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「冗談じゃないよ。本気。俺のことを意識して欲しいの。」
そう、真剣な眼差しで若井に言われた。
正直本当に困惑しかない。
メンバーとしては好き。でも意識して欲しいって言われても今はまだ全く分からない。
とは言いつつ気持ち悪い、なんて感情も一切ない。
嬉しいか…?それもまだ分からない…。
俺はいつも通り、今まで通りに過ごしたいな…。
こんな曖昧な気持ちが変わる日が来るんだろうか…?
お弁当を食べていたスプーンを置いて、色々と考えていたら弱々しい声で若井に言われた。
「涼ちゃんごめん…そんな困るとは…」
はっ…顔に出ていた…?
悲しそうな眼で見つめられてしまった。
こんな顔をさせたくはない。
「いや、ちがう…ちょっと本当に恋とか分からないから…」
申し訳なさ過ぎて目が合わせられない。
「あの…、ほんと…に?だとしたら、なんで…俺?」
お弁当を見つめながら途切れ途切れ話す。
俺ってこんな動揺するんだ。
怖くて若井が見られない。なんて返って来るだろう…。
「んー…最初から涼ちゃんが好きだった、それ以外にないよ。好きになったから、好きなの」
す、すごい…この人…。表情は見られないけどすました顔で言ってるんだろうな。
「俺…どうしたらいいの…」
本当にごめん。でもどうしたらいいの。
「別に今すぐじゃなくていいんじゃん?ね、若井」
元貴が全てを分かっていたかのような顔で若井に言う。 この人もなんなんだ。なんでそんな余裕なの。
「うん。別にどうなろうがいいよ。ただ涼ちゃんがもし将来恋日を作るんだったら俺も候補に入れて欲しい、ってだけ。」
いや、2人とも大人だな…こんなに考えられないの、俺だけじゃんか。
最年長…なんだけどな。一応。
「涼ちゃん、だから別に今まで通りでいいよ。まぁ、とは言っても意識してほしいけどね笑。
撮影とか、今までとは違う意識で見てて欲しい、っていうのが本音。でも無理には意識して欲しくないから。」
「若井は一途だぞ〜〜!尽くしてくれるぞ〜!」
元貴はとりあえずお口チャックしといて欲しい。あと今ニヤケ顔凄いからね。
やっと若井の方を見れたけど照れくさそうにしてた。
「時間…くれる…?」
若井と、いっぱい一緒の時間を過ごしてきた。
でももうちょっと若井のことを知られたら、変わるのかもしれない。
お弁当もすっかり冷めきってしまった。
ごめんね麻婆豆腐…。
「いいよ。もちろん。困らせてごめん」
いつもの…優しい笑顔の若井だ。
「涼ちゃん若井になんかされたらすぐ言いな!一発、ね」
エアグーパンチでさっきのニヤケ顔とは真逆の目が笑ってない元貴が言った。
これはガチの顔だ。さすがに若井もえっ?って顔してる。
「いや、いやいや!!俺好きな子が嫌がることしない!!幼なじみなら分かるだろ!!」
うん。幼なじみじゃない俺でも若井ならしないの分かるよ。
「ほーーーん?どうだかねぇ!涼ちゃん優しいから多少無理するだろうしぃ?」
ものすごくジト目。
もうやめてあげて。若井泣いちゃうよ。
「大丈夫だよ若井なら…」
だって優しいもの。誰よりも。
「涼ちゃん!ほら!!涼ちゃんはやっぱり涼ちゃん!!こういう所!俺が好きなの!」
いや、それは聞いてないよ。恥ずかしい…。
なんでサラッと言えるのよ。
「うるせぇ惚気んな!!!デロデロ男が!」
あぁ…いつものミセスだ…。
なんか安心してきちゃった。
うーんなんだろ。子犬同士の喧嘩みたい。
「ふふ…」
俺は思わず笑ってしまった。
「あー!やっと笑ったー!若井が困らすからー!」
「えっいや!うーー涼ちゃんごめん!!でも!!本気だから!!」
煽りに煽る子犬としょんぼり子犬…。
本当に君たち前世犬の兄弟だったでしょ。
「ごめん。いつも通りの2人見て安心しちゃった。」
なんか俺もさっきよりちょっと軽くなったかも。
若井のこと、ちゃんと知ろう。向き合おう。
いい結果にはならないかもしれないけど。
それでも若井は受け入れてくれると思う。
もちろん元貴も。
「お弁当冷め冷め〜!あっため直そっかな!
あ、涼ちゃん。ちゃんと半分こしよ! 」
あぁ。そうだった。事の発端。
今から、ちゃんと向き合うよ。
「うん。半分こ」
そう若井の目を見て言ったら、しっぽがブンブンしている気がした。
いや、してるな。可愛い。
で、どうやって向き合おうかな。いっぱい二人で遊んでみる?元貴が可哀想かな。
元貴は1人の時間も必要だけど、あまり2人でいると寂しくて怒っちゃうからな。