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Ⅲ.秘密
「ツム、最近おかしいで」
治の言葉に、侑は箸を止めた。
「何が?」
「飯、残すようになった」
「気分や」
「練習も休んどるやろ」
「ちょっと疲れとんねん」
「……病院、行ったんか?」
心臓が跳ねた。
治は、まっすぐ侑を見ていた。
嘘を見抜こうとする目だった。
昔から、そうだった。
侑がどんなに上手く誤魔化しても、治だけは妙なところで気づく。
「……行ったわ」
「なんて?」
「なんもないって」
嘘だった。
最低な嘘だった。
けれど、治はそれ以上聞かなかった。
ただ、眉を寄せて、小さく言った。
「……無理すんなよ」
その声が優しくて。
侑は、今すぐ全部話したくなった。
俺、もうあんまり生きられへんねん。
怖いねん。
お前と離れるんが、怖い。
ほんまはずっと、お前のことが好きやった。
好きやから、離れたくない。
好きやから、最後まで一緒におりたい。
好きやから、何も言えへん。
全部、全部、吐き出したかった。
でも。
「……おう」
侑は、笑った。
「心配性やなあ、サムは」
「誰が心配なんかするか。お前が倒れたら面倒なだけや」
「はいはい」
治は不機嫌そうに顔を背けた。
その耳が、少し赤かったことに。
侑は気づかなかったふりをした。
その夜。
治は、自分の部屋で天井を見つめていた。
侑の顔が、頭から離れなかった。
最近、侑の笑顔が変わった。
今までみたいに、ただ馬鹿みたいに明るいだけじゃない。
何かを隠している。
何かを、諦めようとしている。
そんな顔だった。
「……なんやねん、ほんま」
治は枕に顔を埋めた。
本当は、ずっと前から気づいていた。
自分が侑を、兄弟としてだけでは見られなくなっていたことに。
侑が笑うと嬉しかった。
侑が他の誰かと楽しそうにしていると、胸が痛かった。
侑が自分の知らない場所へ行ってしまう気がすると、怖かった。
それが何なのか、認めたくなかった。
兄弟だから。
双子だから。
今までの関係を壊したくなかったから。
何より、侑に拒絶されるのが怖かったから。
「……好きやねんけどな」
誰にも聞こえない声で、治は呟いた。
「……アホ」
涙が、一粒だけ枕に落ちた。
#宮侑 宮治
ᗩᗰᗩᑎᗴ
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コメント
1件
もう秘密ありすぎて辛いよ侑も治も……!!😭💔 「好きやねんけどな」って治が独りで零すところ、最高にエモくて胸ぎゅってなった。「“アホ”って一粒涙」のラスト、映像が浮かぶみたいな美しさだった…。お互い隠しあってるのが痛いくらい伝わってきて、読んでるこっちが息苦しくなる切なさ…。次どうなるの、続き気になって夜しか寝れないよ!🌸