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僕の名前は浜野夜。朝霧中学校のただの中学1年生
学校に着き自分の教室へと入る。すると、
前から同じ制服のセンター分けの男が歩いてきて、
???「おはよ〜夜!」
と話しかけてくる。
この男の名前は矢ノ倉|星楽《せいら》僕の友達だ。
夜「ん、おはよ星楽」
星楽「今日の数学の宿題終わった?」
夜「何?終わってないの?」
星楽「見せて欲しいなぁ…とか?」
夜「またかよ…まぁいいよ」
と数学のノートを渡す。
すると、廊下にいる女子から呼ばれる。
「お〜い浜野く〜ん!」
夜「呼ばれたから行ってくる。写し終わったら机に置いといて」
星楽「おっけ〜!ノートありがとな!」
そして、廊下に出ると、1人の女子とその周りに3人囲むように立っている。
真ん中の女子は隣のクラスの…
夜「どうしたの?佐々木さん」
佐々木「あっ…あの!その…こ、、これ!」
と手紙を渡してくる。薄くピンクがかった白い封筒にハートのシールで止められている。
まぁ、ラブレターだ。
夜「あ〜…ありがとうでも…僕、中学の間に彼女作る気なくて…ごめんね?」
佐々木「あ…は…はい、、そうですよね!気持ちを伝えられただけでも良かったです!手紙…受け取ってくれてありがとうございました!、、、」
と半ばゴリ押しで言い放った後、周りの女子と一緒に廊下を小走りで去っていった。
星楽「ま〜た告白?中学校入ってから何回目よ?」
途中から横で見てたようだ、星楽が話しかけてくる
夜「今ので29回目」
星楽「うわ、や〜ば!モッテモテだねぇ夜くんは」
夜「まぁ彼女作る気ないし」
とさらっと言う
星楽「冷た!他の人には男女関係なくいつもは優し〜く接してるのに俺にだけ冷た!」
夜「だって星楽に優しくしてもメリットないし」
星楽「う〜わそんなこと言っちゃうんだ!」
夜「今のは…嘘だけど」
星楽「キュン」
夜「気持ち悪いぞ」
星楽「流石のせいちゃんも傷つくんですけど〜」
夜「てかふざけてないで中間テストの勉強しろよ」
星楽「やっば…夜〜土日勉強教えて〜」
夜「無理、土日に星楽と会いたくない」
星楽「やっぱひどぉ〜い!」
夜「嘘、土日予定が空いたらいいよ」
星楽「パーフェクトヒューマンも俺にはツンデレだよなぁ…なに?せいちゃんのこと好きになっちゃった?彼女じゃなくて彼氏作るってか?」
夜「アホにも限度ってものがあるぞ。それに選ぶんだったら星楽だけはない」
星楽「ショボン…」
夜「それ口で言う奴星楽以外で見たことないぞ」
星楽「オンリーワンってことじゃん!やっぱ夜の隣は俺にしか務まらないってこと!」
夜「どういうことだよ」
星楽「才能の塊の夜くんにも出来ないことをする俺!つまり…2人で最強ってことっしょ!」
夜「才能の塊ねぇ…」
パーフェクトヒューマンとか、
明るすぎる夜とか、才能の塊とか、
クールビューティーとか…
色々言われてるが、正直全て僕には似合わない。
最初からこうだった訳でもない。
僕には兄の悠がいる。
小さい頃から兄も僕も両親からは考えられないほど顔が整って産まれてきて、そのことが原因で両親が離婚。父親に親権が渡り、養育費を母親が払い、父親も僕たちのことが面倒くさくなったのか、一軒家だけを残し僕たちの元から去ったらしい。
体裁上は、父と三人で暮らしていて、父が単身赴任だか、仕事の都合上家に帰れなくなった。
ということになっているらしい。
と、兄から聞かされたとき僕は5歳。兄は6歳だった。
親戚が育ててくれたが、その親戚も兄が10歳を迎える頃に亡くなってしまった。
それから兄は幼いながらに大きな責任感で僕を育ててくれた。
