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私は人生負け組の人間だ。
ヒエラルキーで言ったら最底辺のまたまた下の下。勉強も人並みぐらいにしか出来ない。家だって、裕福とはお世辞でも言えない。特技もない。友達も居ない。それに、何よりこの容姿。
一重の目。散りばめられたそばかす。痩せ細った体。鋭い目つき。おまけに長い犬歯。お手本のようなブサイク、それが私だった。その長すぎる犬歯のせいで、小学校の時は吸血鬼何て呼ばれてたわ。それは、今、中学でも同じ。ほら、見てよ。今もクラスメイトがヒソヒソと私を指さして言っているわ。
「見てよ。根岸がこっち見てるよ。」
「え〜、きもぉい。」
ってね。こんなことは日常茶飯事。気にしないで掃除を済ませちゃいましょ。いつものように私はちゃちゃっと箒を動かす。丁寧とは言えないけど、まっ、良いわよね。私は箒を片付け、鞄を持つ。その時私の耳に異物が入り込んだ。
「お前そんなにブス何だから、どうせお前の母ちゃんと父ちゃんもブスなんだろ?今度見せろよ。どんだけのブス何だろーな?」
何だと?私の、私の……!
「親を馬鹿にするなっ!」
その後の事は良く覚えていない。記憶にあるのは腕から血を出して倒れている男子と悲鳴を上げるクラスメイトだけだった。
「御宅の子供のせいでうちの子がこんな怪我をしたんですよ!?なのにいじめですって!?どっちがいじめですか!」
「まあまあ、お母さんも落ち着いて。根岸さんが怪我を負わせたのは確かですが、いじめの証拠もありますし、ここは…」
「これが落ち着けますか!?」
「本当に申し訳ございませんでした!」
分からない。何故、このおばさんは怒っているのか?何故先生は私を睨んでおきながら私を庇っているのか?何故お母さんとお父さんはこんな醜い私を守る様に謝っているのか?私はただ親を馬鹿にした男子の腕に噛み付いて引き千切っただけ。なぜ?分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない「お嬢様!」分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からな「お嬢様!しっかり!」い分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない分からない「お嬢様!大丈夫です!」……分から……な…い?「ここには、私が居ます!」
ハッと目を覚ます。辺りを見渡すと見慣れた殺風景な自室。何か中学の時の夢を見たような気がするけど……あの声は何だったのか?しかし、悩んでても仕方がない。それに、何故か自身も湧いてきた。夢のお陰だろうか?私はそんな事を思いつつ、制服を着る。高校生となった今。決していじめがなくなるわけではない。容姿が良くなるわけではない。でも、大人が口癖のように言う、明るい未来へ、私はまた歩き出す。
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「期待していますよ。そのアカルイミライがどんなものか。精々頑張ってください。根岸彰子さん。いえ、サリエーラ王国ケレン伯爵家長女。吸血鬼の始祖、ソフィア・ケレンさん。」