袖を春の始業式。クラスの視線が集まる中、黒髪ショートで目付きが少し鋭い少女立ち上がる。羽織から覗く制服の袖をきゅっと引き直し前を見て、小さく深呼吸。
「楓です。えっと、、、運動が、ちょっとだけ得意です 」
ちょっとだけーーなんて嘘。
じっさいは校内の50m走最速記録を更新した張本人。
「、、、あとは、食べるの好きです。よろしくお願いします」
パッと見はぶっきらぼう。でも、その最後の一言にはほんの少しの照れが混じっていた。
(あんまり目立ちたくないんだけどな、、、 )
誰にも悟られないように、そう思っていたーー忍者「炎熊」としての顔は、まだ秘密だ。
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次に立ったのは、黒髪の前髪が少し長く、目元の鋭さとは裏腹に声の小さい少年。
少しだけ、ためらうように立ち上がった。
「……むつる、です。特に……話すことは、ないです」
クラスがざわつく。
「え、無口系……?」「ちょっと怖……?」
けれど隣で見てた楓にはわかっていた。
これはシャイで不器用なだけだ。
「……あ、よろしくお願いします」
小さな声。でも、はっきりとした言葉。
光を操る術を隠しながら、´´普通の生徒´´を演じる彼の日常は、これから始まった。
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明るい茶髪に近い、ふわっとした髪。春色のアクセサリー。
ぱっと花 が咲いたような笑顔で、ほのかが前に出る。
「春風ほのかです!えっと、運動はあんまりだけど、みんなと仲良くしたいです!」
明るくて素直。だけど、少し変わった女の子。
彼女の祖父は実は凄腕の忍者ーー今は引退しているが、楓の師匠でもある。
「趣味はパン屋さん巡りと、本を読むこと!よろしくお願いします!」
無邪気なその笑顔の裏で、彼女はまだ知らない。
自分が忍者達の世界と、危険な任務の標的に近づいてることをーー
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