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初めて彼を見た時は身体中に電撃が走るような衝撃を受けた。リアルに二次元から飛び出てきたようなイケメンで、第一声の「高林隆一です」と自身の名前を名乗った時のあの声は一生忘れられないほど耳に残った。だって物凄いイケボだったんだもの。程よい低さの優しい声質。あの声で耳元に名前でも囁かれたら昇天してしまいそう……なんてマカロンを食べながら考えていた事は絶対に秘密だ。 お見合いの帰り際に「今度デートに誘ってもいいですか」と耳元で囁かれた時は息の仕方を忘れたくらい、身体に酸素を取り込めなくて「はい」と返事するのが精一杯だった。もう既にこの時に私は隆ちゃんの事を好きになっていたんだと思う。
隆ちゃんとの初めてのデートは楽しくて、(自分が見たかった少女漫画原作映画だったって事もあるかもしれないけど)まさかプロポーズされるとは思っていなかったので物凄く驚いたと同時にいつかオタクとバレた時に引かれて振られてしまうのが怖くなった。バレて後から振られるくらいなら今バラして無かったことにすれば良い! と咄嗟に思い自分はオタクなんです! と打ち明けた。
彼のドン引きしているかもしれない表情を見るのが怖くて俯いていたら「全く気にしません」と言う言葉が返ってきた。
きっとそれは軽い気持ちで気にしないと言ってくれたのだろう、多分これはBLが好きな事は伏せておいた方が良いやつかもしれない。なんとなく直感そう感じ、言わなかった。別にBLが好きな事を恥じているとかではない。ただ自分が弱く、貶されるのが嫌だったから言えなかっただけだ。
「……お、美桜〜? 大丈夫か?」
「ふぇ!? ごめん! どうしたの?」
「いや、なんかフリーズしてたからどうしたのかなって、疲れてるならベッドに横になりな。シーツ乾いてるだろうし、準備するから」
まだ片手で数える程しか一緒にいないけれど、隆ちゃんはいつも優しい。確かに始めは見た目と声から好きになったが、今では隆ちゃんの優しい所が好き。笑った顔が好き。ちょっと子供っぽいところも好きだ。
「ううん、大丈夫だよ、ちょっとボーッとしてただけだから。そうだ! 自分の部屋の片付けもしちゃおうかな! 全く手をつけてないから」
「俺もリビングと寝室に集中してて、自分の服とかヤバいことになってるから片してこようかな」