「鳴り止まないアンコール」
手が震えるのがわかる。
もうすぐ貴女に会える。
あの扉の向こうから貴女が、ステージにあがる。
歓声が聞こえる。
こんなに近いのに、とても貴女は遠すぎて、胸が苦しくなる。
それでも、貴女を見つめて止まないワタシがいる。
何年、何十年と貴女を見つめてきた。
貴女の奏でる歌を聞き、時には涙し、時には勇気づけられ、そして今日まで生きてきた。
ワタシの人生は貴女で色づいている。
貴女がいたから生きてこられた。
貴女の笑顔に今日も生きる意味を問う。
出逢ってしまったのだ。
この運命に。
貴女を追いつづけるこの人生に。
あぁ涙で貴女が霞む。
思い切り伸ばしたワタシの手に貴女の手が触れた。
熱い。
指先に、掌に、魂が宿る。
胸が痛い。
愛しさが溢れ出す。
貴女に届け、貴女に届け、この熱量。
声がかれるまで、貴女のなまえを叫んだ。
アンコールは鳴り止まない。
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