太宰が武装探偵社に入って暫く経った頃。
彼は、探偵社先輩_国木田の目を盗んで仕事をサボる(入水をしに行く)事が日常となっていた。
「今日は入水日和の良い天気だなぁ〜♪」
そう良い乍も、何時もなら川に飛び込む太宰だが今日は川沿いを通り過ぎて、ある場所へと向かった。向かった場所は、__墓地だ。
暫く歩いて、1つの墓の前で足を止めた。
織田作__彼の嘗ての友が眠る墓だ。
「……やぁ織田作、元気だったかい?」
そう話しかけて、よいしょ、と墓の前に腰を下ろす。
「此処に来たのは私が18の頃…。織田作が居なくなって…ポートマフィアを抜けて直ぐだったねぇ。」
ふと上を見上げる。雲一つない空が視界いっぱいに広がった。
「私ね、あの後…とある武装組織_武装探偵社に入ったんだ。其処は、ポートマフィアと違って人助けをする所だ。」
ぽつり、ぽつり と 返事のない友に語りかける。
「前に言ったろう?__人を救う側になれ。其の方が幾分か素敵だ、ってね。確かに、君の言うことは間違ってないと思ってさ。」
ゆっくりと下を向いて、目を伏せる。
「だが…私は、ポートマフィアを裏切った事になる…。煩い蛞蝓と離れられたは良いけれど…本当に、この道で良いのかなって思ってしまうんだ。…織田作、君はどう思う?」
返事が帰ってこない事は分かっていて自嘲気味に笑う。
「良いんじゃないか?」
「……!」
太宰は目を見開く。
「御前が選んだ道ならば、俺は良いと思うぞ。」
返ってくる筈のない友の声が聞こえた気がして、思わず辺りを見回したが姿はない。
サァッと風が吹いて、木葉がサワサワと揺れた。
「………そうだよね。織田作…。ありがとう。」
少し目を細めて微笑む。
「それじゃ、私は行くよ。」
そっと持ってきた花を墓の前に添え、背を向けて歩き出す。
「やーっぱり此処に居たか。太宰。」
後ろから聞こえた声に振り返る。
其の声は国木田でもなく…
「乱歩さん…?」
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コメント
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神ですか? 疑問形は失礼ですね。 神ですね!