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女ヶ島から出航して約一週間後、ハートの海賊団は新世界には入らず、その手前の海、シャボンディ諸島付近にいた。
その間に起きた出来事が一つある。ルフィが再びマリンフォードに上陸したのだ。自身の仲間にメッセージを伝えるために。
マリンフォード、海軍本部を周回、オックス・ベルを16点鐘してからの黙祷。白ひげ、兄エースへの追悼だが、問題はルフィが16回オックス・ベルを鳴らしたことにある。
年の終わりと始まりに、去る年に感謝し鐘を8回、新しい年を祈り鐘を8回、締めて16回鐘を鳴らすのが海兵の習わし。それが16点鐘だ。それを時季外れの今やったというのが問題なのだ。
――白ひげの時代が終わり、自分が新時代を作る。
そんなメッセージがあるのだと。
だが、メッセージはもう一つある。麦わらの一味へ向けたメッセージ。
〝シャボンディ諸島に集合するのは3日後ではなく、2年後〟
新聞の記事を見ながら、俺はふっと息を吐く。元気そうでよかった。
ルフィが写った写真を切り取り、スクラップブックに貼る。また世界が大きく動き始めるのはまた2年後か……。
スクラップブックを作り終わり、ほくほく気分の俺が甲板の方へ向かうと、ベポの腹を枕のようにして座っているローがいた。あれ、ふわふわもちもちで気持ちいいんだよな…。ベポも鼻ちょうちん出して寝てる。いい天気だもんな。
「早く行きましょうよ、新世界!」
「いつまでこんなところでのんびりしてるんですか。船長は何を待ってるんです?」
「……時期を待つと、そう言ったんだ。慌てるな。ひとつなぎの大秘宝、ワンピースは逃げやしねえ」
「でもほら、黒ひげの奴らが新世界で暴れだして早速〝海賊団を1つぶっ潰した〟とかって噂ですよ」
「四皇の座を狙う億越えのルーキーたちも続々と新世界へ入ってますし」
「グズグズしてたら俺たちほかの連中に出し抜かれちまいますよ」
クルーたちの言葉を聞きながら、俺はローの隣に座ってベポに軽く寄り掛かる。俺が寄り掛かってもベポはまだ起きない。
「潰し合う奴らは潰し合ってくれりゃあいい。つまらねえ戦いには参加しねえ」
まだ少し納得がいっていないクルーたちに向かって、ローは続ける。
「ゴチャゴチャ言ってねえで黙っておれに従え。獲るべき椅子は必ず奪う」
「「船長~!!」」
「俺たちどこまでもついて行きます!」
一気にわあっと盛り上がるクルーたち。ローは静かに笑うと、俺の方に視線を動かした。
「ん?」
何か用だろうか。首を傾げると、ローは俺の頬をさらりとひと撫でしてから自分の帽子を少し下げてベポに寄り掛かって目を閉じた。
「俺も寝ちゃおーっと」
俺もローと同じように目を閉じる。ベポの温もりを感じつつ、俺は意識を手放す。