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「そんな……遥香…可哀そうに……大勢に馬鹿にされて帰って来たなんて…許せないわね」

「そう、真奈美のせいよ」

「奥様と遥香様がご存知ないようなルールを、私が知っているはずない…ですから……」

「そんなこと調べて用意するのが、私に仕える者の仕事でしょ?奴隷は口答えが出来ても使えないことがよーくわかったわっ!」


何かを言いかけた篤久様を、ハンカチを受け取りながら目を合わせて止める。

いいセリフを吐いている遥香を止めないで欲しい。

でも、篤久様は口を開いた。


「奴隷とはアナタはいつの時代に生きているのですか?これは立派な傷害事件になりますが?」

「お兄様も部外者なんだから黙ってて。私がみんなに“その色はあり得ない”“パーティーを潰しに来たのか?”って口々に言われて、指を差されて、笑われた気持ちは誰にも分からないのよっ」

「……そうですね」

「はっ?真奈美、何て言った?」

「そうですね、と言いました。そういう惨めで悲しくて悔しい気持ちって……本人にしか分からない」


我ながら冷ややかな声が出たと感じた。

そういう気持ちを十年以上味わっている人間が、アナタの目の前にいるのよ、遥香。


「何も分からないくせに、分かったような口をきくなっ!クビッ!クビ、クビ、クビッ!お前は今すぐここを出て行けっ!」


救急箱を持って来た田中さんがビクッと立ち止まるほど、遥香の発狂具合は激しい。


「こんなに優秀な人をクビにするなんてあり得ない。私の専属でもお願いしたいくらいですし、父も気に入っていますからクビにはしません」


篤久様がそう宣言すると


「いやよっ、そんな女の顔も見たくないわぁ……っ……ぃやぁー」


遥香は顎を天に突き上げて、泣き始めた。


「遥香……辛いわよね……本当になんてこと……」


泣きわめく遥香と慰める奥様を冷めた目で見るのは、私と篤久様だけでなく、田中さんたちもだったかもしれない。


ぐちゃぐちゃになりながら、二人が寄り添って階段を上がって行くのを見ながら


「傷、見せてください」


篤久様がハンカチを押さえる私の手を掴んで退け、田中さんが足元で救急箱を開けた。


「スパンコールで切れたのよね……」


篤久様の後ろから広瀬さんも私の頬を覗いている。


「擦り傷だと思いますけど……」


感覚的には擦り傷。


「桑名さん、一度洗顔してから消毒した方がいいと思うわ」


会社のマニュアル通り、マナーとして薄くお化粧をしているからだね。


「ありがとうございます。消毒だけ持って行っていいですか?」

「もちろん。消毒だけでいいと思うけど、お化粧を落としてからよく見て」

「はい」


田中さんと私のやり取りを聞いていた篤久様は


「田中さん、桑名さんを今日休ませる許可をください。お二人での業務に支障が出ないように食事の準備はなくていいですから」


と言う。


「そんな……私、大丈夫です」

「休んだらいいわよ、桑名さん。ドレスのリメイクで寝不足続きだったし、篤久様がそう言って下さるのだから休んで」


広瀬さんもそう言うと、田中さんは大きく頷いた。


「そうね。桑名さん、今日はこの後お休みで、明日は休日よね。それで回復してちょうだい」

私は、魂が汚れたアナタの世話をする

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コメント

5

ユーザー

みーんな、あなた方の顔を見たくないんやで😤

ユーザー

真奈美ちゃんはご主人様と篤久様は気に入ってますけど、あれ?出て行けと言われそうなのは貴女達母娘かしらねー

ユーザー

妻も義娘もクビだー😠出で行くのは非セレブな腐った母娘だー😠😠😠 篤久様や職場のみなさんの優しさが沁みる😭とにかく手当てを〰

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