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コメント
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🇧🇩 ちゃん 出演 してる小説少ないから嬉しぃ 🥹💗 またみにきます ~ ‼︎ 🔥🩷
「そういえば、今日は居ないね。」
唐突なその言葉に、少し呆気に取られながらその表情を伺う。
「どういうこと?」
「…。」
雨が校舎の天井を突き抜けるかのような勢いで降り注ぐ
古ぼけた校舎の三階の、廃墟のような廊下が一層その色をましたような午後。
バングラデシュは俯いたまま髪に飾ったリボンを揺らした。いつもの能天気で明るいムードメーカーは雲に隠れたようにその鱗片さえ見せなかった
「にゃポン、僕、今日は居残りしてくよ。先に帰ってて」
「え、でもバングラ、今日はドーナツ屋でドイ、食べて帰るんじゃないの?」
にゃポンはできるだけ気を和ませようと話題を変えたが、重苦しい雰囲気の中に湿気った風が吹くだけのようで、にゃポンは、しまった。という顔をして咄嗟に表情を隠そうと横を向いた。
気まずい空気の中、湿気がいっそう肺を埋めつくしていくような感覚に、にゃポンは居心地悪く大きな耳を倒す
今日はバングラデシュの片思いの相手、中国の誕生日だった。
軽やかに階段を昇り、軽やかな足取りで教室に向かう。
バングラデシュはとっておきのサリーを被って、前々から準備していた”宝物”を大事に胸に抱いていた。
教室に入ると素早くにゃポンの元へ駆け寄って、お顔をほんのり染めながら照れ隠しつつ話しかける。
「おはようっ!朝ご飯食べた?」
教室の隅の机の上に、眠そうに垂れていた首をもたげながらにゃポンはあくびをする。
「朝ご飯は〜…ふぁああ〜〜……かつお節ご飯だったかな〜……ん、おはよ。」
声の主がバングラデシュであることを確認したにゃポンはニンマリと幸せそうに瞼を上下させると、次にその声の主が抱えるものに気づいた。特大な甘々恋愛ネタが釣れそうだ、と、サッと目を輝かせてそれを逃がさまいと食い気味に問う。
「もも、もしかして好きな子できたとか?!教えて教えて!!」
バングラデシュにぐいと顔を近ずけ、水晶のような大きい瞳をキラキラさせながらその返答を待つ
「そ、そんなのじゃないけど、尊敬してる人のお誕生日だから持っていこうかなって…。それに、他の子もきっと渡すだろうから私なんか構ってもくれないと思う、」
恥ずかしそうに俯いてから、その反応を伺う。
「え〜!!良いじゃん良いじゃん!青春じゃん!!
せっかく用意したんだし?こんなに可愛い乙女のプレゼントをあしらうバカなんてそう居ないよ!」
にゃポンはこの話の行き先にたいそう満足して、まるで自分の事のようにはしゃぎたてた。その反応を見たバングラは、また頬を緩めて特大のイベントを心待ちにし、上手く行きますようにと高く願う。まだ空は後に振る雨のその陰影さえ見せない早朝であった。