天皇学園 高等部
この学園には世界一美しい女子高生が存在する。
この世とは思えない程の美貌と容姿。強く優しく美しい女子高生。
その女性を見た者は一瞬で虜になる。男女構わず無自覚で虜にしてしまう程。その輝きのせいで周りの皆は近づけなかった。
美しい女子高生を皆はこう言う。
『女神様』
と。
その女神様の笑顔を見た者はあまりいない。その笑顔は周りを明るくする程の笑顔。
女子高生─────皇城ゆかりには、笑顔をあまり見せない理由がある。それは、皆が自分から離れていくから。
皇城ゆかりは自分の美貌と容姿に無自覚なので、何故離れられるのか分からない。
その事で悲しみを抱き、笑顔をしなくなった。
『どうして皆私を離れるのですか?』
『私が何かしたんでしょうか?』
『だとしたら、謝罪しますから、どうか私と友達になってくれませんか?』
『辛い。悲しい。誰か、私の傍に居てください!』
と、心の中で叫んでいた。
皇城ゆかりはいつも憧れているアニメがあった。そう、【ONEPIECE】というアニメ。その主人公ルフィと仲間達の絆にいつも憧れていた。
自分にはこんなに信頼のできる友達がいない。だから、いっその事、【ONEPIECE】の世界に行きたい、と願っていた。
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─────コツコツコツ・・・
コツコツと廊下に現れたのは、美しい女神様。
「今日もお美しいですわ〜」
「眩しすぎて見えません!」
「美しい〜♡」
「女神様だァ〜」
モデルのように高身長で、身長が高いので足も長く細く美しい。バランスのいい歩き方。
風がヒュ〜、と女神様に吹き、その時、まるで天がその女神様を祝福するように光がさした。
その光っている方向へと顔を向け、サラッと風に揺れる美しい漆黒の髪。その光を灯す黒い瞳。
何もかもが絵になる。
ゆかりは階段へとコツコツと上がって行き、屋上の椅子に座り込み、本を飲んでいた。
そして、そのゆかりの傍に来たのは元気で明るい娘が来た。
「あ、あの・・・!!」
「・・・?」
「そ、その本・・・!なんでっ・・・、しょうか!!/////」
「・・・・・・・・・この本はただの歴史の本です。」
「面白いですか?」
「・・・・・・いいえ。退屈です。」
「!」
ゆかりの今の顔はとても悲しく辛そうな顔に瞳をしていた。
それを見て、娘はゆかりの椅子の隣に座った。その行動にゆかりは驚いた。
「あの・・・私、この高校は今日で初めてなんです!」
「!・・・転入生ですね・・・、1年C組の中山はるかさん・・・ですよね?」
「!!私の事、ご存知なんですか?!」
「ええ、これでも私はこの高校の副会長ですから。」
「そうなんですね〜私も生徒会室に行ってみたいです!」
「行ってみますか?」
「はい!行ってみたいです!!」
「分かりました。では、案内致します。」
********************
──────ガラ・・・パチッ
「ここが生徒会室です。あまり、物にはお触りはしないようにご注意ください。壊れやすい物や大切な物が沢山ありますので・・・それだけはご注意ください。」
「分かりました!」
中山はるかは生徒会室を慎重にゆっくりと楽しんではしゃいでいた。
そんな娘の嬉しそうな顔を微笑ましく、口に薄く笑みを浮かべて見ていた。
その顔には少しだけ綺麗な笑顔があった。
その事に中山はるかは気づき、「綺麗・・・」と言ってきたので、ハッとなり、ゆかりは元の顔に戻った。
「とても綺麗です!もっと笑った方がいいですよ!!(キャーキャー」
「・・・・・・こうやって誰かとお話するのも久しぶりの感覚です。」
「?」
「小さい頃にはよく笑っていたんですよ。優しく明るい友達が沢山いて、女の子の友達はとても気が合い、オシャレのお話をしたり、男の子の友達はとてもお元気でスポーツの大好きな人ばっかりで・・・とても幸せな日でした。ですが────私と友達はバラバラになってしまいました。私の家の都合で東京都に引っ越してきたんです。それから、ガラリと友達が居なくなりました。その理由が全くわからなく、辛くて悲しかったんです。ですが、もう一度楽しくこうやって会話が出来て嬉しかったです。ありがとうございます、はるかさん(ニコ」
笑顔はとても嬉しそうで楽しそうな女神の微笑みのように美しい笑顔だった。
「!・・・・・・なんだが、ここの生徒達があなたを離れている理由がわかって気がします。」
