テラーノベル
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弱々しく、消え入りそうな声で懇願すると
電話の向こうで怜治さんが、優しく微笑んだ気配が伝わってきた。
「…分かった、俺に任せて。すぐ行くから、そこから動かないで」
その絶対的な約束の言葉に、僕はさらに胸が熱くなり、涙がポロポロとこぼれた。
怜治さんが来てくれる。
彼がそう言ってくれただけで、暗闇の世界に光が差し込み、救われたような気がしていた。
「っ、う、ぅん…はやく、はやぐ…きて……」
僕が掠れた声で言うと、怜治さんは
『……さっちゃん。一度電話を切っても大丈夫?』と聞いてきた。
今の僕は誰が見ても極限状態だ。
一瞬でも彼との繋がりが消えてしまうと思うと
不安と恐怖が最高潮に達してパニックになってしまう。
「や、やだ!切らないで……っ!!何も聞こえなくなるの、一人になるの、怖いよ……っ、ううっ、お願いだから、繋げたままでいて…っ!」
「…分かったよ、繋げておくから…じっとしててね」
「っぅ…分かり、ました……」
彼の優しい吐息をスピーカー越しに耳に受けながら
僕はただ只管に、怜治さんが助けに来てくれるのを祈るような気持ちで待ち続けた。
◆◇◆◇
それから、一体どれほどの時間が経過したのだろうか。
感覚としては何時間も経ったような気がするのに、まだ怜治さんは現れない。
スマホの画面に目を落とすと、さっき通話を開始した時間は「17時50分」。
そして、現在の時刻は「18時05分」を表示していた。
(まだ…10分も経ってないなんて、嘘でしょ…?怜治さん……早く、一秒でも早く来て……っ)
激しいヒートの熱と、監禁されている恐怖のせいか
僕の精神状態は完全に狂ってしまって
心の中の時間の流れが完全にストップしてしまったかのような錯覚に陥っていた。
一分一秒が、一時間のように長く感じられて耐えられない。
しかし、そのときだった。
――ガタガタッ!!!
突然、倉庫の鉄扉の向こう側から、大きな物音と人間の足音が激しく聞こえてきた。
咄嗟に恐怖で身体がビクンと縮こまり、涙目で扉を凝視する。
僕が警察に通報でもしたと思って
今度こそ、あのフードの男が自分を襲いに戻ってきたのではないか、と心臓が止まりそうになる。
僕はその音の正体を探るために、恐怖に震えながらも、恐る恐る顔を上げた。
次の瞬間
カチャン!!!
という、外側の鍵を乱暴にこじ開けるような鋭い音が響き、勢いよく鉄扉が左右に開け放たれた。
そして、差し込んできた眩しい街灯の光の隙間から
ゼーゼーと激しく肩を揺らす、大好きな人の姿が見えた。
黒星
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コメント
1件
あおいです。第26話、読みました…。 ヒートと監禁の恐怖で錯乱しそうになりながら、怜治さんの声だけを頼りに耐えるさっちゃんの心情、本当に胸が締め付けられました。たった10分が永遠に感じられる感覚、読んでいるこちらまで息が詰まるようでした。そして最後の扉が開くシーン——「大好きな人の姿」という一文で、すべての不安が溶けていくようで、思わず涙が出そうになりました。怜治さん、本当に来てくれたんですね…🤍