして、私の手首を掴んだ。
「少し貸せ」
首を傾げる私をよそに、彼は治癒魔法を使う。
私は目を見開いた。
「なぜそれを……」
そう、そこには、私がわざとつけた傷があるのだ。
彼を傷つけた自分が憎くて、死にたくて刃物でつけた傷。
すると彼は、私の手首を両手で包む。
「もう、こんなことはしないでくれ。……頼むから」
彼はその矯正なかんばせを歪ませ、悲しそうな表情をしていた。
その表情に、私の罪悪感が募る。
「ご、ごめんなさい」
「ほら、首も見せろ」
手首の治癒が終わったらしく、彼の手が私の首に移動した。
う、そっちまで気づかれていたのか。
首は気づかれないと思ってたのに。
と、首の治癒も終わったらしく、彼の手が離れていく。
私は、彼にある提案を持ちかけた。
「あの…、ルウィルク様。お詫び……にはならないかもしれませんが、私に何かやってほしいことはありますか?私のできる範囲でしたら、何でもします」
すると、彼の表情がほのかに明るくなる。
「……何でも?」
「はい。私ができる範囲でですが」
すると、彼の口角が少し上がった。
……何だろう。嫌な予感がする。
「わかった。お前はそのままじっとしてろ」
「え、ちょっ、ルウィル…んっ」
彼に口づけられた。
それは前と同じようなもので、貪るような、長く深い口づけ。
待って…、苦しいっ……。
私は彼の胸を強く押し、彼を引き離す。
「ぷはっ。はぁ…はぁ…。口づけならこの前もしたでしょう!」
私は顔を赤くさせ彼に訴えた。
そうだ、口づけならこの前もしたじゃないか。強引で長い口づけを。
すると彼は、薄く形のいい唇をぺろりと赤い舌で舐める。
「あれで足りるわけがないだろ」
「そっ、そうだとしてもっ…んっ」
また口づけられた。
私は彼の胸を押し逃げようとしたが、後頭部と腰を強く押さえられ、身動きすらできない。
「んん……んー…んんん……」
なんとか逃げようとする私に対抗するように、彼は後頭部と腰を押さえる力を強める。
……だめだ。逃げられない。
ついに私は根負けし、彼から長い長い口づけを受けることになったのだった。