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街中を走っているのも、泣いて目立ってしまっているのもあり、路地に入ってしゃがみ込む
帰れるわけがない
だってあの家は、ひばのいた家だ
僕の家で、ひばの家でもある
”「・・・マジで、誰?」”
あぁ、嫌だ、嫌だなぁ、
聞きたくなかった、そんな言葉
もう何もわからなくて、ただ俯く
なんで、
---なんで、こんなことに
、いや、僕が、悪いんだ
引き止めていればよかった、だけの話なのに
くそ、くそやろう、
なんで、なんでお前じゃないんだ
お前が落ちればよかった
ひばじゃなくて、僕が---
ドンッ
『ッぁ…っすいませ、 』
{わわわ、ごめんなさい!}
『……ぇ、マスターちゃん?』
{へ、?ぇっ風楽さん!?}
こんなところで蹲ってどうしたんですか、酷い顔ですよ、なんて言われる
『マスターちゃん、僕、』
{あ〜!まってまって、ちょっとまって下さい!}
話の続きはお店で聞きますよ!、そう言ってくれたマスターちゃんの後ろを歩き、バーへと向かった
{そんなことが………}
僕の話を聞く為だけに、わざわざ開けてくれた このカフェは結構前から来ていた所だ
、、付き合う前は、雲雀への思いを忘れる為に、愚痴る為に入り浸っていた
何せマスターちゃんがあまりにも聞き上手で
このカフェでナンパされることだってあった
だけど、話をしていても笑顔を見ても、指が触れただけでも”この人じゃない”と本能的に拒否してしまう自分が嫌になって、 結局マスターちゃんとの談笑に戻っていた
そういう割と長い付き合いなことも、本人がフレンドリーなこともあって、ことある事にここにきていた
最近は、そんな余裕もなかったけど
{その人ってあれですよね、初恋の……}
『、ぅん、でも、もう、っ』
{あああちょっと、泣くの待ってくださいよ〜}
『僕のこと、忘れたくなるぐらい、嫌いになったのかもしれない、』
『ぃやだな、ぁ、いやなのに、ぼくなんもできない、』
『けいかいしたような顔してさ、距離もあって、』
『ぼくのこときらいになって、わすれたいってなって、その結果だったら、どうしよう、ぼく、っ』
{も〜!落ち着いて下さいってば… }
店を開けてくれたとは言えど開店してる訳ではないので、プライベートのお酒を出してくれたマスターちゃんに甘えて、度数の高いお酒をまた1杯呑み込む
{お酒強いからって飲み過ぎですよ…私面倒見ませんからね}
『、いーよ見なくて、マスターちゃんにて出されちゃうかもだからね、 』
{は、?!いや出す訳ないでしょ!風楽さんはお客様ですし、そもそも好みじゃないです!}
『ぇ〜、?んふ、好みだったらさぁ、もっとガツガツいってそうだもんね、』
{いや私全然いけませんよ…そもそもの話、私お相手いますからね}
、?
なんかもう、まぶたがおもい、
ますたー、ちゃんのこえも、とおい、きがする
ひば、
ひばり、あいたいな、
『ぼくが、わるいけど、さ、ぁ』
『どうせ、なら、きらいだって、いってほしかった、ッ』
『つきはなして、ののしって、きらいにさせて、ほしかった、』
『すき、なのに、な、ぁ』
『すき、になって、ごめん、』
『ごめん、なさい、ごめん、ね』
”ごめん”、”ごめんなさい”
そんな言葉だけが溢れ出てくる
お酒に酔わないとしても、久しぶりに泣きすぎたかもしれない
もう、眠ってしまおう
ひばとの楽しかったこと、幸せだったことも、この歳になるまでにあった嫌なことも、全部全部、このまま忘れてしまえればいいのに
そう思いながら僕は目を瞑り、意識を落とした
雲雀side
”『すき、なのに、な、ぁ』”
”『すき、になって、ごめん、』”
誰に向けて、言った言葉なのか
そもそもなんで、俺は病院を抜け出して、来たこともないカフェにいるのか
見覚えのある優しくて明るい色が見えたからなのか
・・・いや、強いて言うなら何故か、”ここにこなきゃ駄目な気がした”みたいな、
そういう本能的なものだと思う
確信もなければ、確実でもない、ような、そんな感覚
「、きれーな、顔」
まつ毛が、涙に触れて、濡れている
本当に、あまりにも綺麗で、
触れても、いいかな、
どうしても、涙を、拭ってやりたい、という衝動に駆られる
俺なら、そんな顔させないのにな、
そこまで考えてハッとする
、なんだ、それ
俺今、何を考えた
{・・・あの、お知り合いですよね?その人連れてっていただけたりしません?}
その声にハッとしてここが店であることを思い出した
”お知り合いですよね?”
そう言われたことに否定を入れようとするが、知り合いであることには変わりないし、それに---
それに、この人を一人にしちゃいけない気がした
でも一番は、そばに居たいと思った、なんて、
{すみません、じゃあその人のことお願いします}
「ッあ、、は、い」
あの人と親しいんかな、なんて
なんか、俺が俺じゃないみたいな感じがする
『ん、ぅ、ひば、ぁ、』
あぁ
---かわいい
でもそれは、それは俺じゃないんだろうな
俺じゃない人を”ひば”と呼んでいて、俺じゃない人を好きで、俺じゃない人のことを考えて泣いていた
一体誰のことを考えてああなった?
どうか、どうか俺のことを考えてほしいなんて、
あぁ、本当に
何かの間違いで、俺のことを好きになってくれたりしないかな
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𝐹𝑖𝑛.