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一足外へ出ると寒さがつんと身体に響く。スマホを確認すれば時刻は午前10時を回ろうとしていた。身震いをしながら待ち合わせ場所へ向かうと、見慣れた灰青の髪を見つける。黒を基調としたコーデに首元には誕生日に彼へ送った白いマフラー。近くのベンチへ座り、少し下を向いてスマホを眺めているせいで鼻まで隠れている様子が可愛らしくて、つい笑みがこぼれる。気配でバレてしまったのか俺が声を掛ける前にこちらに気付き、すぐにスマホをしまう彼。
「小柳くん。すみません、待ちました?」
「ん、いや?別に今来たとこ」
そう言いながらも立ち上がり露わになった鼻は寒さで赤く染まっていて、そこから彼の気遣いが見て取れた。それを温かく受け止めて手を差し出せば、真冬の空気に晒されて冷え切ってしまった手が繋がれる。今日寒いですね、と世間話をしつつカイロをポケットから取り出し、一度繋げる力を弱めて彼の手と自身の手の間に挟んだ。じんわりと熱さが染み込んできた所で途端に温かみが消え、不思議に思い見やると手の内にあったはずのカイロが彼の左手によって回収されていることに気付く。
「え、ちょっと、返して下さい」
「…これ、やだ」
お前の手の方がいい。
なんて、唐突に爆弾を落としてくるパートナーに先程までの寒さが一瞬遠のく。ぱちりと瞬きをしてゆっくりと情報を整理する。カイロの方がどう考えても温かいのに、それを踏まえて尚俺の手がいい、とこの男は言いたいらしい。…俺の心臓、まだ動いてるかな。
現実に意識を引き戻すと、何も言わない俺を見て遅れて恥ずかしさが込み上げてきたのか、目を泳がせている彼に行き場のない愛しさを覚えた。 やっと思考が追い付いた所で白い息を吐き、するりと手を滑らせ恋人繋ぎにすると、一拍置いて控えめに握り返される。彼の方を見ればわざとらしく視線を逸らしていて、こちらから表情を見ることは出来なかった。
白い雪と対比するように赤く染まっている耳は寒さのせいなのか、はたまた別の理由があるのか。十中八九見当は着いているが、彼の口から聞くまでは気付かないふりをしてやろう。
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