「・・・」
「あなたは勘違いをしているだけです。」
「勘違い・・・ですか?」
「はい・・・あなたは────」
********************
「・・・・・・ん・・・んんん・・・・・・・・・・・・、・・・?」
真っ白な世界が広がっている場所に私は目を覚ました。
何もなく、ただただ真っ白で広い場所だった。私は歩き出した。けれど、なかなか扉や道具なども見つからなかった。
私が迷っている時に後ろから幼い声が聞こえた。
「ゆかり嬢、何処へ行っても何もありませんよ?」
「!!」
後ろを向いた時、「えへへ」とニッコリと笑った少年がいた。美しい黄金の髪に、何処までも涼んでいる青い瞳。
整った顔立ち。
美少年が宙に浮いていた。
「ここは・・・」
「ん?もしかして、まだ意識が戻ってないのかな?記憶がないのかい?」
「記憶・・・?」
そう思った時、頭が急に酷い頭痛に襲われた。
叫ぶとこの少年の迷惑になるんじゃないかと思い、叫ばず、声を殺して、頭を必死を抑えた。その頭の中に記憶が流れ込んできた。
********************
記憶の流れはこうだった。
「はい・・・あなたは────」
何故か後ろから車が突っ込んできている所を目撃して、ゆかりが中山はるかを庇い、車に潰され、死亡。
真っ赤な血が車の下から流れ出す。
車の運転手はいなかった。
中山はるかは考えた。どうして、運転手もいない車が?と・・・その時、真っ青な顔でこっちを見ていた女子高生達がいた。
その女子高生達がその車を使い、中山はるかを殺そうとした事がわかった。
その考えに中山はるかは顔を青ざめた。そして、こう思った。『自分じゃなくて良かった』と。
中山はるかはそんな自分の考えに怒り、尖った物を手に取り、自分の首を切った。
そして、中山はるかも死亡。
それから、この車を使った女子高生達はその場所に来た先生達に説明をしていた。
『中山はるかさんがゆかり様の美しさを憎み、ゆかり様を殺す為にこの車を使い、ゆかり様を殺したのです!!』
そう、真っ赤な大嘘。だけど、何故か先生達は納得した。こう考えていた。
『ゆかり様の美しさを初めて見て、憎む人はいつか出てくると思った。』
と、納得した。
この事件は終わった。
********************
「!!」
「・・・思い出した?」
「・・・・・・・・・はるかさんが・・・死亡っ・・・!!」
「まず、中山はるかの心配か。流石僕が最愛した魂。でも、まずは自分の心配をしたらどうかな?」
「はるかさんは!はるかさんは・・・!!はるかさんの魂は何処にっ!!」
「心配無用だよ。その子の魂は天国にある。いつか、生まれ変わる。」
「っ・・・なら・・・、良かったです・・・。」
「・・・ゆかり嬢。君にはある世界に行ってほしいんだ。」
「?」
「その世界の名前は─────
【ONEPIECE】」
「!!」
【ONEPIECE】という言葉にとても嬉しさが抱いた。
あの絆の深い麦わら海賊団の世界に行ける。その事でとても嬉しく思えた。
でも──
「はるかさんは・・・はるかさんも・・・・・・そんな素敵な世界に・・・行けるのかしら・・・私だけ楽しくしても・・・逆に罪深さでその世界でも死を選ぶでしょう・・・」
「・・・君は本当にお人好しだね。大丈夫だよ。僕が保証する。君の願いなら何でも叶える。」
「!・・・ありがとうございます(ニコ」
「/////・・・は、早く、転生するぞ!」
「・・・」
「怖い?」
ゆかりはフルフルと頭を横に振った。
「いいえ。寧ろ、光栄の至りです。」
「そうか・・・君が望むなら、前世の記憶を消す事も出来るよ?」
「いいえ。」
「どうして?辛い日々だったんでしょ?」
「はい。ですが、その辛い日を埋めるように嬉しい事と楽しい事がたったの短時間に埋められました。そう────『中山はるか』という存在は私とってその長く辛い年月を埋める程の存在だったのです。なので、その気持ちと時間を大事にしたいのです。」
「そうか」
「それに・・・私は助けたい人がその世界にいるのです。」
「そうなんだ。僕も君を応援すよ(ニコ」
「ありがとうございます」
「では、幸運を」
大きな渦巻きの穴に吸い込まれ、吸い込まれた瞬間に少年の優しい笑顔が頭の中に刻み込まれた。
それから、意識が失い、私はそのまま落ちていった。
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