僕はそれに応えようと、
僕の世話に必死で蔑ろにしていた勉学を学び、
兄に教えられることが出来るほどまで仕上げた。
少しでも兄への感謝と苦労を減らす為に、料理を独学で学び、他にも裁縫、洗濯、などを習得した。
結果的に、兄の家事を分担という提案にのった。
始めは僕が全部すると兄の提案に否定的だったが、
夜見高校に受かった感謝の気持ちも含めてそうさせて欲しいと泣きつかれたので渋々承諾した。
まぁ、色々あったが、僕がなんか凄い呼ばれ方をされるのは、決して僕が頑張ったからではなく、兄に贈る感謝の気持ちと、兄の助けに少しでもなりたいという思いの副産物でしかない。
夜「才能の塊とか似合ってないけどね」
星楽「え〜めちゃくちゃかっこいいじゃん!自信持てばいいのに」
夜「自信とかじゃないだろ。じゃあ土曜の8時、駅前で集合ね」
星楽「やっぱりツンデレじゃ〜ん!おっけ〜」
土曜日の朝
ピンポーンとドアベルがなる。
僕がガチャッと扉を開けると
誠「あ!夜君じゃん!」
夜「あ!桐野さん!」
そこには兄の同級生の桐野誠がいた。
たまに家に遊びに来ていて、夜とも面識がある。
誠「誠でいいって!」
悠「お!誠!おはよ〜」
とリビングから悠が顔をひょいっと出す
誠「おう!おはよう」
夜「遅れるといけないし僕行ってくるから!」
悠「あれ?どっか行くの?」
夜「うん友達に勉強教えに行ってくる」
誠「夜くんって頭良いんだ〜」
悠「うちの夜は凄いぞ〜僕が夜見高校受かったのも夜に勉強教えてもらったからなんだぞ」
誠「すっご!てことは小6でもう中学の勉強してたってこと?」
夜「まぁ、そうですね。うち兄ちゃんと2人なんで中学の勉強くらいまでは教えれる位になりました」
誠「天才かよ…」
悠「そうだぞ!うちの夜は誠に負けないくらい凄いんだぞ〜!」
誠「夜くんに今度勉強教えてもらおっかな?」
夜「まぁ…わかる範囲で良ければ…」
悠「それいいね!じゃあ今度お菓子買って勉強会しよー!」
誠「悠君はそんな暇ないでしょ!さっさと勉強しなさい!」
悠「え〜…やーだー」
と不満気に口を尖らせる。
夜「はいはい仲いいのはわかりましたから!本当に行かないとやばいんで…」
誠「行ってらっしゃ〜い」
悠「あっ夜ー!」
誠「はい、悠君は勉強始めるよ!今の学力でテスト受けたら赤点だよ?」
夜「じゃあ兄ちゃんの勉強お願いしますね誠さん」
悠「夜〜僕を見捨てるのか〜」
時期はもう五月、もう暑くなり始めてきている。
太陽の光が差す駅。
夜は星楽と待ち合わせしていた。
夜が駅前で待っていると、20代位の金髪の女性が話しかけてくる。
女「お兄さんカッコいいですね!彼女さん待ってるんですか?」
夜「あ、いや友達を待っているんです。どうかしましたか?」
女「お兄さんカッコよくて話しかけてみようかな〜って!ナンパ?みたいな?」
夜「あぁなるほど…」
女「私彼氏とか作ったことなくて〜連絡先とか聞いても良いですか〜?」
夜「あ〜すみません!彼女がいるので、その…お姉さんもお綺麗なんですけどそういうのはあんまり」
女「あぁ〜ですよね〜カッコいいですもんね、彼女くらい居ますよね〜」
と、女は駅の方へ歩いていく。
そして、入れ違いざまに星楽が歩いてくる。
星楽「今の人、知り合い?」
夜「いや、全然」
星楽「逆ナンってやつか〜でもあの人可愛かったのに断ったの!?」
夜「だってタイプじゃないんだもん」
星楽「勿体ないな〜」
そうやって話していると、夜の前に数人の女性が立つ。右から、黒髪ロング、茶髪ボブ、黒髪ボブだ。
夜「な、なんですか?」
黒髪ロング「お姉さん達と一緒にお茶しない?」
夜「友達と今から勉強するので…ちょっと…」
茶髪ボブ「じゃあそこのお友達も一緒にどう〜?」
