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「 バレンタインにはチョコレート 」
バレンタインデーが近づくと街は甘い匂いに包まれる。
チョコレートの匂いがどこからともなく漂い、人々は恋人に、友達に、または自分自身にと、何かしらの形でチョコレートを送り合う。
だけど俺にとってバレンタインデーはただ甘いだけの日ではなかった。
赫 : 初兎ちゃんこれチョコレート!!
りうらが差し出してきたのは綺麗にラッピングされたチョコレート。
見た目は美しく、普通のものだったけどそのチョコ手に取ると妙に冷たい感触が伝わってきた。
白 : あ、ありがと
白 : でもなんかちょっと冷たくない .. ?
俺はチョコを見つめて少し顔をしかめた。
りうらはにっこりと笑って
「大丈夫だよ」
と言いながら手を引っ込めた。
だがその笑顔がどこかぎこちなく感じられる。
その夜、俺はチョコレートを食べることにした。
部屋のライトを落として静かな空間で少しだけ心を落ち着けようとした。
しかし、チョコを口にした瞬間俺は何か違和感を覚えた。
甘くない。
いや、それどころかどこか鉄のような味が口の中に広がった。
俺は顔をしかめてチョコを吐き出して唾液を飲み込もうとした。
その瞬間、喉に何かが詰まったような感覚が襲ってきた。
俺は恐怖に震えながら部屋を見渡す。
どこからともなく甘い匂いが漂ってきた。
しかしその香りは次第に腐ったような不快な香りへと変わり始めた。
その瞬間、部屋の隅に何かが動いたような気配がした。
俺は目を凝らして見てみるととそこに立っていたのは
白 : り.. りうら… ?
そこに立っていたのは間違いなくりうらの姿だった。
しかしりうらの顔はどこか不自然に歪んでいた。
目は異常に大きく、口元には血のようなものが滲んでいる。
白 : 何でこんなこと ..
俺は恐怖に震えながら後退り、言葉が喉に詰まる。
りうらは無表情で静かに歩み寄ってきた。
赫 : 初兎ちゃんは気づいてなかったんだね。俺がどれだけ初兎ちゃんを好きだったか。
その言葉に俺は冷たい汗が背中に伝うのを感じた。
あのチョコレート。
あの冷たい感触。
全てが恐ろしい意味を持っていたのだ。
赫 : でももう大丈夫。初兎ちゃんがいなくなることはないから。
りうらの口がゆっくり大きく開き、そこから血のようなものがこぼれ落ちる。
俺はその姿を見てようやく理解した。
りうらはもう人間じゃない。
りうらの愛は狂気に満ちてて、その愛の印として俺に何かを与えることを望んでいた。
チョコレート。
それはりうらの狂気を込めた“贈り物“だった。
俺は心の中で叫びながら最後の力を振り絞って部屋を飛び出した。
しかしその背後からりうらの冷たい声が追いかけてくる。
「 逃げても無駄だよ。俺はいつだってずっと初兎ちゃんの側にいる。 」
end .
今まで書いてきた中でも自分的に1番大好きな小説完成しました👶🏻♡
沢山の方の目に入る事を願っております💍🎀
コメント
8件
えめちゃくちゃすきなんだけどおお!!言葉選びすきすぎる!! めた刺さりました!!