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冬

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1 - 朝の温もり

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2024年12月07日

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朝。というか、布団へ潜り込んだ際に見た時計が日付を跨いでいたのを考えると昼だろうか。もぞ、と布が擦れる感覚でゆっくりと意識が浮上していく。まだ完全には開かない目を擦り、回らない頭でぼうっと一点を見つめていると、すぐそばで優しい声が聞こえた。


「…おはよ、小柳くん」


かろうじて開いてはいるもののいまいち目覚めていない様子のふたつの水晶玉を見つめる。普段より少し低い、ほぼ息を吐いただけに近いその声に目を細め掠れた声で返事をした。今日の気温は10度を下回る予報が出ていただけあって、布団から起き上がるというのはかなり億劫。幸運なことに今日は何も予定が入っていないためもう一眠りしようと深く毛布を被った。

星導が起きるのか起きないのか、別に俺自身に選択する権利なんてものは無いが、体温が伝わって暖かいためこのまま2度寝に付き合ってくれはしないか、と居心地のいい場所を探しながら思考を巡らす。まぁそんな上手くいくはずもないだろうと早々にその可能性へ蓋を落とし、静かに目を瞑った。


意識を微睡ませていると諦めたはずの体温が腰に回り、気づけば背中側から包み込まれる体勢になる。数センチしか身長は離れていないのに、手足が長いのもあって容易に体格差を自覚してしまうことへ少しばかり不満を抱きつつ口を開いた。


「………んだよ」


ん゙〜…と声にならない声を上げながら首元へ擦り寄ってくる星導の腕へ手を重ねると、脚まで絡めてくる。


「おれも2度寝します…」


そう言い終わると同時に耳裏へ柔い感触が当たる。ぴく、と肩を揺らせば満足気に溶けた笑い声が背後から聞こえ、仕返しに重ねていた手を指の隙間へ滑り込ませ軽く握ってやった。俺からの急なアクションに驚いたのか途端に大人しくなってしまった星導がおかしくて、つい笑みをこぼす。


こうやっている間にもカーテンの隙間から落ちた陽の光は毛布を温めている。せっかくの休日をこんなもので潰していいのかという気持ちと、このままこの時間が続くのも悪くないなと思う気持ちがぼんやりと脳に浮かぶ。


肌寒い季節の中、身を寄せ合って熱を溶かし合うこの関係に酷く優越感を抱く。


この腕に抱かれるのは他の誰でもない俺しか居ないのだと実感できるから。


首元にかかる規則的な息を感じて、俺はゆっくりと幸せな時間を引き伸ばしていった。

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