無意識に目が合った銀河との間に、短い沈黙が流れて、一瞬ドキリと胸が高鳴るけれど、
「……なに言ってんだ。そんなわけないだろ」
銀河は水割りを一口飲むと、あり得ないとでも言うように、天馬の言ったことを軽く笑い飛ばした。
「そうだよな。銀河はなんだかんだ言って、俺よりモテるしな」
流星が言いながら、吸い差しのタバコを灰皿に揉み消す。
「……銀河って、そんなにモテるの?」
銀河のことを別段意識していたわけでもなかったけれど、たとえ一瞬だろうと『気がある』という指摘に、私自身が動揺をしてしまったこともあって、つい確かめないではいられなかった。
「なんだ、気になるのかよ?」
銀河がちらりと私の方を流し見るのを、
「別に……そういうわけじゃないけど」
多少照れくささを感じて、視線をふいと横へ逸らした。
「ふぅーん……俺が気になるってわけでもないのなら、ホントのこと言っても問題ないよな? はっきり言って、俺ってモテるから」
グラスに残っていたバーボンをぐいとひと息に飲み干して、
「だいたい、俺みたいなイイ男のことを、女がほっとくわけもないだろ?」
と、銀河がわざとらしく私に顔を迫らせた。
長めの睫毛に縁取られた、妖しげな魅力が感じられる紫色をした瞳に、じっと見つめられ、射竦められたような感覚に陥る。
「……そう。モテてよかったわね……」
私は半ばそう投げやりに口にして、顔を覗き込む銀河から目を背けた。
大して気にかけてはいないはずだったのにも関わらず、自分からモテると自慢するような軽薄そうな男なんかに、少しでもドキドキとさせられたことが、なぜだかひどく恨めしかった……。
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