テラーノベル
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急いで外に出ると日がもう傾き始め赤く染まっていた。
「青いバラなんてあんのか?」
花屋に行っても赤とかピンクとかきいろのバラしか見たことがないため不安になる。
バラが咲き乱れている場所に行くが空の色のせいかどんな色かがうまくわからない。
「うぅ、ミッション出すならもっと早い時間にしとけばいいんに。」
白いバラは赤く、赤いバラはもっと深い赤に。
夕日に照らされ揺れている。
日もしずに見、淡い色になる。
「今ならわかるかも。」
急いで探すが日が沈んでから明るい時間なんてたかが知れている。
制限時間も迫り始め焦りが見えた。
「どうしろっていうんだよー!」
「あれ、あなたは…。」
声がして振り返るとそこに立っていたのはアキラだった。
「あ、アキラ…さん。」
「アキラで構いませんよ。どうしたんです?」
「いや、その…。」
ミッションを達成するために頑張ってました、なんて言えるはずがない。
絶対やばいやつって思われる…。
「もしかして、探し物ですか?」
「え、あ、そ、そうなんです。」
「何をお探しで?」
「えーッとぉ…。」
ここまで来たらごまかせない。
「その、青いバラを探しているんです。できれば後、三十分くらいで。」
「青いバラ、ですか…。」
アキラは思案顔であたりを眺める。
「この学校に青いバラがあるとは聞いたことがありませんが…。」
「え!?いや、あるはずなんです!」
「しかし、青いバラは品種改良をしないとできないものですから。」
「そんな、」
このままじゃ、失敗して何をされるかがわからない。
「…わかりました。私も探すのを手伝いましょう。」
「本当ですか?」
「ええ。それに、興味がありますし。」
「?何にです?」
「内緒です。」
アキラがやさしく微笑む。
その顔はどこかで見たことがあった顔で。
なつかしさに頬が緩む。
「あ、俺あっちの方探したんですけどなかったです‼」
「なら、こっち側ですか。」
まだまだ土地はたくさんある。
でも、アキラと一緒なら見つかるような気がした。
「あーくそ、紫だ。」
「こっちは…白ですか。」
探しても探してもなかなか見つからない。
もう時間もない。
でも、あきらめたくなかった。
月の光が当たる。
それに導かれるように雲雀は走った。
「これ、は?」
庭の奥の奥にあった誰も知らないような小さな空間。
その真ん中に咲いているのは
「青い、バラ…?」
光に照らされ力強く、儚く咲いている。
「ありましたね。」
後ろからアキラがやってきて微笑む。
うれしくて思いっきり笑った。
「おう!」
『ミッションクリア。アイテムが付与されます。』
そんな声が聞こえる。
ミッションをクリアしたこともうれしかったけどそれよりも
「アキラと見つけられてよかった。」
「っ⁉」
アキラの頬が赤くなる。
「え、どうした?大丈夫か?風邪ひいた?ごめんな、つきあわせちゃって…。」
「いえ、大丈夫です。」
「ほんとか?無理すんなよ。辛かったらだれか頼るんだぞ?」
「…。戻りましょうか。」
「あ、それもそうだな。…どうやって戻る?」
「道は覚えているので大丈夫です。」
「さすがアキラ‼」
「さすが、とは?」
「あ、いや、その、」
「ふふ、いいです。初めて会ったのではないかもしれませんしね。」
そうして、寮へ戻ったのだった。
―――――――
四季凪アキラ 好感度43%
アイテム 青いバラ
これを使うと○○が×××
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