黒髪ボブ「そうだよ〜!それがいい!」
夜「あの〜すみません彼女いるので…そういうの困るんですよね…お姉さん達随分お綺麗なので僕にしとくのは勿体ないと思いますよ!」
黒髪ロング「そ…そう?嬉しいこと言ってくれるわね〜ごめんね急にこんなこと言われても困るわよね!」
と黒髪ロングが他の2人を連れて、退場しようとするが…
黒髪ボブ「ちょっと何よそれ!私に言い寄られて断るって何様のつもり!?」
と1人が騒ぎ立てる。
茶髪ボブ「ちょ…ちょっと美奈子!彼女いるって言ってたじゃない!」
黒髪ロング「そうよ!それにほら!困ってるでしょぅ!大人しく諦めて帰るわよ!」
と他の2人がなだめるが、騒ぎは大きくなるばかり。
そして、どん!っと黒髪ボブが夜を押す。
その衝撃で夜はばたっと尻もちをつく。
すると、その光景を一部始終見ていた高校生位の女子が黒髪ボブと夜の間に立つ。
高校生位の女子「ちょっと!さっきから見てましたけど!この子とその友達困ってますよね!大人なのにさっさと諦めることができないんですか?そんなんだから年下にも振られるんですよ!」
黒髪ボブ「はぁ?あんた生意気なこと言って!」
と黒髪ボブの手が高校生の頬目掛けてフルスイングされる。
すると…高校生はその手をばしっと掴んでそのまま自分の体の方へと引き、そのまま相手の体を自分の背中の方へと一回転させる。
黒髪ボブ「ちょちょちょ痛い痛い!離して!」
と高校生の背中で暴れるが、ビクともしない。
そしてひょいっと手を離して今度は黒髪ボブが尻もちをつく。
高校生「これに懲りたら一々騒がないでください!」
と一喝。
黒髪ボブは他の2人に連れられて退場していった。
高校生「大丈夫?立てる?」
と手を伸ばしてくれる。
夜「あ、はっはい!」
と手を引かれて立ち上がる。
夜「ありがとうございます!あの、お名前は?」
高校生「花咲ちひろ」
夜「花咲さん!助かりました!あんなに暴れる人は始めてで…」
花咲「君いつもあんな対応してるの?」
夜「まぁ…はい」
すると…花咲は溜息をつく
花咲「あんなに優しく対応してたら脈アリだと思ってまた騒ぎが起こるよ!それにそこのお友達も!手を貸してあげないと!」
星楽「あっはい!すみませんでした…」
花咲「別に怒ってる訳では無いけどさ、やっぱり振られた方は悲しいんだよ、君みたいに顔が良かったら何回もこういうことはあるのかもしれないけど、その一回一回に相手の気持ちがあることを忘れない方がいいよ!私もそうだったから…」
そう話していると、花咲のカバンからポロっとシャーペンが落ちる。
それを夜は拾い、微笑みながら
夜「はい!これどうぞ」
と渡す。その笑顔は純粋で、眩しく、いつもの作り笑いじゃなかった。だが、
花咲「けっ、ありがとありがと」
と一蹴。
普通ならその夜の笑顔に惚れてもなんらおかしくない程の出来事だった。
夜が驚いていると、もう1人の花咲と同じくらいの女子が走ってくる。
女子「かざっち〜!遅れちゃった!ごめんね!」
花咲「もう!遅いよ〜!美希!」
美希「あれ?その子たちは?もしかしてナンパ?」
夜「あ!これは違くて…」
花咲「そうそう色々あったんだから!」
と事情を話す。
美希「あ〜なるほどね!まぁ改めまして私の名前は中島美希」
夜「浜野夜です」
星楽「あっえ〜と矢ノ倉星楽っす!」
花咲「え?なになに?自己紹介する感じ?」
美希「そうでしょ!ほらほら!流れにノって!」
花咲「え〜と花咲ちひろです?」
美希「で?はじめましてだよね?普通に」
夜「まぁそうですね…」
星楽「そうなりやすね」
花咲「じゃあこれも言っとかないとだ!
『はじめまして』」
夜「あっはい!『はじめまして』」