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【注意】
・こちらの作品は二次創作となっています。御本家様とは関係ございませんので迷惑のかかる行為はおやめ下さい。
・映画を見た方がご覧になることをお勧めします。こちらの作品はネタバレも含まれますので未視聴の方は控えて早く見に行ってください。絶対ですよ?
・こちらは夢小説でこんな未来があったらなという作者の妄想が詰め込まれております。
・もうなんでも良いよ来いやゴルァ!!という男前な方はどうぞお楽しみください。
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「鬼太郎はよく泣くねぇ。」
夜も深まった頃。
水木と鬼太郎を一緒に育てると決めてから自分はちょくちょく彼奴の家にお邪魔し子育てを手伝っていた。
自分も教師という職業で大変ではあるがそれよりも水木は熱意のある男で残業をしまくり鬼太郎の為の金を稼いでいた。
最近はこう言ったか、ベビー用品やらは私が出しており食事などはあいつがしている。
時折、彼奴のお母様を手伝って一緒にご飯を用意しては皆で食卓を囲んでいる。
寂しかった食事も今では騒がしくその騒がしささえも自分にとっては幸せに感じていた。
だが初めての子育てをする大人二人。しかも共働きである。
手探りで育児をするにも疲れるもので、特に鬼太郎は夜泣きが酷かった。
遅くまで働いている水木に無理をさせる訳にもいかず、夜泣きは自分が担当しているのだ。
「そんなに泣いてると目が溶けちゃうぞ〜?」
本当は愛おしく感じる泣き声も、泣くことが良いことであるはずだというのに疲れてしまう。
育てると決めたのにすぐにこうも参ってしまうのに情けなく思う。アイツに顔向けできない。
肌寒い夜は自分と鬼太郎しか居なく、まるで世界に2人だけになったようだ。
「それ鬼太郎、子守唄歌ってやろうな。何が良いか。」
母や父、祖母祖父が歌っていたいくつかの子守唄を思いだして音を紡ぐ。
おわれて夕焼けの赤とんぼを見たことはないが、子供の頃夕陽と蜻蛉を目を細めまるで宝物を見るように眺めていたのを思い出す。
哀愁漂うような、幼い頃を思い出すこの歌が自分はお気に入りだった。
短い曲である為三番まで歌い終わってしまうが、まだ鬼太郎が泣き止んでいないためもう1回一番から歌う。
それを夜の田んぼを歩きながら繰り返していれば、いつの間にか鬼太郎は寝息を立てて愛らしく寝ていた。
「お休みなさい。鬼太郎。」
どうか良い夢を。
そんな思いを込め優しくひと撫でりしてから帰路へとついた。
「水木ぃ?戻ったぞい。」
寝ているかもしれない為、少し声を落として戸を開ける。
どうやら水木もそのお母さんも就寝しているらしく、自分も大人しく居間に布団を敷きその隣に鬼太郎の分の自分のより一回り小さい布団を敷いてそこに寝かしてやった。
可愛いこの子は夢の中だ。
寒くならないよう鬼太郎の腹に手を乗せて、鼓動と同じリズムで優しく叩く。
そうしていれば、段々と自分も夢の中へと誘われ意識が遠のいて行った。
下駄の音が、聞こえた気がした。
「すまないのぅ、任せてしまって。」
「良いんだよ約束しただろ。俺らに任せとけ。」
「そうさそうさ。落ち着いたら、またこの3人で酒を飲もう。酒、期待してるぞ!」
「嗚呼、勿論じゃ。だが……お主らは忘れた方が幸せじゃろう。このまま、思い出さないでいた方が良いのではないか?それが、お主らの為じゃ。」
なんで、そんな事を言うんだよ。
お前が、私たちに愛というものを教えてくれたのに。
それに、私はあの人たちの事を忘れちゃいけない。
私らが、覚えていないとダメなんだ。
だから、頼む。頼むよ。
そんな顔を、しないでくれ。
なぁ、
「———–。」
お前のことを忘れたくないんだ。
「ッ!!」
優しい夢から意識が引っ張られるようにして頭が覚醒する。
ガバッと勢いよく起き上がれば体は汗がびっちょりで気持ちが悪かった。
呼吸も荒く、まだ心臓がバクバクと存在を喧しく知らせてきて不快だ。
ゆっくりと落ち着かせるように深呼吸をしてから視線を動かせば、隣で寝ていた鬼太郎はもう起きていてじっと部屋のどこかを見つめていた。
「おはよう、鬼太郎。良い夢見れた?」
優しく声をかければ鬼太郎は一拍置いてからその真ん丸な瞳に私を映した。
その目は誰かを思い出させ、胸がまた締め付けられる。
夢で見たはずのアイツ。
でも、もう思い出せなくてこの時ばかりは自分を恨むしかなかった。
アイツめ。私らの為だと?巫山戯るな。
絶対に思い出してやると固く決意して、アイツが残したこの子を抱き上げる。
朝はまだ明けたばかりだ。