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カウンター内のマスターに会釈して通り過ぎた三神先生は、奥のテーブルまで行くと私を奥へ向かって座らせる。一番奥から店内へ向けて福田志麻子さんに座ってもらうようだ。
「僕がここに座る」
私と背中合わせの席を立ったまま示した先生は
「マスター、すみません。こちらの石川さんあてに、女性が来ますのでお願いします」
水を持って来たマスターに伝えた。
「先生は、こちらに?」
「はい」手慣れた様子でふたつのテーブルにグラスとお手拭きを置いたマスターは
「ご注文は?」
と私を見た。
「あ……お世話になります!」
座ったまま、慌ててペコリとお辞儀をしてから先生を見ると
「僕はホットコーヒー、お願いします」
「私も……美味しいコーヒーがいただきたいんですけど、緊張して……アイスコーヒー、ありますか?」
と注文をする。
「ええ。少しお時間をいただきますが、美味しく淹れますよ。ごゆっくり」
マスターが戻ると
「じゃあ、今から別々で。樋代さんは、好きに聞いて、好きに話して大丈夫だから」
と三神先生が私の肩にポン、と手を乗せた。そして
「もし、苦しくなったり、嫌になったら『帰ります!』と立って。そうすればマスターが店から出してくれる」
と言う。私は先生の向こう側のマスターを見ると、マスターがゆっくりコクコクと頷いた。
「分かりました」
と……入口のドアが開き、ドキッとする。
「こんにちは」
グリーンの植物で見えないけれど男性の声で、カウンターに座ったのは見える。
「早めに来るかもしれない」
先生がそう言って私の後ろに座ったけれど……15時になっても彼女は来ない。私は壁を向いて落ち着かずに何度も座り直し、約束を10分過ぎた時
「ここ……石川さんって来てます?」
という女性の声がした。
「はい。奥の席でお待ちです」
後ろから聞こえる足音に、視線を斜め後ろの床へ落とすと、グレーのショートブーツが視界に入った。
「もう少し分かりやすい店にしてよね。遅れちゃったわ」
彼女の第一声は、文句か謝罪か不明だけれど、私が顔を上げるには十分大きな声だった。
「……静かに話せると思ったので」
私がそう言う間に目の前に座ったのは、黄色っぽい髪を頭のてっぺんでお団子にした小柄な女性だった。
コメント
3件
遅刻〜初対面で文句なんて!!波乱の予感が、、、
カウンターに座ったのは徹じゃないよね?だったら声でわかるもんね?! 自称さんが想像してた感じと違う😅 小柄で金髪お団子の子…樋代ちゃんと真逆だわ… それより、謝罪は?わかりづらい場所だったとしても遅れてすみませんでしょ! それに迷った時のための時間も考慮して来るもんでしょ。非常識なお2人さんラブラブね〜。 自称さんはなにから話し出すのかしら?ドキドキだわ!
遅れてきたならまず謝罪❗️ 文句から始まるなんてナイわ〜😤 徹とお似合いの女じゃない⁉️