昨夜、私の親友は×された。 誰に?
私に。
海に突き落としたの。
暗くて冷たい、海の底に。
落とす時、私は耳元でこう囁いてあげた。
「あの時のこと、覚えてる?」
親友は全部忘れてしまっていたみたいで、その場に立ち尽くし、黙って下を向いていた。
酷いなぁ、
あんなことしたのに、忘れちゃうなんて。
私は親友の背中を強く押した。
海の波が暴れて、
あなたが必死にもがいているのが十分伝わったよ。
ねぇ、苦し?
息できる?
…あぁ、出来るわけないよね
可哀想。
誰も助けてくれないね?
ねぇ、貴方は昔、
私にこんなことをしたよね?
プールで貴方に沈められ、
上がろうとしても抑え込まれて、
私、すっごく苦しかった。
それに髪も引っ張ってきたり、
お気に入りだった服も捨てられたんだよ。
ドラマや映画でしか、そんな事しないでしょ。
まぁ、それ以上のことを、
私は犯してしまったんだけどね。
私は今、葬式に来ている。
一輪に白く美しく咲き誇るスノードロップを抱えて。
私は右目から涙を流した。 口角が上がるのを堪えて。
「大丈夫か??大切な親友が目の前で亡くなるなんてな…」
「うん。ほんと、…足を踏みはずすなんて、、」
足を踏み外して、海に落ちた事にしている。
誰も私が犯人だなんて気付かずにね。 気付こうとすらもしていない。
みーんな、馬鹿なんだよ。
ふふっ、と高い声が微かに洩れて、
私は嗚咽を洩らしているふりをした。
顔を伏せて、口角が上がるのを隠す。
私は、親友の棺桶にスノードロップを添えた。
コメント
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大好物のサスペンスだぁ (*´꒳`*)ゴチソウサマデシタ
えほんとにかれんの小説とか創作好きすぎる💞これからもたくさん書いてください🙏🏻 💭