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そういえば、この者たちの前で威張れというのが委員長の要求だったか。余に服従を誓う者の前で威張るなんてダサいことはとてもできない。 「どうしたものか……」
「総長、何か困ったことでも?」
「美紅たちも横浜デビルの一員で、猫プリンというスイーツをおごってくれるというからカフェに向かう途中なんだが、余が恐喝したに決まっていると難癖をつけられていてな」
「それならお代はおれたちに出させてください」
徹也は残り三人とお金を出し合って、一万円札を十枚差し出してきた。
「どうぞそれでうまいものでも食べてください」
「美紅、これで足りるか?」
「猫プリンどころか、店のスイーツ買い占めできますよ」
「そんなに大金なのか!?」
転生してきたばかりで、この国の通貨の価値がいまだによく分からない。
「そんな大金だしてくれるなら、おまえたちもいっしょに食べよう。強くなりたいなら、食事のあとでちょっと稽古をつけてやってもいいぞ」
「それはぜひ! 総長といっしょに食事できて、稽古までつけてもらえるなんて、十万なんてちっとも惜しくありません!」
「ということだ。委員長、余は恐喝などしていない。容疑が晴れたということで行ってもいいか? 委員長も来たいなら、この金でおごってやってもいいぞ」
「いやよ。それこそどんな悪いことして手に入れたお金か分かったものじゃないじゃない!」
「いや、それは全額おれたちが現場仕事していただいた給料から出した金だ」
「今のは委員長が悪い。この者たちに謝れ」
「なんで私が!」
委員長は子どものように地団駄を踏んで悔しがって、
「お兄ちゃんに言いつけてやる!」
と吐き捨ててどこかへ走って行ってしまった。
言いつけるって何を? 余が猫プリンを食べることをか?
いや、これ以上はもう待てない。ガラの悪い男たちを加えた九人で、いそいそとカフェに向かってまた歩き出したのだった。