エッチの後で。
俺たちはベッドの上で並んで抱きしめ合っていた。
「ねえ、元貴。今日のなんだったの?」
涼ちゃんは不思議そうにたずねてくる。
「なにってエッチだよ」
「でもいつもと全然違ったよ?」
「気持ちよかった?」
そう聞くと涼ちゃんは真っ赤になった。涼ちゃんかわいいなぁ。そう思いながら頬にキスをする。
「これまで俺、いつも余裕なくて涼ちゃんの事なんて考える余裕なくて…」
ごめんね、と呟く俺に涼ちゃんはびっくりしたような顔をした。
「そんな…。俺、大丈夫だよ?」
「違うの!『大丈夫』じゃなくて『気持ちいい』って涼ちゃんにも思ってほしいんだ」
「元貴…」
優しくキスをすると恐る恐ると言う感じで涼ちゃんも答えてくれた。
この関係もずいぶんたつのにまともなキスはこれが初めてだと気付いて苦笑する。
今まではエッチが終わった後は俺は死んだように眠ってしまうから、こんな優しい時間は本当に初めてかもしれない。
とても穏やかな時間。
俺と涼ちゃんの関係が一歩進んだような気がして嬉しかった。
 その日から俺と涼ちゃんは俺が闇落ちしそうな時はもちろんだけど、それ以外の時でも会ってエッチするようになった。たまにだけどエッチもせずにただ寄り添って眠る日もできた。
まるで恋人のような時間。……でもお互いに好きだと言ったわけではない。
始まりはただの俺の甘えと涼ちゃんの優しさから始まった。そんな不安定な関係。
……早く気持ちを伝えないと。
そんなのはわかっている。わかっている。でも…俺は涼ちゃんに『好きだ』と伝えるタイミングを完全に見失っていた。
今好きだと伝えてもし今の幸せな関係が壊れてしまったら、と思うと怖くて口に出せなくなってしまったのだ。
もし涼ちゃんが俺の元からいなくなってしまったらと考えるだけでとてつもない恐怖が襲ってきて指ひとつ動かせなくなる。
涼ちゃんはどう思っているのだろう。涼ちゃんはいつまで俺の甘えを許してくれるのか。
最後の一歩を踏み出す事ができないまま、2人の関係は続いていく。
不眠症がだんだん治ってきたと思ったら今度は涼ちゃんがいなくなる恐怖がでてきました。
もっくん明るくしてても闇深そうだもんなぁ。
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もう、💛さんの反応がいちいち可愛いです✨