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翌日。尊が帰ったあと、俺は部屋にこもった。
次の日も、次の日も、学校も休んで、必要最低限の食べ物と水だけを、親が仕事に行っている間に食べた。
そんな生活が二週間ほど続いた時、仲が良くて、よく一緒に遊んでいた、暁斗から電話が来た。出る気も無くて、通話拒否のボタンを押し続けても、何度でもかかってきた。
そんなやりとりがしばらく続いて、俺の心が完全に折れた。何度も聞いたコール音に耳を傾けて、通話ボタンを押した。
暁斗『和希!やっと出た、、、』
和希「何だよ、急に電話なんて。」
俺の沈んだような声に、眉をひそめる暁斗の顔が目に浮かぶようだった。
暁斗『何があったか知らないけどさ。お前がいないと俺の話し相手がいなくて困るんだよ。』
和希「、、、」
『みんなどうしたのかって、心配してるんだよ?尊だって、、、』
尊、その名前に、俺の心臓は早鐘を打った。
ダメだ
和希「———すな、、、」
ダメだ
暁斗『、、、?』
和希「今、、、今!尊の名前を出すな!」
頭ではわかっていても、暁斗に気持ちをぶつけることしかできなかった。
和希「、、、もういい。切る。」
ちょっと待って——、そんな暁斗の声も無視して、俺は電話を切った。
またやっちゃったな。
暁斗もバカなんだ。俺のことをほっておいて、楽しく過ごしていればいいものを。それなのに、何でわざわざ俺なんかに、、、
そんなことを考えながら、煮え切らない思いを胸に、俺はベットの上で、眠りに落ちた。
起きたら夜の8時だった。
一度寝てら、頭が冷えた。暁斗に謝ろうと思って、携帯を開くと、暁斗から数件のメッセージが来ていた。
「さっきは無責任なこと言ってごめん」
「よかったら、ゆっくり話してほしい」
そんなメッセージを見て、俺は胸が締め付けられた。暁斗なら認めてくれる。何だかそんな気がして、俺は暁斗にメッセージを送った。
「こっちこそ急にキレてごめん」
「電話掛けてもいいか?」
すぐに2つ既読がついた。その速さが、今の俺には重くも感じた。それでも、暁斗の許可を取ってから、俺は電話をかけた。
和希「、、、ごめん。頭冷えた。」
暁斗『いや、いいんだけど。』
10秒、20秒、沈黙が流れた。この沈黙が妙に心に刺さっていて、俺は耐えきれず口を開いた。
和希「俺、実は————」
気づけば暁斗に全部を話していた。暁斗は静かに聞いてくれていた。俺が全てを話し終えた後に、暁斗は言った。
暁斗『そっか。話してくれてありがとう。』
少し苦しんだような、悲しみが滲んだ声。
暁斗『あとは任せて。』
でも、目一杯優しさに満ちた声で、暁斗は言った。
一体何を任せるんだろうか。何もわからないが、きっと力になってくれるのだろう。俺は何だか、胸の奥が軽くなった感覚がした。
和希「何を任せるんだか、、、」
わからないけど信頼してる。
いつの間にか、俺の目には涙が溜まっていた。