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あの路地裏での約束から、数ヶ月が経った。私は新しい職場に慣れ始め、毎日を淡々と過ごしていた。
でも、心のどこかでいつも佐野くんのことを思っていた。
彼の充電キスが、唇に残る温かさ。
そして、毎日のように届くメール。
最初は簡単な挨拶から。
『先輩、おはよう!今日も頑張ってますか?俺は今、資料作ってるで。末澤さんに褒められたよ!』
私はすぐに返信した。
「佐野くん、おはよう。私も頑張ってるよ。褒められたなんてすごいね!」
そんなやり取りが、日常になった。
佐野くんのメールは、いつも明るくて、仕事の成長を少しずつ報告してくる。
『今日、初めて一人でプレゼンしたんや。緊張したけど、無事終わった!先輩の教えが役立ったわ。ありがとう!』
「プレゼンお疲れ様!きっと上手にできたはずだよ。私も応援してる」
彼の言葉から、成長が伝わってくる。
入社2年目の頃は、私に頼りきりだったのに、今は自分でプロジェクトを回しているらしい。
末澤さんから聞いた話では、営業成績も上がっているとか。
でも、メールの端々に、寂しさが混じる。
『先輩に会いたいな……。今日も残業やけど、先輩の声聞きたい』
そんな時は、私も胸が痛くなった。
「私も会いたいよ。でも、今は頑張る時期だね。佐野くん、立派になってきてるよ」
ある日、佐野くんのメールに変化があった。
『先輩、俺、昇進したで!今度、チームリーダーになるんや。末澤さんが認めてくれたわ』
「えっ、すごい!おめでとう、佐野くん。本当に成長したね」
『これで、約束守れるかも。もう少し待っててな。先輩のこと、毎日考えてる』
私は画面を見つめて、微笑んだ。
佐野くんは、ワンコから本物のオオカミへ
いや、強いリーダーへ変わりつつある。
でも、私への想いは変わらない。
メールの糸が、私たちを繋いでいる。
いつか、彼がここに来る日を、静かに待つ。