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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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【注意】

・こちらの作品は二次創作となっています。御本家様とは関係ございませんので迷惑のかかる行為はおやめ下さい。

・映画を見た方がご覧になることをお勧めします。こちらの作品はネタバレも含まれますので未視聴の方は控えて早く見に行ってください。絶対ですよ?

・もうなんでも良いよ来いやゴルァ!!という男前な方はどうぞお楽しみください。


主人公の設定⤵

名前 中矢 初夏(小学校教師)

歳は水木より2歳ほど下。

水木とは元から知り合いで訳あり哭倉村で再会する。

(後々追加するかもしれません。)


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


自分こと中矢 初夏は一部の記憶を思い出せないでいた。


世間を騒がせた哭倉村での事件。


自分はその生還者であるがあまりのショックを受けたのかそこでの記憶だけすっぽりと消えており、何も思い出せないでいる。

知り合いの水木と一緒だったのはなんとなく覚えている。だけど、あともう1人居た気がしてならないのだ。

だけどそれがどうにも思い出せず、胸に空いた穴に風が通る度それが酷く痛んで目頭が熱くなった。

忘れてはならない。自分が覚えていなければならない。なのに、思い出せない。

ただただ胸の傷が痛んで、思い出せないことへの罪悪感と悲しさと虚しさに何度頬を濡らした事か分からない。

水木に聞いても彼も何も覚えておらず、自分と同じように悩んでいた。

ふとした瞬間に聞こえる下駄の鳴る音が酷く胸を締め付け、懐かしさと恋しさが襲ってくるのだ。


自分は、一体何を。一体誰を忘れているのか。


今日も1人煙草を吹かしては物思いにふける。


水木が家の戸を叩いて来るまでは。






「あ、赤子ぉ!?!?」

「静かにしろ!起きたらどうするんだ!」

「いやいや!?え!?う、嘘だろ!?」



小学校教師になったばかりの自分は初めての仕事にまだ慣れられず残業をする事が多かった。

昨日の土砂降りで地面はぬかるんでいて気をつけながら帰り、肌寒い体を早く暖めようと風呂に入ろうとしていた時である。

夜遅くにも関わらず何者かが家の戸を乱暴に叩くのだ。

物騒な世の中に一人暮らしの身。

警戒しながらもどちら様かと問えば、深夜の訪問者は焦ったように水木だと答えた。

それに安心したのも束の間、水木の声と共に他にも声が聞こえる。

その声は赤子の泣き声でもしや水木が連れてるわけではあるまいと思い戸を開けたら、予想は大きく外れ水木の腕の中には小さな命が懸命に声を上げていた。

驚いて口をあんぐりと開けている間にも水木はズカズカと家に入り込んで必死に赤子をあやしている。


あの、仕事真面目の熱血な女っ気のない男が、赤子を連れている……??


それがとにかく驚きで暫く呆然としていたがすぐに我に返り、寒い空気が入ってくる戸を閉めてすぐに事情を聞くべく彼の元へ行く。

必死にあやす姿はぎこちなく赤子はずっと泣いたままだったが、そろりと顔を覗くと、赤子は柔らかそうな栗色の髪がふさふさと生えており左目は閉ざされ瞳は隠れていた。

それにどこか既視感を感じながら頬を突くとふにふにとした赤子特有のやわこさが伝わって思わずそれに笑みが零れる。

なんとも脆い存在だ。


「俺はこういうのに慣れてないんだ、頼むあやしてくれ!」

「えぇ、うちも子守りなんて片手で数えるきりしかやってないぞ。」

「俺よりかはいいだろ。」

「それもそうか。」


水木から慎重に赤子を受け取り、しかとこの腕に重さを感じる。


「はっ、」


その瞬間、胸に表現し難い思いが一気に満たしていき遂には溢れ出て頬を涙が伝った。

どんどん溢れ出てくる涙は止め方を知らず勝手に溢れ続ける。


「なっ!?お、おいどうしたんだ!?そんなに嫌だったか!?」

「ち、がうん……だ、違うんだ……何故、だろう、涙が止まらん…」


この子を抱いた瞬間、その重みが生きているのだと直に伝わってきた。

必死に声を上げる姿に何故か酷く安心した自分がいた。

何故かは分からない。

分からないけれど、この子を抱いて自分は嗚呼、良かったと、酷く安心したのだ。

生きている。この子は生きているのだ。

それだけが胸に歓喜をもたらし涙が溢れる。

伝わってくる重さに反してなんとも脆く軽い命。

すぐに散ってしまいそうなこの存在を、自分は必ず守らなければと思った。


だって、アイツと約束したから。



「嗚呼、まただ……」


ずっと求めている存在がふと脳裏によぎる。

もしかしたら、この子とソイツは何か関係があるのかもしれない。

人の心を落としてしまった自分と水木に愛を教えてくれた者。

その者を、思い出せない。


いつの間にか赤子は泣き止んでいて、丸い大きな瞳でキョトンとこちらを見つめていた。

その愛くるしい姿にまた笑みが零れる。


「のう、名はなんと言うんだ?」

「鬼太郎。そいつの名前は、鬼太郎だ。」

「そうか…きたろう。鬼太郎…か。」


何度も口の中でその名を転がしては染み込ませる。

鬼太郎、とまた転がせば自然と胸を幸せが埋めるようで不思議だ。


「鬼太郎、鬼太郎、鬼太郎。」


何度も呟いてはその響きに頬が緩む。なんだかしっくりくるのだ、この名前が。

飽きもせずにもう1回と呟こうとすれば、それよりも先に小さなふよふよした手が私の口に添えられた。

目を見開いて驚くと、鬼太郎は善悪も分からないその澄んだ眼を細めニコリと笑って見せたのだ。


「っ、」


嗚呼、また涙が出てしまう。

この子の笑った顔が胸を締め付けて苦しい。

喉がヒリついてくっついたようにして声が出しずらい。

泣いて上擦った声でまた呼んでやれば、腕の中にいる小さな命はまたえらく楽しそうに笑うのだ。


「よかった、ほんとうに……よかったなぁ、うまれてきてくれて……」


優しく包むように鬼太郎を抱きしめる。

自分の涙と鼻水が付かないように気をつけながら、優しく母が子供にするように囁いた。


「鬼太郎、お前は……お前は愛に溢れた子だよ。コップ1杯なんかじゃ収まりきらない、それこそ海のように広く大きな愛によって生まれた子なんだぞ。」



この子の親のことなんて知らないはずなのに、何故か自分はこの子が大きな愛によって生まれたことを知っている。

まだ幼い鬼太郎はなんの事だか分かっていなかったが、きっとまた大きくなったら教えてあげよう。

それまで私と水木が君を守ろう。


「この子はどんな子に育つかねぇ。なぁ、水木。男一人で育てるのは厳しいだろう?良ければうちにも手伝わせてくれ。」

「最初からそのつもりだ。子供のことなんて分からん。」

「先が思いやられるなぁ。のう、鬼太郎?」


腕の中に居る鬼太郎に向かって問いかければ、鈴を転がしたように愛らしい声がした。

それにまた笑みが零れ鬼太郎を抱え直す。


「約束、だからなぁ。頼まれちゃあ仕方ない。」



これからの未来について、自分は色鮮やかな景色を思い浮かべていた。




ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


以下、主ちゃんのイメ画。見なくとも良いです。



画像



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ここまで見て下さりありがとございました

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